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工業高校はデスゲームに最適です  作者: 霧ヶ峰藤五郎
序章 勇者編

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3/18

1棟 3幕 宵闇に紛れる獣

3人の死体を回収した後、講堂に戻る。

講堂のドアが開き、生徒たちは希望に

満ちた顔をしていたが

歩夢たちの惨状を目にし、希望が一変。

講堂は絶望に埋もれてしまった。


死体の入った袋を見た高田先輩の友人が

俺たちに詰め寄り、怒鳴り散らす。


「お前…お前らが…!!!」


俺の胸ぐらを掴み、揺さぶる。

無理もない。もっと早く俺たちが着いていれば…

…いや、待て。俺か着いた頃には3人とも

冷たくなっていた。

それにあの傷。

モンスターにやられた痕じゃない。

まさか…PKが…?!


色々考えていると彼は自分の話を聞いていないと

思ったらしく(実際聞いてなかった)

拳を振りかぶる。


「このクソガキっ!!」


拳が当たる寸前に目を瞑り、衝撃が来るのを待つ。

だがいつまで経っても衝撃が来ないので、

恐る恐る目を開けると、

もう1人の高田先輩の友達が彼を羽交い締めしていた。


「落ち着け!アイツが死んだのは

この子達のせいじゃない!

最年長の俺らがしっかりしなくてどうすんだ!」


と背後から彼に伝える。

彼はその言葉を聞いて少しづつ冷静になっていく。

舌打ちをした後彼は去っていく。


だが問題が解決した訳では無い。

高田先輩は恐らく誰かに殺された。

武器を使う魔物の存在も否定はできないが、

この階層で現れる可能性は0に等しい。


可能性として1番高いのは…


「PK…プレイヤーキラーか…

はっ。結局何処でもラフコフみたいなのは

出来んだな。」


SAOの世界でPKを行うレッドギルド

ラフィンコフィン。

それに近いものがもしかしたら

ここでも出来ているかもしれない。


むしろこの世界で

犯罪は俺たちが裁かねばならない。

ペナルティが無い分、犯罪を行うのは理解は出来る。

納得は到底出来ないが。


だがこれ以上根拠がない状態で考えても仕方ない。

今日のところは寝て、明日また調査してみよう。

そうして俺たちは焚き火を囲むように皆で寝る。

どうやら講堂はセーフティエリアのようで、

見張りのをする必要は無さそうだ。


だがこの中にもし、PKの犯人がいたとしたら…

いや、考えるのはよそう。

今は寝て体を休めなければ。

そのまま俺は意識が少しづつ薄れていく。

__________________________________________


翌朝

目が覚め、人員を確認するが

誰1人欠員はいなかった。

流石にここまで人目のつくところではしないか。


何よりここに来て2日目。

ここと向こうの時間の流れは

どうなっているのだろうか。

いや、考えても答えは出てこないな。


俺は頬を軽く叩き、目を覚ます。

軽くストレッチをして、体を温める。

攻撃隊のうち、小川と相良も起きて軽くストレッチを

している。

大和はと言うと、

狼の皮を自分に巻きスヤスヤ寝ている。

正直こんな状況でここまで寝れるか?

と疑問に思うがそれは置いておき、大和を起こす。

「んぁ…後5…いや10分寝かせて…」

等とほざく大和の頭を短剣の鞘で叩き、

無理やり起こす。

大和は「みぎゃっ!」という声にもならない声で

叫んでいた。


全員の支度が済んだところで(1人は半ば強制)

攻略、及び調査を再開する。

資材倉庫室とこの先は清水達と俺達で倒したから

安全に進めるな。

と考え警戒せずに資材倉庫室の戸を開けると

ライカンが飛びかかってくる。


俺はそれに反応できず肩を噛まれる。

自分のHPバーの数字が

1000/1000から996/1000に変わる。

思っていたより痛くない。

ゲーム的にも、現実的にも。

昨日確信したことなのだが、ここでは

痛覚や味覚等全ての感触が存在する。


もちろん殴られたり、モンスターから攻撃されると

痛いのだが、今回ライカンに噛まれても

犬に噛まれた程度の痛みのみだった。

いや勿論全く痛くないわけではないが、

我慢できないほどではない。


再び飛びかかりをしてくる

ライカンの喉に短剣を突き刺す。

これでひとまずここの安全は確保された。


それよりもだ。

昨日倒したはずのライカンがまた湧いている。

リポップしたのは確定だが

リポップの条件が分からない。


時間経過は恐らく無い。

昨日俺たちが最初のライカンを倒したのが

午前11時24分。

高田先輩を探しに行ったのが

午後4時16分。

約5時間あってリポップしなければ

時間経過では無いだろう。


特殊条件でほぼ間違いない。

ならその条件とは?

