第5話 監視と20:38 00:00:20
前話と平行して今回は時が進みます。なんかだんだんサブタイトルが雑になってきたような……。
第5話です。
「あなた、解ってるの? 何のために人界に来たかってこと」
「わ、解ってるよ! 牧野亜依の監視だろ!!」
「……いい? あなたは魔界ではまだ見習いの身。私が魔界神王様に願いを捧げて許可が下りたんだから、調子に乗らないで」
「は、はい。すみません」
俺こと夢階 明日魔は、放課後屋上前の階段で天使 磨寅と話していた。
この会話から分かるように、俺たちはヒトではない。
俺たちは"悪魔"だ。
いや、正確には磨寅は"天使"だ。
なぜ人界に来たかというと、ヒトの子"牧野 亜依"を監視するためである。
牧野亜依は魔界では恐れられている"最強の人間"の後継者であることだ。
いつその能力が発動するかわからないので、魔界の偉いヤツが監視役として磨寅を選んだ。
かくいう俺が付いてきたのは単純な話で、磨寅に一回でいいから人界に行きたい、といったら「……魔界神王様に相談してみる」と快く(?)OKを出してくれた。
なに? 磨寅に頼む位なら自分で言えって? フ、そんな事したら魔界神王どころか魔界から消されるわ。
俺は魔界では"見習い"という身分であり、魔界神王と会話すら許されていない。
通常は120歳前後で見習いを卒業するのだが、なぜかその時の俺は「勉強? ナニソレ?」といった具合で全く勉強という勉強をしてこなかった。
気づけば350歳である。
魔界のランクは全部で11個ある。
見習い悪魔 低
↓
最下級悪魔
↓
下級悪魔
↓
下中級悪魔
↓
中級悪魔
↓
中上級悪魔
↓
上級悪魔
↓
最上級悪魔
↓
魔界神
↓
魔界神王 高
となっている。尤も魔界神と魔界神王は選ばれた者だけがなれるから俺たちには関係ないが。
ちなみに磨寅は下級天使だ。(天界も同じようなランク付けである)
「…ぇ……ぇ………ねえ、ちょっと聞いてる!?」
「あ、ああ聞いてる……」
「じゃあ今私が言ったこと云ってみて」
「うっ、そ、それは……」
「ほら聞いてない。もう一度言うからしっかり聞いてて」
「お、おーけー……」
「今夜、牧野亜依の家に来客がくる。それを阻止して」
「え、何で……?」
「察しろ」
「牧野亜依が後継者だということを知っている者は少なからずいる。だから独断の判断で殺しに行く輩がいるからそいつらを潰すのが私たちの目的」
「………ちょっと待て、今日は見たいテレビ番組があるんだけど………」
「うん、で?」
怖い。
その後も説明は続いた。(大半は聞いてない)
大まかに説明をするとこうだ。
今夜、牧野亜依の家に人間が来るけど、そいつは人間の姿をした悪魔なんだという。
最近の魔道具は凄い。いつ、何処に悪魔が来るか特に重要人物の周りは凄く敏感に反応してどんな悪魔の存在も見落とさない。しかし、その可能性があると知らせてくれるだけだが。
話がずれた、本題に入ろう。
要は、その悪魔を牧野亜依の家に寄せ付けるな、という話だ。もし、できなかったらどうなるか分かるよな? と付け加えて。
だが、いくら万能だからといって正確な時間まではわからない。ある情報は"今夜"というだけで、何時何分何秒まではわからない。
その瞬間が来るまでは_______。
5/24 20:38 00:00:20
「ホントに来やがって、うっかり寝ちったわ」
この同時刻、牧野亜依はある男とカメラ越しで話していた。
次回から隔週連載とさせていただきます。楽しみにされている読者の皆様、本当に申し訳ありません。
次回投稿予定日は2018/11/8 19:00です。