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バイトデビュー

 ブー、ブー、ブー…携帯の着信音が鳴り、窓から見える葉桜を見ていた私は、驚いた拍子におもわず窓ガラスに思い切り頭を打ちつけてしまった。痛ったあ…と呟きながら携帯を見ると、電話の差出人はこの前バイトの面接をした店の店長だった。私は一度深呼吸をして、気持ちを落ち着かせてから電話に出た。


「も、もしもし?」

「あ、宮瀬さん?こんばんは、店長の中岡です。バイトのことなんだけど、中岡さん採用するからまた都合のいい日に店に来てくれる?まあ初出勤ってやつだね。」


 店長のその言葉に、私は思わずやったあ!と叫んでしまいそうになった。


「はい。分かりました!ありがとうございます。では、今週の水曜日にお店に伺ってもいいですか?…」


 私はうきうきしながら、バイトの初日についての詳細を店長から聞いた。大学に入学してから、もう2ヶ月近くが経つ。そろそろ大学生活にも慣れてきたし、遊びたくもなる時期だ。


バイトでお金を稼げたら何しようかなー、大学の友達と遊びにも行きたいし、かわいい洋服もいっぱい欲しいし、今はまっているバンドのCDも借りたいし、それから…そこまで考えて、私は長いため息をついた。


やっぱり、ママにお金を返すのがいちばんかな。



 自分の部屋を出てリビングへ行くと、母がソファーにもたれかかって眠っていた。眠っている母は、少し小さく見えた。普段はきれいに着飾っている母だが、今目の前で眠っている母は、少し老けたように感じた。


私が見つめていると、母はそれに気づいたのか目を覚まし、ゆりちゃん、と私の名前を言って微笑んだ。


「ママ、最近疲れてるみたいだけど大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。ママ頑張れるから心配しないで。」


 母はそう言ってまたにっこりと笑った。母の笑顔を見るのは好きだ。でも、最近は少し悲しくなる。


また強がってる。また無理をしている…。


「あのね、ママ。あたし実はバイト始めることにしたんだ。自給900円の居酒屋なの。あたしもお金稼げるから、ママもほんとに無理しなくていいんだよ。」


 私が笑顔でそう言うと、母は少し怪訝そうな顔をした。


「なんで優梨愛がそんなことしなくちゃいけないの?ママがいるじゃない?ゆりちゃんが遊ぶお金なら今ママがあげているお小遣いで十分でしょ?それに大学の授業だってあるんだし。」


 母にそう言われて、私は少し戸惑った。なんでそんなふうに言うんだろう。バイトなんてみんなしてることじゃん。それに遊ぶお金に困ってるわけじゃないのに。だって…私たちの家には、父親がいないじゃない…。


「ママ、あたしもうすぐ19歳だよ。だから、もう家のことも考えられるし、何かしたいって思う。だからさ、あたしバイトしてお金稼ぎたい。大学行かせてもらってるのになにもしないのは申し訳ないし、ママにもこれ以上無理しないで…」


「優梨愛!」


 母は私の話をさえぎって叫んだ。びっくりして母の目を見ると、その目には強い怒りの色がにじんでいた。


「ねえ優梨愛、どうしてママにお金の話をするの?ママ頑張ってるじゃない。どうしてママを苦しめるようなことを言うの?」


 母は声を荒げて言った。


「ちょっと待ってよママ。私は、ママを助けようと思って…」

「もう勝手にしなさい。バイトして大学の授業についていけなくなっても知らないからね。」


 母はそう言って息を荒くしながらリビングを出て行ってしまった。私はただ茫然としてその場に立ち尽くした。


なんでママは怒ったの?何がダメだったの?私はただママを助けようとしただけなのに…。


私は、ふとソファーの右の背もたれを見た。半年前まではそこに背を持たれかけてのんびりとテレビを見る父がいた。


しかし、今はもうあの人はいない。あの人は半年前にこの家から出ていってしまったのだ。


ママがおかしくなったのも、全部パパのせいだ。


パパが突然出て行って、ママがどれだけ苦しんでいることか…。もともと、父と母の仲が悪いのは知っていた。仕事人間だった父は母によく文句を言われていたし、父もそれに嫌気がさしていたのかもしれない。