思い当たる節があるとするなら、


「夜を越す事…か?」


正直、今それしか頭に浮かぶ条件が無い。

ここら辺は要調査だな。


「しかし困ったな…高田先輩達が死んでた所まで

モンスターが居ない想定で来たから予定が

大きく崩れるな…」


そう、あの二人のようなほぼ無尽蔵のスタミナが

あればライカンの10匹や20匹余裕なのだが、

所詮俺たちはゲーマー。

そこまでスタミナがある訳がない。


等と考えていると、相良が、


「なあ歩夢。リポップ条件が時間経過じゃないなら

時々休憩を取りながら進めばいいんじゃないか?」


その言葉を理解するのに俺は時間を要した。

そうして次第に希望が顔に溢れる。

そうだ。その通りだ。

なんでそんな簡単な事に気づかなかったのだ。

何もぶっ通しで攻略しなくてもいいのだ。

そう独り言をつぶやき決心する。


俺たちは交代制で見張りをして

時々休憩を取る事にした。

ライカンの群れを倒したら

安全な場所で小休憩。

20分くらい休んだら

また出発。


これを繰り返していき

高田先輩達が死んでいた、教務室まで辿り着く。

死体は回収したが、血痕がこの部屋で起きたことを

鮮明に伝える。嫌なものだ。

俺は小川達の方を向き、


「ここに何か手がかりがあるかもしれない。

手分けして探そう。」


教務室を探索し始めて4分。

早速相良が手がかりを見つける。


「歩夢!見ろこれ!

机の上のプリントに足跡があるぞ!」


相良は机の上を指さし、歩夢を呼ぶ。

歩夢が近寄り覗いてみると、

確かにプリントに足跡が付いている。

それも立った事で付いた足跡ではなく、

ここを足場にしたかのような、

擦れている足跡だった。


もう少し探してみると、

至る所にそういう足跡があった。

確定だ。

ここで誰かが高田先輩達を殺したんだ。

足跡のサイズからして、そこまで身長は高くない。


いい手がかりを手に入れた。

後はこれを講堂に居る皆へ━━━━━

そう思った刹那、殺気を感じ取り俺は咄嗟に

短剣で防ぐ。


甲高い金属音が鳴ったと思ったら、俺の目の前に

ローブを被った人が現れる。

身長は165…いや160cmくらいだろうか。

恐らくコイツがPKの犯人…!!

