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工業高校はデスゲームに最適です  作者: 霧ヶ峰藤五郎
2章 深淵編

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2棟 4幕 一難去って闇

インベントリからロープを取り出して小川の足を縛り、止血させる。

傷口も焼いた。

小川の傍に松葉杖代わりの直剣を置いておき、

俺は古室の方を向く。

さっきの光る人影も気になるが、

コイツを放ってはおけない。

古室は腹を抑えながらこちらへ歩いてくる。

左腕は無くなり、腹は裂けている。

致命傷だ。

このままゴリ押せば行ける。

そう思っていると古室が弱々しく、

血を吐きながら一言一言口に出して詠唱していく。


「深淵…の冥…王…ベズドナ…

その力…我が身に…再び立…ち上がる…力を与えん」


息を飲み、

詠唱を止めるべく駆け出して行くがもう間に合わない。


「シャドウ・ヒーリングッ!!!!」


突如古室の手から()が飛び出て腹の傷を塞ぐ。

左腕も血が止まっている。

俺は息を飲み、古室はほくそ笑む。

口を開き、こちらを見る。

その口は血と唾液が混ざり、糸を引いている。


「第2ラウンドだ。烏丸。」

__________________________________________


颯人視点


畜生、畜生!

細川がここまで強いなんてっ!!

俺は心の中で愚痴を零す。

大野達が起こした霧の中で細川を抑え続ける。

大和と小川は古室と殺りあってる。

歩夢は吹き飛ばされたし、

杵鞭と山口はこの霧の中じゃ俺を見つけるのは厳しい。

相良は戦力外。

俺一人で細川を抑えなければ。

細川の槌の振り回しを何とか槍で流し、

耐えているがそのうち限界が来る。

そんな時、いきなり後ろが明るくなる。

俺も細川も勢いよく振り返ると、

そこには


発光してる歩夢が立っていた。

細川は吹き出してしまい、

俺は目を丸くして口が開いたまま固まってしまった。

__________________________________________


歩夢視点


は?

なんか光ってる。

どれどれ。

そう言ってズボンを引っ張り中を見る。


「リトル歩夢も光ってる…!!」


何故急に光り出した?

さっき食った肉か?

あれがなにかスキルを持ってたのか?

でも発光するようなモンスターには会ってない筈。

じゃあ何故だ?

俺の3つ目のスキルとして発光を貰ったのか?

いや、それはない。

そうだとしたらウィンドウに何かある筈。

でも、それらしいメッセージは無い。

発光…

そういえば光がそんなスキルを持ってるって

言って…た………


「ま…さか……」


独り言を零しさっきまで倒れていた場所に目をやる。

そこには

頭は潰され、腕は食いちぎられた光らしき死体がいた。

俺は自分がした事を理解、恐怖し、

その場で吐いた。

光を全て吐いても体の発光は止まらなかった。


「畜生…おちょくりやがって…」


口から吐瀉物を垂らしながらゆっくりと立つ。

俺は人喰いだ。

なら…


「お前も喰ってやる。細川。」


細川がその言葉に恐怖したかのように、

身震いした後、顔つきが変わり、俺に駆け出す。

俺は細川の槌を峰に手を当ててガードしつつ颯人に叫ぶ。


「颯人ッ!!!貯めとけッ!!!」


颯人の返答も聞こえないほど早く、引き離される。

剣を前に押し出し、細川を止めた時には

壁際まで追い詰められていた。

出来れば颯人のスキルでこいつと古室を同時に殺りたい。

でもここまで人が多いと颯人も狙いを定め辛い筈だ。

それに細川と古室が重なる瞬間を作らなくてはならない。

難しいなんてレベルじゃない。

でも、この発光があれば…

アイツが…厨二病(大和)が二人を止めてくれる。

俺は目を閉じ、全身に力を入れて体の発光を止める。


「ライトチャージ。」


細川に聞こえない程度の声量でスキルを発動させ、

体に光を溜め込む。

やってやる。

俺も…


「俺も…英雄に…!!」


細川の槌振り回しを止めながら隙を伺う。

アイツの隙と合わせつつ、颯人のチャージを溜めさせる。


「やる事が多くて辛いぜッ!!」

「だからって手加減は出来ねぇよ?」


細川が俺の独り言に返す。

その言葉を俺は鼻で笑い、さらに打ち返す。


「はっ!上等!!」

__________________________________________


闇魔法かっ?!