でも、だからって出ていくことないじゃん。どうして何も言ってくれなかったんだろう…残された私たちが、これからどうやってパパの収入なしで生活していくのか、少しは考えてくれてもよかったのに…。



 私はむかむかして、ソファーの背もたれに思いきり携帯を投げこんだ。携帯はソファーで1度跳ねてから、乾いた音を立てて床に落ちた。ヤバい、絶対に携帯の角割れちゃった。何もかも最悪だ…。



「そういえばさ、優梨愛ってバイト先決まったの?」


 大学の昼休み、大学の食堂で昼食を食べている最中、隣の席に座っていた夢美はタマゴサンドを食べながら私に尋ねた。


「うん。駅前にある居酒屋にした。今日初出勤なんだよ!」

「おー居酒屋か!自給いくらなの?」

「900円だよ。結構高いでしょ?」

「そうなんだ!いいなー。」


 おにぎりを食べていた絢も話に食いつてきた。


「でも自給の高さでいったら有紀のほうが上だよねー。」


 絢は私の隣に座っている有紀を見ながら言った。


「おう。あたしのとこ自給1000円だよ。休日は1500円まで上がるんだからな。」

「うそー!?結構高いね。しかも有紀、週5で働いてるんだよね?バイト入れすぎじゃない?」


 私は思わず有紀の顔をまじまじと見て聞いてしまった。有紀は、まあねーっと言って笑った。


「優梨愛は週にどれくらいバイト入れる予定なの?」

「あたしは週3か4くらいかなー。昨日ママにバイトするって言って怒られたばっかりだし、入れすぎたらやめさせられそうだからさー。」

「え?何で怒られたの?大学生なんだからバイトくらい普通にするでしょ。」


 絢は意外そうに私に尋ねた。それは…私にも分からないよ。昨日のことが頭の中でフラッシュバックして、深いため息が出てしまう。


「あたしにも分かんない。有紀なんて、週5でバイト入れてるのに親から何も言われないんでしょ?勉強がどうだの、遊ぶ金がどうだのって。羨ましいなー。」


 私がそういうと、有紀はいいだろーっと言って豪快にがははっと笑ってみせた。その笑い方が面白くて、私は思わず笑ってしまった。


「よし、そろそろ3限始まるし、講義室に行こっか!」


 夢美の一言で、私たちは授業へと向かった。よし、とりあえず初バイト頑張ろう。ママはああいうけど、やっぱり何かせずにはいられないもん。私は歩きながらそう心の中で呟いた。


 やっぱり緊張しちゃう…。私は駅に向かうバスの中で胃が痛くなるほど緊張していた。それを見かねた夢美が私に声をかけてくれた。


「大丈夫だよ優梨愛。最初は緊張するかもしれないけど、すぐに慣れるからさ。」

「やっぱそうだよね。緊張するのはきっと今日だけだ…夢美はコンビニのバイトでも、やっぱり最初は緊張したの?」

「したした。ってちょっと、夢美のことバカにしてない?」


夢美は口をとがらせて怒った。ごめんごめんっと言って私は軽く笑った。


夢美は、通学のときも授業のときもずっと一緒にいてくれる友達だ。大学に入って最初に仲良くなったのも夢美だった。一番話しやすいし、仲がいいと思う。


そんな友達になら、夢美になら、話せるのだろうか。分かってもらえるのだろうか。あたしが、パパが家を出て行って途方に暮れていることとか、ママが心配だけど何をしてあげたら正解なのか悩んでいることや、葛藤や不安な気持ちを…。


