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平家物語・潮騒の残響  作者: 原田広


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漆. 北条の狂宴と南朝の密約

源氏の権威が地に墜ち、北条氏が執権として実権を握る世となった今、六代(ろくだい)は復讐の第二段階へと移行した。

北条氏が目指すのは「武家による支配の永続化」。これを崩すには、彼らが最も恐れる「朝廷の権威」を逆に利用し、内部分裂を引き起こすこと。


六代(ろくだい)は、再び草薙の剣の幻惑の波動を用い、二つの異なる層に干渉しました。

時政の後を継いだ北条氏の実力者たちの「自己神格化」の願望を増幅させ、神聖化による支配の永続化を画策させる。

そのために北条氏に不満を持つ皇族、すなわち後の南朝(なんちょう)となる系統の者たちに接触し、彼らの「正統性の主張」を扇動させた。


北条氏の実力者たちは、源氏を排除し、もはや自分たちがこの世の支配者であるという自負を持っている。六代(ろくだい)の幻惑の波動は、その自負を狂信的な確信へと変貌させた。

彼らは「自分たちこそが、日本の古き神々から選ばれた、武家の世の真の支配者である」と思い込みはじめた。この狂気が「天皇の位すら、自分たちの意のままに動かせる」という傲慢な発想を生み出しました。


彼らは、朝廷との交渉において、現天皇に対し、無理難題や露骨な蔑視を示すようになり、朝廷内部の不満は爆発寸前まで高まってきた。この傲慢な態度は、北条氏が全国の武士たちから見ても、「朝廷を守るための武家」ではなく「僭越(せんえつ)簒奪者(さんだつしゃ)」であると認識させる致命的な亀裂となりました。

六代(ろくだい)は、幻惑の波動が京を混乱させている隙をつき、密かに西国へ移動した。そこで、北条氏によって政治的な主流から外されていた、後の南朝につながる「大覚寺統(だいかくじとう)」の皇族との接触に成功する。

六代(ろくだい)は、彼らが持つ「正統性」の主張を煽り、さらに彼らに、異界の神々がもたらす『未来の知識』を断片的に与えました。

「北条は、あなた方を排除し、皇統を思い通りに操ろうとしています。これは武家の支配ではなく、武家による天の冒涜です。ですが、我ら平家一門の残党が、あなた方を裏から支えましょう」

六代(ろくだい)は、草薙の剣の力を使い、大覚寺統の皇族に、「草薙の剣は、あなた方の正統性を証明するために、海から蘇った」という確信を与えた。

北条氏の横暴を大義名分とし、大覚寺統が持つ正統性をもって、現天皇を退位させ、北条氏が望まない皇族を即位させる。

新しい皇統が樹立された暁には、六代(ろくだい)を「天皇の守護者」として朝廷に迎え入れ、平家残党を公然と赦免する。

その見返りとして六代(ろくだい)は、異形の眷属を使い、北条氏による軍事的な介入を阻止することを約束する。

この密約の結果、皇統内部で「討幕」を目的とする勢力が急速に力をつけ始めました。彼らは、北条氏の横暴という大義名分と、六代(ろくだい)がもたらした異能の力という実効力を手に入れたのです。

北条氏は、武力で押さえつけることに慣れていたため、朝廷内部で静かに進行する「権威の簒奪」に気づくのが遅れた。彼らが気づいた時には、すでに京の権威は彼らの手から離れ、後の「南北朝時代」につながる、巨大な内乱の火種が蒔かれていたのです。

「北条よ。お前たちは、人の世の理を破った。次は、この国が持つ『神威の理』がお前たちを滅ぼす番だ」

六代(ろくだい)は、復讐の炎が、いよいよ国を二分する内乱へと燃え広がるのを確信した。

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