ヤツは不満そうに舌打ちをする。


「面倒臭いことになったな。」


俺はすかさずヤツに目的を問う。

しかしヤツは俺のことを気にもとめず、

何処かへ去ってしまった。

俺は奴を追おうと歩き出そうとするが、

ポン。と肩に手を置かれる。

手を置いているのは小川だ。


「これ以上追っても逃げられるだけだ。

ここはひとまず講堂に戻ろう。」


そう小川に言われ、俺は逸る気持ちを抑えつつ

講堂に戻る。

__________________________________________


「PK…か…」


杵鞭がそう呟く。

俺たちはクラスメイトのみに

PKの事実を伝え、相談する。

楽観的な思考だが、クラスメイトに

PKの犯人は居ないと考えたからだ。


いやまぁ古室とかならやりかねないが

流石にそこまでの奴な訳ないと頭の中で答えを出す。

今俺たちのクラスで残ってるのは23人中、20人。

女子二人と後藤はロキによって殺されている。


その内PKをしそうなのが消去法で

古室しかいないのだ。


無愛想だが意外と優しい植木。

天然で皆に好かれる大野。

話すと気さくな小川。

キチガイの大和。

賭け事が好きだが根は真面目の杵鞭。

ド変態で空気の読めない古室。

淫夢厨だがコミュ力抜群の相良。

ゲームも人生も上手くやっている颯人。

運動できる系坊主の優太。

近寄り難いが仲良くなるととことん優しい清水。

俺。

授業妨害はするが話すと面白い塚野。

パソコンつよつよ系音ゲーマー永井。

残念イケメン長井。

秀才アルバイター西潟。

誰にでも優しくノリのいい長谷川。

暇人の星野。

図体の割にビビりな細川。

脳筋ホモ山口。

特級呪霊を仕える現代の異能 渡辺。


まぁざっと俺のクラスの説明はこんなものだろう。

どうだ?良いヤツらだろ?

こんなヤツらがPKをするとは思えない。

そんなヤツらに俺はこの先を相談している。

こいつらなら…そんな楽観的な考えで。


だがコナンでも金田一でもないただの高校生に

そんなすぐに犯人がわかるわけも無く、

全員が首を横に振るばかり。


「弱ったな…降り出しに戻ってきた…」


いや、待て。

PKPは1人とは限らない。

もし、もしPKP達の集会があれば恐らく夜中。

今日中張ってれば何か分かるかもしれない。

そう決心した所いきなり肩を叩かれる。

突然の事に驚きつつ、そちらを見ると小川がいた。


「歩夢、何か思い付いたんだろ?付き合うぜ」


そう言って「ニッ」と笑う小川を見て俺は

恵まれたなぁとしみじみする。

__________________________________________


出入口が見える壁に寄りかかり

片方が寝たフリをする。

小川と俺で交代で眠り、出入口を見張る。

睡眠不足で戦えない、

なんて言うリスクを少しでも減らすためだ。


何時間待っただろうか。

小川に肩を叩かれ目を覚ました俺が

「まだ交代じゃないだろ…」と目を擦りながら

小声で小川に文句を垂れる。

すると小川は


「違う歩夢。今2人が講堂から出ていった。

顔は見えなかったが、あの身長は昼間の奴で

間違いねぇぞ。」


その言葉に興奮して声を大きく出しそうになるが

必死に抑える。

静かに誰も起こさないようにゆっくりと講堂から出ていく。


時刻は2時46分。

モンスターがリポップしていても、先に出ていた

という2人が倒しているだろう。

今のレベルは

小川が4で

俺が6。

レベル差は俺のスキルで広がるから仕方ないとして、

3日目としてはかなり高いレベルなのは間違いない。


慎重に音を立てず、教務室まで移動する。

道中は思った通りライカンの死体が転がっていた。

教務室に着いた俺たちは窓から様子を見ようとするが

何かが下ろされていて見えず、ドアのガラスも

磨りガラスで何も見えない。

このままここにいても埒が明かない。

勢いよく教務室の戸を開ける。

だがそこには散乱した椅子とパソコン、

それにプリントと静寂があるだけで

人はいなかった。


「何だ?人っ子一人いねぇぞ…」


だがそんな事があるか?

ここから先は何故か進めなくなっている。

すれ違うはずがない…


「…?!まさかっ?!」


咄嗟に上を向くと何かがこちらに猛スピードで

突進してくる。

俺はそれを順手持ちの短剣で受け、右側に斬り払い

襲撃者と距離を取る。


「大人しく死んでくれたら楽だったのになぁ」


と短剣を揺らしながらこちらに不満をぶつけてくる。

それに俺は


「そりゃ残念だったな!」


と煽り返す。

ちらりと小川の方を見ると

小川も短剣を取り出しており、

奇襲を防ぐことに成功したようだ。

襲撃者は俺に向かって


「俺は友達は殺したくなかったんだけどなぁ。

この際仕方ないか。」

「友達…?な…何を…言って…」


徐々に雲が晴れていき、

月明かりが教務室を照らし始める。

それにつれて襲撃者の顔が明るみになる。


「ま…さか…」

「残念だよ歩夢。この手でお前を

殺さなくちゃいけないのが。」


そこにたっていた襲撃者は…


「植木…」








暗く


暗く


さらに暗く


闇がこの世を包みこむ


闇は魔物を形作る。


闇は魔物に力を与える


闇は魔物に命を与える



深く


深く


さらに深く


闇が包む

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