古室は闇で作った剣を振り回し、

俺を刺身にしようとしてくる。

振り方はめちゃくちゃだが、

雑に降ってる分剣筋が読めねぇ。

防御に徹するのが精一杯だ。

それに予備の短剣で防いでるから耐久値も心配だ。


「っ?!」


思考を巡らせていると古室の左手から黒い鞭のようなものが大量に現れる。

俺は焦りつつ腰の短剣を引き抜き、双剣で全て弾く。

直剣は小川にあげたから短剣二刀でやるしかねぇ。


「はっ!!さながらリトルルーキーってか?!」


そのうち炎雷が手から出たりしてな。

そんな冗談を言っている暇など無く、

古室の激しい連撃が俺の精神を確実に削る。

コイツもコイツだ。

HPも1割切ってるのに執着だけでここまでやるか…

俺が大きな隙を作りたいが、

それを許してくれる隙が無い。

そしてその隙を作れるのは歩夢だが、

その小さな隙を作るのに俺の作る隙が欲しい。

この均衡を崩す一手が欲しい。

もう一度コイツの腕を落とせたら…

古室の手から伸びる闇の鞭を弾きつつ、

策を練り続けていく。


その時、急に肌寒くなる。

古室は必死に攻撃を繰り返しているからか、

気にも止めていない。

発生源を目で探ると小川が伝達魔法を歩夢に送りながら凍結魔法を行っていた。

俺にも伝達魔法が来る。

脳に直接言葉を送られるのは変な感覚だが、

小川の策を聞き、俺はニヤリと笑う。

__________________________________________


歩夢視点


そしてその作戦が小川の合図により始まる。


その1.合図で戦闘中の全員は目を瞑って欲しい。


俺たちは一斉に目を瞑る。

古室が疑問に思いながら闇の剣を振りかぶるが、

上手く行きすぎている作戦に思わず笑みが零れる。


その2.その隙に歩夢が貯めておいた発光を発動させ、

ヤツらの目を晦まして欲しい。


一気に光を放ち閃光手榴弾の要領で古室と細川の目を潰す。

2人は呻き声をあげ目を押えながら暴れる。


その3.目を潰された二人を凍結魔法で俺が抑える。


小川は一気に氷の針を無数に生やしながら古室達を凍結させる。

細川が声を漏らし、古室が叫びながら拘束された

その刹那。

大和が足を上げる。


その4. ぶちかませ。


大和が大きく足踏みをして地面から伝播するように

無数の槍やレイピア、大剣が飛び出すように

現れていき、古室と細川の身体を貫く。

身体の動きが止まる。

古室は血を吐き、細川はさらに呻き声を上げる。

すかさず大和が俺達の方へ叫ぶ。


「二人の動きを止めた!!やれ!!颯人!!」


颯人方を向くとおよそ15分貯め続けた筋肉は肥大化して、人1人包めるほどになっていた。

颯人が大きく咆哮する。


「うあああああああああああああああああッ!!!」


最上位スキル 地壊の槍(ちかいのやり)の突き攻撃が細川を貫き、そのまま古室を貫く。

二人の腹に大きく風穴が空く。

特に細川は内蔵部が全て吹き飛びもう意識は殆ど残っていなかった。

細川は最後に言葉を漏らし、力なく倒れる。


「さくら…ご…め…んな…」


細川の体が結晶化していく。

俺は細川を放っておき古室の前で立ち尽くす大和の方へ歩く。

古室が大和に話しかけている。


「たった2人を24人でリンチするか?普通。」


古室の言葉を大和は鼻で笑い飛ばし、返す。


「そもそもお前が普通じゃねぇからな。」


古室が力なく笑う。

まだかなり喋れるようだ。

情報を引き出せるかもしれない。

そう考えながら歩みを早めると、

不意に小川に目が行く。

松葉杖の代わりに直剣を使っているがレベルアップで

HPは回復しているのか、割と元気に立っている。

もうステ振りを済ませたのかと驚きつつ

小川に声をかけようと顔を見ると、

そこには闇があった。

正確には表情から溢れ出る憎悪が闇として溢れていた。

言葉に詰まってる中小川は少し歩き、

躊躇なく古室の腹を直剣で突きさした。

ついに終戦。

しかし、闇はついぞ消えぬ。

深淵は常に貴公を見ている。

その闇で

何を殺す。

何を壊す。



次回 善なる悪意

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