でも、やっぱり打ち明けるのには勇気がいる。その後、どうなってしまうか分からなくてすごく怖い。父親が出ていったなんて言ったら、どう思われるか分からないし…。


私がそんなことを考えていると、夢美は心配そうな顔でこっちを見ていた。そのままでも童顔な夢美の心配そうな顔は、さらに心細そうに見えて、私は慌てて口を開いた。


「ごめんごめん、ちょっと考え事してた。よーし、今日は初バイト頑張るね!」

 私が空元気にそう宣言すると、夢美は安心したように笑った。

「頑張って優梨愛!あ、そうだ。」

 夢美はそう言った後、いたずらっぽく笑って言った。

「駅前のカラオケってイケメンばっかりバイトしてるらしいよ!優梨愛、彼氏候補みつけてね。」

「ちょっと!余計緊張するじゃん。やめてよもー…。」


――次は、終点、南駅前、南駅前でございます――私たちが会話をしている間に、バスはもう駅前のバス停まで来てしまった。今の時間は5時半、店長と約束した時間まであと30分だ。


「あたし、初出勤だから早めに行くね。じゃあまた明日!」

「オッケー!バイト頑張ってね、バイバーイ!」


 夢美と別れて、私はバイト先へと向かった。おおおー、緊張する…。歩いて10分もたたないうちに入口まで来てしまった。よし、頑張ろう!私は一度深呼吸してから店の中へ入った。店内に入ると、フロントには、大学生くらいの男の店員さんが2人立っていた。そのうちの、パーマ頭の店員さんが私に気づいてくれた。


「いらっしゃいませ…、あ、もしかして宮瀬さんかな?」

「は、はい。新しくバイトで入った宮瀬です。よろしくお願いします…あ、店長さんっていらっしゃいますか?」

「店長はねー、今日7時入りだから今いないんだー。」

「え?なんですか…あたし時間間違えたかも。」

「いや、店長結構テキトーだから宮瀬さんは間違ってないと思うよ。あ、俺もバイトで入ってる高山です。よろしく。で、隣が笹野君。今日は笹野君が仕事教えてくれるから。とりあえず着替えてきてもらおっか。笹野君についてって。」


 高山さんに言われて、隣に立っていた男の人がこっちに来てくれた。…ヤバい、めっちゃかっこいい…私はその人を見るなり思わず心の中でそうつぶやいてしまった。高い鼻に、切れ長だけど二重の目をしたその人は、私を見て軽く会釈をした。


「笹野です。よろしくね。女子更衣室に着替えはもう用意してあるから、とりあえず行こうか。」

「は、はい。」


 私はさらに緊張してその人…笹野さんのあとについていった。夢美の言ってたこと、本当だった…。どうしよう、あたしこんな人たちと働いてうまくやってけるかな…。私は少し頭のなかがパニックになった。


「ここが更衣室ね。鍵いま開けたから着替えてきて。」


 私は笹野さんにお辞儀をして更衣室に入った。心臓の鼓動が早くなっているのを感じながら、荷物を置いて、畳んでおいてあったバイトの服を掴んだ。



「今日あやとクレープ屋行けるひとー!」

「ごめん、ゆみ今日バイトあるから無理」

「ごめんあたしも」

「うちも」

「えー、結局あやしだけじゃん。」


 絢は不満そうにみんなを見まわした。窓から見える雨は絶え間なく降り続いている。今は梅雨の真っただ中。


初めてバイトに行った日から、もう2週間がたち、バイト先にも何とか慣れてきた。店長がかなりテキトー人間ってことも分かったし、たまに一緒の時間帯でバイトに入れる女の先輩方とも仲良くなれたし、仕事も覚えてきた。ただ、問題なのは…


