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1棟 1幕 日常の崩壊

拝啓 この作品を見に来てくださった皆様


お初にお目にかかります。

霧ヶ峰藤五郎と申します。

本日からこちらのシリーズを書かせていただきます。

ゆっくり自分のペースで書いて行くので

優しく見守って頂けたら幸いです。

今後とも何卒よろしくお願いします。


敬具 霧ヶ峰藤五郎

君たちは工業高校を見た事あるかな?

大半の人は見た事ないだろうね。


あんなほぼ男しかいねぇ監獄みたいな所知らなくても

良いけど、今回の話はその工業高校のお話だよ。


このお話を読む前に少し知識を入れておくと更に

面白くなる…かも…?


まぁそんな訳だからここから先を読むのは

自分のペースで読もう!


え?僕が誰かって?




僕は神さ。


すこーしイタズラが好きな…ね。



__________________________________________


「うぅん…」


この少年「高橋 歩夢」が床の冷たい感触で目を覚ます。

「なんだ?ここどこだ?」と考えつつ寝ながら周りを見渡すが黒い物が周りを覆っており、何も見えない。

耳を澄ますが、音もほとんど聞こえない。


不思議に思いつつ床の板を押しながら身体を起す。

そこには200…いや300はゆうに超えている

人の塊があった。


みんな死んでいるのかと思ったが胸は動いている。

息はあるようだ。


「な…なん…だ…これ…」


だがそんなもの歩夢の目には入らなかった。

驚愕、動揺、焦り、恐怖。

様々な感情が歩夢にのしかかる。


その感情の重さに耐えられずしりもちをつくと、

近くにいた人を尻で踏んでしまう。

「うぎゃっ!!」と叫びその少年は起きる。


その少年の名は「小川 翔太」

歩夢の数少ない友達で

いつも昼飯を食べた後デュエルをする仲である。

寝ぼけつつ小川は


「んぁ…?なんで歩夢が俺の家に…?」


と、欠伸をしながら歩夢に質問をする。

それに呆れつつ歩夢が早口で状況を伝える。


「ここ、家なんかじゃ無いぞ!周り見てみろ!」

「ん?」


眠い目をこすりながら辺りを見渡す小川だったが

みるみるうちに顔が青ざめていく。


「な…なんだこれ…」


突然やって来た非日常に空いた口が塞がらない。

急いで周りのヤツらを起こし、状況を伝えていく。

しかし、何度起こそうと、何度伝えようと

この状況を知るものはいなかった。


そして途中から気づいたがここは歩夢や小川が

通っていた越後信越工業高校の講堂にそっくり…

いや広さこそ違うものの中身はそのままだった。


そしてここで寝ていた人の全員である、

およそ400人全ての人が越後信越工業高校の生徒であることもわかった。


「どういう事だ…?俺たちは家で寝ていたハズ…」

「どの道いつも通ってる高校だろ?普通に帰りゃ

いいじゃん。」

「それが出来そうな雰囲気か?わざわざここの生徒全員を集めてんだぞ?何も無い方が不思議だろ。」

「そりゃそうだけどさぁ。」


3年生達がざわつきだす。

1年生は恐怖に脅え震えている。

歩夢達2年生はと言うと

知っている所とはいえ、いきなり連れてこられて

かなり警戒していた。


そんな状況で突然、

講堂のステージから声が聞こえてくる。


「やぁやぁこんにちは下界の子供達。」


いきなり奇抜な格好の白塗りや赤鼻をしていないピエロのような人物が現れ喋り出すその人物にほぼ全員が

恐怖する 。


「僕はロキ。この世界における神さ。」


__________________________________________



神?それもロキ?ロキと言えば北欧神話に出てくるイタズラ好きな神のはず。

400人近くをイタズラでここに呼んだっていうのか?

等と思考を巡らせていると、ロキが口を開き


「君達は今『何故?』と思っている事だろうね。

突然神の名を口にする奴が現れたんだ。

無理もない。」


ロキはそう言い終わると歩き出し


「君たちをここに呼んだのは他でもない。

暇つぶしだ。」

「「「?!!!」」」


生徒たち全員が言葉を吞む。

それを確認したかのようにロキはこちらに向き

両手を広げる。


「神は娯楽に飢えていてね。こうやって

下界の子供達で遊んで暇を潰してるのさ。

今回が初めてじゃないよ?」


そう言い口に指を当ててケタケタ笑うロキを見て俺は恐怖を覚える。

暇つぶしで人の命で遊ぶって?


そんなの人の域を超えて…いやそうだ。

コイツは神なんだ。人間の命なんか毛ほども

興味ないんだ。

もはや笑えてくるな。と思っていると、

クラスメイトの後藤がロキに向かって


「はっ!なーにが神だ!めんどくせぇ事しやがって。

俺は帰る!あとは勝手にしろ!」


と叫ぶ。こいつの空気の読めなさ加減もだが

今この状況で自分たちが上だとでも思っているのか?コイツはどこまで馬鹿なんだ?

