10話「進路」
「由美はもう進路決まった?」
今日進路希望の紙を貰った。
静香は美容師と決まっているみたいだが雪菜はまだみたいだ。
「うん、決まってるよ」
「え!?何?」
「ブライダルの仕事したいって思ってるんだ」
「ブライダルって結婚式の??」
「うん、そう。この能力があると自分のことしか考えることが出来なくて。この能力なしで誰かを幸せにしたいって思ったんだ」
「そっか、何か由美らしいね」
「そうかな?」
「うん。私も頑張って進路見つけないと」
「雪菜は小さい子好きだから保育士とかいいんじゃない?」
教室に入ってきた静香がそう言った。
「確かに。前も泣いてた小さい女の子あやしてすぐ笑顔にしてたもんね」
「保育士か〜いいかも」
「皆進路決まったね」
「そうだね、叶えられるように頑張ろう」
それから私たちは、必死に勉強をした。
そして、1年が経ち私たちは高校三年生になった。
「由美、最近どう?」
隼人と一緒に帰っている時だった。
「どうって?」
「ブライダルの専門学校行くって言ってただろ?」
「あ、うん。」
「どうした?元気ないけど」
「隼人、あのね。その学校東京にあるんだ。だから2年東京に住むから遠距離になるの…勿論、合格したらの話だけど」
「そうか、遠距離は寂しいけど、由美の夢が叶うなら俺は応援する。由美なら絶対合格するよ」
「そうかな?」
「そうだよ。だから頑張れ」
「ありがとう、頑張る!」
私はそれから試験の日まで必死に勉強をした。
そして結果は…
「隼人!」
「由美!どうだった?」
公園で待ち合わせをしていた。
「合格した!」
「本当に!?おめでとう!」
「再来週、東京に行く。だから…」
私の目から涙がこぼれ落ちた。
その先を言えなかった。
「俺はいつでも待つよ。2年なんてあっという間だよ。卒業したらこっち戻ってくるんだろ?」
「そうだけど…でも離れたくないよ」
「寂しかったらいつでも電話して?そしたら俺会いに行くから」
その時私は悲しかったが同時に少し可笑しかった。
「何で笑ってるんだ?」
「だって、隼人のそのセリフ最後に言う言葉じゃん。そう思ったら何か笑」
「そうだな、気が早すぎた笑」
「何かありがとう。ちょっと元気出た」
「そっか、それならよかった」
そして、2週間後。私は東京に向かった。
勿論隼人のあの言葉を聞いて。