「イケメンパラダイスのゆりあちゃんは、ちゃんと緊張せずに仕事できてますかー?」

「ちょっと有紀!からかわないでよ。」


 私は思わず大きな声で有紀に突っ込んでしまった。有紀はにやにやしながら私を見ていた。


「だって羨ましいんだもん。バイト先にかっこいい人がいて緊張するなんて言ってみたいもんだね。うちなんてファミレスでバイトしてるからそんな人店にいないし。」

「あたしもそんな感じだなー。」

「ほら、みんなバイト先にかっこいい人なんていないんだよ。優梨愛はラッキーだと思いなよ。」

「う、うん。分かった。」


 私が夢美にそういわれて返事をすると、絢ははあーっとため息をついた。


「それにしても、みんなが今日クレープ食べにいけないのは残念過ぎるわー…あ、いいこと思いついた!明日ってさ、みんな暇?もし暇だったら…」


 みんなが興味津々で聞いている絢の話も上の空で、私はバイト先のことを考えていた。確かに、私のバイト先にはかっこいい人が多いのは事実だ。でも、だからっていいことばかりじゃないよ。


やっぱりその人たちと仕事するのは緊張するし、うまくコミュニケーションが取れなくて落ち込むし、それにいつもその人たちと一緒のシフトでバイトはいるわけじゃないんだから。


あ、そういえば最近は笹野さんと一緒の時間にバイト入ってないな…


「ちょっと優梨愛、聞いてる?明日のお昼に新しくできたケーキバイキングのお店いくよ。11時半に集合ね。」

「え?あ、うん。やったあ楽しみ!」


 私は突然の決定に戸惑う暇なく返事をした。う、うそ。聞いてなかった。明日はゆっくり休みたかったのに…。

でも、あたしが断って雰囲気壊すより行ったほうがいいか。みんなと食事するのも楽しそうだし。私はとりあえずみんなのノリに合わせた。



「おはようございます。」

「おはよー、久しぶりだね。」

「は、はい。」


 大学の授業を終え、私がバイト先に向かうと、フロントには笹野さんが立っていた。笹野さんとは何回かバイトに入る曜日が合わなかったから、会うのは約1週間ぶりだった。久しぶりに会うと、少し緊張した。でも、ちょっと嬉しかった。


「今日は金曜日で忙しくなると思うから、よろしくね。」

「はい、頑張ります。」


 私は、笹野さんから更衣室のカギを受け取りながら返事をした。笹野さんは、接客のときも、店員同士で会話するときも、相手の目を真っ直ぐ見て話をする人だ。だから、相手に対してちゃんと向き合ってるって分かるし、たぶんお客さんも安心できると思う。


今も、真っ直ぐに私の目を見て話してくれた。そういうところ憧れるな、私も接客業のバイトしてるんだから、人見知りでも相手の目を見て話せるようにならないと…そんなことを考えながら、私は更衣室に向かった。


「ロックグラス2つとグラ二ティー4つ、ジョッキ2つ出して。」

「はい。」


 やっぱり今日はものすごく忙しい。笹野さんの指示に返事をしながら、私は思わずため息が出そうになった。


厨房には、次々にドリンクのオーダーが入ってくる。それに並行して料理も出さなければならない…。私は、必要な数のグラスを出し、とりあえずわかるドリンクから作り始めた。