等と考えていたが

後藤の言葉にロキは不機嫌そうに答える。


「人間風情が僕に生意気だな。

1度だけチャンスをやる。」


と後藤を睨み、脅すが

その言葉に後藤は尚も態度を変えず


「何度でも言ってやる!神なんて子供じみた事

言ってんじゃねぇよ!このクソ厨二病が!」


指をさし、ロキにそう言い放つ。

その言葉にロキは堪忍袋の緒が切れたようで、

指を後藤に突き出したかと思った刹那、

後藤の頭が弾け飛んでいた。


「人間風情が。僕自ら罰を与えた事を光栄に思え。」


突然人が…知り合いが目の前で死んで動揺を隠せない小川と俺。

後藤がいた周りには血の海が出来ており、

後藤の指が次第に動かなくなっていく。

一部の人間はその場で吐いてしまった人も居た。

だがここで騒いでも奴がまた不機嫌になるだけ。

我慢だ。ここは我慢。

それを本能的に認識した人達は悲しみと怒り、そして

恐怖を奥歯で噛み締め離さないかの如く

歯を食いしばり、耐える。


だが女子生徒はそう黙ってはいられなかったらしい。


「キャアアアアア!!!!!!」

「嫌ァァァァ!!!!!!」

「許して!!!!お願いします!!!!なんでもしますからぁ!!!!」

「家に帰して!!!!」


そう女子生徒達は騒ぎ出す。それに耐えかねて男達も

数人発狂しだす。


「うあああああ!!!!!!!!」

「助けてくれぇ!!!!!!!!!!」

「母さん!!!!!!!!助けて!!!!!!!!!」


無論、そんな事をしても家に帰れる訳が無い。

むしろ…


「ピーピー喚くな。耳障りだ。」


ロキの逆鱗に触れてしまった人達、およそ14人が

また、頭を弾かれた。

大量の血を吹き出しながら何人もの人が倒れていく。


本当に始まってしまったのだ。

今、ここで 「デスゲーム(神の暇つぶし)」 が。

自分達が通ってきた、この高校で。


後藤含め15人の頭を飛ばしたロキは指を下ろし


「ルール説明をしようと思っていたが

機嫌が悪くなった。僕は天界で見させてもらう。

ルールを書いた紙と武器選択箱を君達全員に配る。

後は好きにしろ。」


そう言い放つとロキはフッと姿を消してしまった。

少しの静寂の後、3年生の一人が


「これからどうするんだ…アイツ…ロキは

ルール用紙と武器を配るって言ってたはずなのに

未だに誰も何も貰って無いじゃないか。」


確かにそれもそうだ。

アイツが天界に帰ってから渡すのか、

それとももう渡されてる…?

だがそれならどこに…


と考えていると突然小川が


「インベントリ!」


と叫ぶ。

するとまるでゲームのインベントリのような物が

小川の周りを浮いている。


近い物だとSAOのステイシアの窓だろうか。

だがステイシアの窓と圧倒的に違うところがある。

それはインベントリやステータス画面、

クエストログにスキルツリー等と、幾つもの

ウィンドウがある所だ。


そこに関心していると小川が突然叫ぶ。


「ビンゴ!インベントリにメモ用紙と

ウェポンボックスっていうのが入ってるぞ!」


それに他の人が声を上げ

続々とインベントリを開いていく。


「おぉ!インベントリ!」

「俺も!インベントリ!」

「本当に入ってるぞ!確認してみよう!」


__________________________________________


ここでのルールはこうだ。


1. ここは君達が居た世界ではなくゲームのような世界である事。


2. ここはレベル製MMOのような世界である事。


3. ここの高校に湧いてくる敵を倒すと経験値やアイテム、金が手にはいること。


4. この高校の大きさを何倍にも引き上げ、部屋と部屋を繋げたり、壁を作ったりしてダンジョンにしている事。


5. 階層ごとにボスを設置していてそのボスを倒すと

上の階層に行け、最上階にいるボスを倒すと次の棟に行ける事。


6. 最後の棟の最上階のボスの素材で正面玄関の鍵を作り脱出する事。


7. PKや窃盗等の犯罪行為は神は黙認するが

君達が裁くか否かは自由。


と書いてあった。

要約したらSAOに参加したみたいな物だ。

そこまで複雑ではない。だがシンプルだからこそ

事の重大さにすぐ気づける。


これから一挙手一投足が命取りになる。

ステ振りをミスればモンスターに対応できなくなる。

金もそうだ。ショップからは防具、回復アイテム、

食料、テント、その他のものが色々ある。

どこで何を使うかも考えなければならない。


そうだ。ここはゲームであってゲームじゃない。

茅場晶彦の言葉を借りるとするならばここは

「ゲームであっても遊びではない」

俺たちは何としてでも生き残らなければならない。

家に…帰るべき場所に帰るために。

それは人を喰らう

それは魔物に力を与える

それは人々に恐怖を植え付ける

それは人々に死を与える

それは人々に救済を与える

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