光の剣、闇の檻(やみのおり)/ 血の契約、焔の継承
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王都・フェルシュタット。
白金の城壁に囲まれた都は、今なお栄華を誇るように煌めいていた。だが、その地下には誰も知らぬ影が広がっていた。
その中心――王国錬金術研究所・第零実験区画。
「“浄焔”の発現を確認……これで三百年ぶり、か」
研究台に肘をつきながら、白衣の男が呟く。
その名はヴァイル=ノーグ。
かつて都を滅ぼした“焔の巫子計画”の再始動を狙う、王都錬金術派の首謀者だった。
「これで、“器”は揃った。あとは導火線に火をつけるだけだ」
ヴァイルの背後には、ガラス管の中に眠る子供たち――焔の素養を持つ者が、冷たい培養液の中で眠らされていた。
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その頃、王都に入った遜大たちは、密かに研究所への潜入を試みていた。
「ここが、かつて明煉の母が働いていた施設……」
柊が呟く。彼女の記憶の断片から導き出されたその場所は、既に廃棄されたはずの旧研究棟だった。
だがその奥、厚く閉ざされた扉を開くと――
そこには、血文字で記された手記と、壊れたナイフ、そして古びたロケットペンダントが残されていた。
「これは……俺の……母の……!」
明煉は膝をつき、震える手でペンダントを握りしめた。
中には、彼が赤子だったころの写真。そして裏には、母が書いた一行の文字。
「あなたの焔が、どうか誰かを救えますように」
そのとき――
警報音が鳴り響いた。
「見つかったな……!」
遜大が剣を抜く。
「行くぞ、明煉。もう迷っている暇はない!」
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研究所の兵が押し寄せる中、明煉の焔が再び輝いた。
剣先から放たれる光は、敵の目を眩ませ、道を拓く。
「その光……“破壊”でも“焼却”でもない、“突破”の焔……!」
柊が叫ぶ。
だが、その先で彼らを待っていたのは――
白衣を着た男、ヴァイル。
「ようこそ、“光の子”よ。私が待っていたのは、お前だ」
明煉の焔が、鋭く反応する。
「……お前が、母を……?」
「彼女は優秀だった。“炎を癒やす”という異端の焔……だが、王国は“癒し”など望まなかった。必要だったのは“絶対の力”だ」
明煉の剣が閃く。
「お前のために、俺の焔はあるわけじゃない!」
戦いが始まる。
ヴァイルは、焔を模した錬金兵器を次々に起動させる。
人型、獣型、あらゆる“偽りの焔”が襲いかかる。
遜大と燈火が応戦し、柊が封術で援護するなか――
明煉はただ、まっすぐにヴァイルのもとへ向かう。
「母の願いを、俺が終わらせる……!」
そして――
焔は、闇の檻を打ち砕く。
剣の光が研究棟を照らしたとき、明煉の瞳には、はっきりと“道”が映っていた。
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ヴァイルの放った最後の錬金兵器が、火花を散らして崩れ落ちた。
研究所の天井からは、瓦礫と炎が降り注ぎ、空気は焼けた金属と硝煙の匂いに包まれていた。
「くっ……まだだ」
ヴァイルが血を流しながらも立ち上がる。彼の片腕は既に焼け落ち、目には狂気と執念だけが残っていた。
「焔は、誰かのためにあるだと? 笑わせるな! 焔は選ばれた者の手で、世界を焼き尽くす力となるべきだ……!」
明煉は静かに歩み寄った。
「それは、“契約”じゃない。お前が言うのは、ただの支配だ」
ヴァイルの足元に描かれていた魔方陣が、不気味に光を放つ。
「ならば……“契約の血”で決着をつけてやろう。焔の継承者よ!」
その瞬間、ヴァイルの胸に埋め込まれた“焔核”が露出し、赤黒い光を放つ。
「これは……“焔の模造核”!? 自らの命を核に……!」
柊が叫ぶが、遜大は剣を構えたまま静かに言った。
「下がれ。ここからは、明煉の戦いだ」
明煉の剣が、白く揺らめいた。
その焔は、もはや熱ではない。怒りでも、悲しみでもない。
——それは、守るための誓いそのもの。
「母が遺した願い。皆がくれた力。……これが、俺の焔だ!」
模造核から放たれる黒炎が襲いかかる。
だが明煉の剣は、それを静かに裂き、切り払いながら進んでいく。
ヴァイルの叫びも、悲鳴も、もう聞こえない。
ただ、光だけがそこにあった。
そして――
「……終われ」
焔の剣が、模造核を真っ二つに断ち割った。
ヴァイルの体が崩れ、静かに灰となって消えていった。
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崩れゆく研究所から脱出した一行は、王都の裏路地に身を潜めていた。
明煉の手には、燃えるように淡い金色の光を宿した剣。
それは、母からの願いと、仲間たちの信頼、そして自身の選択が融合した、“新たな焔”だった。
「これで……終わったのか?」
楓がぽつりと呟く。
遜大は首を振った。
「いや。まだ始まったばかりだ。“焔を継ぐ者”の物語がな」
その言葉に、明煉は剣を見つめ、ゆっくりと頷いた。
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その夜。王都の遠く、北方の荒野にて――
誰かが、崩れた模造核の破片を拾い上げた。
「やはり動いたか、明煉……お前の“浄焔”が、次の鍵となる」
声の主は、漆黒のマントに身を包んだ謎の男。
その手には、焔核を模した新たな装置が光っていた。
「“焔の遺民”たちが目覚める時は近い……」
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次回も楽しみに




