prologue
初投稿です。拙い文章ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
目が開いた。
暗かった。
何もなかった。
否、自分は居る。
ここはどこ?
俺は誰だ?
「貴方は、前の世界で自ら命を絶ちました。それはあってはならないことです。この場所で反省してください」
声がする。
命を絶った。
思い出す。
記憶が曖昧だ。
反省。
「ですが、貴方は少し特別です。よって、異世界でもう一度人生をやりなおすチャンスを与えます。反省の後、貴方の願いを言ってください。その願いに見合った世界へ、飛ばして差し上げます」
異世界。
「制限時間は無限です。では、どうぞ」
音が消える。
記憶を辿る。
笑顔。
泣き顔。
笑い声。
慟哭。
音。
波の音。
罪。
罰。
贖罪。
そこからの記憶はない。
いや……知っている。
何があったのか。
何を思ったのか。
この魂は、知っている。
詳細を思い出せない。
それだけのこと。
ならば、その魂と一体化するだけ。
今の自分の思考、感情、行動の全てを魂に繋げる。
心を無に。
思考を無に。
……と、その前に。
「一つ、質問をよろしいでしょうか」
虚無に向かって話しかける。
「何でしょうか」
返答がある。
「今から反省点と、願いを述べればいいのですね?」
「はい、その通りです」
望んだ答えが返ってくる。
「ありがとうございます」
これで、終着点は確定した。
よほどのことがない限り、これは変なことを言わないだろう。
「では、お願いします」
改めて、自分の中へ入る。
出来るはずもない事をやろうとしているのに、それができるという確信があった。不思議な感覚だが、それが当たり前のような感じもした。
自分の意識に入り込む。
ここはどこだと問うた。
自分は誰だと問うた。
その感覚を捨てる。
心と体。
自分と他。
主分と客分。
別れているものを繋ぐ。
それが何であるかを問う前の状態。
主語も述語もない。
全てと一体化した状態。
そこに到って初めて、魂と自分が同一となる。
――そして、自我が壊れる。
「反省―、い―――とを、―――め――と」
言葉を発する。
何を喋っているかは、わからない。
「願――、―――――、―――――――――」
意識のそこへ沈み、感覚が途切れる。
「貴方の願い、受け取りました」
声ははっきりと聞こえる。
どうやら、音ではなく、魂そのものに話しかけていたようだ。
「では、行ってらっしゃいませ。世界――――へ、祝福を」
そうして俺は、異世界へ飛ばされた。
生きるのが辛くなったら続き書きます。