「とりあえず今できてるのだけでも持っていこうか。宮瀬さんお願いしてもいい?」

「はい。分かりました。」


 そういって私はグラスが8個乗っているトレンチの下に手をいれた。う…重たい…。この前のバイトで運んだ6つ乗せたトレンチでもキツかったからなー。


この前のバイトでは前田さんがあたしの様子に気づいてくれなかったから持ってったけど…。


「大丈夫?いけそう?」

「はい、大丈夫だと思います。」

「待って…やっぱ俺行くわ。」


 そういって笹野さんはトレンチをひょいっと持ち上げてしまった。


「え、いいんですか…すみません、ありがとうございます。」

「いいよいいよ。とりあえず分かる範囲でドリンク作ってて。」


 そんな会話をしている間にも、ホールにいる鳥沢さんの威勢のいい声が聞こえてくる。またお客さんが入ったみたいだ。


「提供お願いします!」


 私は笹野さんの背中に声をかけて、ドリンクづくりに戻った。よし、ジンバックと、カルーアミルクと、え、キティってどうやって作るんだっけ?メモ帳見ないと…。


やっぱり私が提供に行ったほうが効率いいに決まってるのに。笹野さんはさりげなく私の様子を見て提供に行ってくださった。申し訳ないけど、すごくありがたかった。


「大丈夫そう?お、キティ以外は作ってあるね。この機会だからキティの作り方教えるよ。」

「はい、ありがとうございます。」


 笹野さんは提供から戻るなりすぐに私にドリンクの作り方を教えてくださった。教えながらでも、笹野さんはあっという間にキティをつくってしまった。


「グラス4つだけど、宮瀬さんいけそう?」

「はい、これなら大丈夫です。提供行ってきます。」

「うん。お願いします。」


 パントリーを出て、私はふーっと息を吐いた。笹野さんは、やっぱりすごい人だ。相手の様子にすぐに気づけるし、優しくて、なんでもこなせてしまう。


先輩として尊敬する。そして、ちょっと憧れてしまう。私はそんなことを考えながらドリンクを運んだ。



 ブー、ブー、ブー…なんだよもう、うるさいなあ。私は枕元でバイブ音を鳴らしている携帯を手探りでつかんだ。


ん?電話?休みの日に誰だろう…私が寝起き丸分かりの声で電話に出ると、有紀のからかうような声が聞こえてきた。


「もしもし優梨愛?お前かんぺき今起きただろ。今日ケーキバイキング行くの忘れてたな?先店入って並んでるから早く来いよ。」

「え…ああああああああしまった!ごめん有紀。すぐ行く。」


 私は電話を切るとすぐに支度を始めた。うわーすっかり忘れてた。場所はたしか清水町のデパートだから…チャリぶっ飛ばせば15分で着く!


私は化粧もせずに洋服を着替えてすぐに家を出た。


 私がデパートにつくと、みんなは思ったより怒らずに迎えてくれた。


「優梨愛―、今席空いて座れたばっかりだから大丈夫だよ。」

「バイト遅くまでしてたんだから勘弁してやるわ。」

「ゆみの隣座ってー!」


 みんなの優しさに、私はおもわず笑みをこぼした。思えば入学して2か月以上たっているのに、こうやってみんなで食事に出かけるのは初めてだ。そう思うと、最初は乗り気じゃなかったけど、だんだん楽しくなってきた。


「みんなありがとう。あわてて来たからおなかすいちゃった。ケーキ取りに行こう。」


 私がそう声をかけ、みんなで立ち上がってケーキを取りに行った。それから、みんなで席に座り、ケーキを食べながら写真を撮ったり、ふざけたり、いろんな話をした。


「夢美―、優梨愛―、笑って笑って。はいチーズ!よし、あたし天才。二人ともめっちゃかわいく撮れた。」

「よーし絢、うちがあーんしてやるから口空けろ!」

「嫌だよ有紀にあーんしてもらうの。別に嬉しくないし。誰が有紀からあーんしてもらって喜ぶの?」

「え、うちの彼氏。」

「うそー!?有紀って彼氏いたの?こんなに男っぽいのに??」

「男っぽくて悪かったな!でもいるもんはいるんだよー!」


 絢のあまりの驚愕ぶりに、みんなで声をあげて笑った。この時の食事会は本当に楽しかった。こんなにふざけあうのも初めてだったし、こんなに長い時間みんなそろってしゃべれたのも初めてだったし、今日でさらにお互いのことを知れて仲良くなれた。


ずっと一緒にいたいと思った。4年間、このこたちと過ごせたら絶対に楽しいと思う。ずっと大切にしよう。私は、みんなのことを見まわしながらそう心の中で誓った。


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