魔王と勇者、時々神様
ーーさて、善村 善人が魔王で勇道 勇希が勇者だと語ったが彼女……喫茶【創造】の店主にして唯一の店員、創田 創瑠が何者かを語り忘れていた。
そもそも創瑠さんと俺や勇希は本来関わり合いがある間柄ではなかった。
何故なら、創瑠さんは元々が神様と呼ばれた存在だからだ。
……そう、お気づきの方も多いかもしれないがプロローグの物語(読み手は勇希)は俺と勇希と創瑠さんの物語であり、作者は創瑠さんの妹で現在放浪の旅に出ている創田 創璃が書いた物だったりする。
創璃さんについてはまたの機会に語るとして、今はその姉である創瑠さんについてだ。
俺と勇希で魔王と勇者の枠を埋めている為わかりやすいかもしれないが、彼女は元は神様でありしかも創造を司るーー所謂、創造主と言った存在に近い。
そう、近いだけで実際は創造主とは別物なのである。
つまり、彼女はなんでも出来るが偉くはない……そんな神様だ。
まぁ、神様と言われているだけあって力は強い。
何せ、一度人生を終えた二人にまで影響を与える呪いをかけれるぐらいだ。
それはそれは強い力がーー」
「一体、貴女は何がしたいんですか……創瑠さん……」
「あら? インパクトの強い善人くん擬きの自己紹介よ?」
下手だった?と聞かれても俺からはため息しかでなかった。
……さっきまでの創瑠さんアピール文は全て創瑠さんによる自作自演です。
「しっかし、店の前の掃除に飽きたのかと思えばいきなり自己紹介の自作自演とは……やれやれ、神様はよっぽど暇人なんだね」
「そんなことはないわよ? 掃除だって飽きたからやめたんじゃなくて、終わったからやめたのよ。 ……それに暇なのは店に誰もいないからよ?」
「おい、今さらっと俺たちを客じゃないみたいに言わなかったか⁉︎」
「……お客様? 追加オーダーはありますか?」
『ない(よ)』
二人同時の返答に舌打ちをかましてカウンターへと帰ってく彼女は店主として立派にやっている。……舌打ちさえなければ……
「ところで、善人くんも勇希ちゃんも今月は随分大人しいのね」
「俺たちが年中忙しいみたいに言わないで下さいよ」
たまにはゆっくりさせろー、と勇希共々声に出してアピールしたものの創瑠さんはやれやれといった表情を浮かべ、
「貴方たちなら大丈夫でしょうけど、しっかりしなさいよ? 先月も先々月もその前も……そう言ってたら何か起きたんだから……」
と、一度言葉を切り、
「貴方たちの呪いはまだ続いてるのよ……どっちかが死ねばもう片方も死ぬ……最悪の呪いが……」
表情に影を作る彼女だが、当の俺たちには関係無い。
何故なら、
「勇希は俺が守るし」
「善人はボクが守るよ」
それだけ言えば彼女の影も消えーー
「チッ……リア充爆発しろよ……」
影が濃くなっていた……ーー
前の話の続きだったりします。