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もう一つの〇〇  作者: マーたん


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42/65

封印の間

続きをどうぞ

地下へと続く石階段は、驚くほど長く、そして深かった。

空気は重く湿っており、誰も言葉を発さぬまま、ただ焔の剣の光を頼りに進む。


やがて、一行の前に巨大な扉が現れた。

扉の中央には、円環状の紋章。灰炎兵を目覚めさせたものと同じ意匠が刻まれている。


「ここが、焔の本殿……?」

柊が呟いた瞬間、明煉の剣がわずかに震えた。


「反応してる。俺の焔が……扉に導かれている」


遜大が周囲に目を配りながら低く言った。

「誰かが、あるいは“何か”がこの奥に眠ってる。気を抜くなよ」


明煉が剣を扉にかざすと、円環が静かに赤く灯り、やがて轟音とともに開かれていった。


中には――


荘厳な神殿跡のような広間。そしてその中央に、**燃え上がる“焔の柱”**が浮かんでいた。


「……まさか、これは……生きている?」


その焔は人の形を取ろうとするかのように、時に流動し、時に脈動する。


と、そのとき。


「来たか、焔の継承者よ」


声が響いた。だがそれは誰の口からでもなく、焔の柱そのものから発せられていた。


「……継承者?」


「お前の焔は、“癒やし”と“浄化”の力。その資質は、かつて灰の都に選ばれし唯一の巫子――“ミハル”に通ずる」


「ミハル……?」


柊が即座に記憶を探る。

「記録にあった、“焔を収めし白き巫子”。伝説に近い存在だ……」


焔は続けた。


「彼女の願いはただ一つ。“焔が争いの道具とならぬよう、真の継承者にその力を託す”こと――お前の中に、その灯がある」


すると、焔の柱の一部が柔らかく明煉の胸元に触れ、彼の剣にゆっくりと吸い込まれていく。


「……これは、記憶……? いや、意思……?」


まるで千年の願いが流れ込んでくるように、明煉の瞳が深く染まった。


その瞬間、柱の焔はすべて吸収され、剣の輝きが劇的に変化した。

赤ではなく、金と白の混じった光――浄焔じょうえん


それはもう、ただの火ではなかった。


「……これが、俺の焔」


明煉が小さくつぶやく。


すると、その瞬間、神殿が激しく揺れた。


燈火が叫ぶ。

「地下の崩落!? 遺構が崩れる!」


遜大が叫ぶ。

「もう目的は果たした! 出るぞ、全員!」


光を放つ剣を携え、四人は駆け出す。


背後では灰に満ちた都が、再び静かに地に還っていく。



焔の浄化を果たしたその夜。


彼らは再び山を越え、遠くに見える平野を望む。


その向こうに――新たな戦乱が待っていた。


「王都の“焔の研究所”……必ず、あそこに行く必要がある」


明煉の瞳は、今や揺るぎなかった。


その手には、浄焔を宿した剣があった。



次回も楽しみに

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