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平家物語・潮騒の残響  作者: 原田広


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終. 潮騒の影、人類の統合者へ

北条氏の滅亡をもって、平家の復讐は完結した。しかし、クトゥルーとの盟約によって得た深遠なる知識は、六代(ろくだい)に、人の世の小さな権力闘争を遥かに超えた、巨大な未来の脅威を予見させていた。

それは、「人ならざる別の異能の者」、すなわちクトゥルーの眷属ではない、別の次元や星辰から飛来する、人類にとっての真の敵の存在であった。

六代(ろくだい)は、もはや平家の再興や日本の支配といった矮小な目的ではなく、「やがて来る終焉の戦い」に向けて、全人類を一つの「統一勢力」としてまとめ上げ、防衛体制を構築するという、壮大な使命を自らに課した。


六代(ろくだい)は、北条氏滅亡後の混乱期(南北朝時代)以後も異能の力を用いて、日本の指導者たちに次のような「確信」を植え付け続けた。

日本の平和を維持するためには、日本が同じ統治構造のもとに団結しなければならない。なぜなら、真の脅威は海の外、空の向こうから来るからだ。

異形の脅威に対抗できるのは、異能の力を持つ平家の血と、その眷属だけである。彼らが「裏の支配者」として、人の世の歴史を最適な方向に誘導しなければならない。


六代(ろくだい)は、以降数百年間にわたり、潮騒の影を使って、日本の歴史を裏側から操作し続けた。

混乱期の終結を早めるため、有力な武将(後の織田信長や豊臣秀吉、徳川家康など)の夢に幻惑の波動を送り、「天下統一」への強迫的なまでの野心を植え付けた。彼らの行動の裏には、常に六代(ろくだい)の「人類統合」への誘導があったのだ。

異能の知識が人々に広がることを防ぐため、六代(ろくだい)は古文書や特定の技術(特に天文学や深海の知識)を回収・隠匿し、「人の世」の進化と「異能の領域」を厳格に分離した。


やがて、日本が一つにまとまり、大航海時代を迎え、世界が交流を始める時期が到来した。

六代(ろくだい)は、異形の眷属を世界各地に派遣し、各国で影響力を持つ組織や指導者の心に、「全人類が、やがて来る脅威に立ち向かうために、自発的に、最も異能に優れた指導者のもとに集結する」という思想を植え付けていった。


六代(ろくだい)は、遠い未来、星辰が特定の配置を迎える時、クトゥルーとは別種の「異能の者」が地球を狙って飛来することを予見していた。

その時のために、潮騒の影を地球規模の諜報・防衛組織へと成長させ、草薙の剣を核とする「対異能防衛システム」を、人知れず構築し続けている。

六代(ろくだい)は、すでに数百年の時を超え、その姿は異能によって不老のまま、静かに世界を見守り続けている。

壇ノ浦の潮騒の残響は、平家の復讐という形で始まり、やがて、全人類の未来を決める、壮大な「終焉の戦い」への序曲となったのであった。


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