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もう一つの〇〇  作者: マーたん


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「裏切りの刃」

読んでね

エピソード9「裏切りの刃」


夜の帳が落ちる頃、今川の陣営の中で、梨鍋遜大はしなべぽんたは息を潜めていた。


かつて愛した女、柳原和泉やなぎはらいずみと再会したものの、彼が織田の密偵であることを悟られれば即座に命を落とす。背筋に冷たい汗が流れる中、彼は和泉の反応を待った。


和泉は兵たちに向き直り、平静を装いながら口を開いた。


「この者は、昔から私の知る者。敵ではありません」


兵たちは怪訝な表情を浮かべたが、和泉の言葉を無下にすることもできない。彼女は今川家の側近の娘であり、信頼も厚い。その言葉に従い、兵たちは一度その場を離れた。


だが、遜大はまだ気を抜くことはできなかった。


「……助けるつもりか?」


「今すぐ出て行って。これ以上、ここにいればあなたは死ぬ」


和泉の瞳には、かつてのような優しさと、微かな悲しみが宿っていた。


遜大は一瞬迷った。彼女を信じてよいのか? それとも、これは罠なのか?


決断の時


しかし、その躊躇はすぐに断ち切られた。


陣営の奥から、不穏な気配が漂ってくる。


「織田の密偵が紛れ込んでいるとの報告がありました!」


別の兵たちの声が響き、陣営全体が警戒態勢に入る。


遜大は舌打ちし、和泉を見た。


「行け!」


和泉は彼を押し出すように背中を叩いた。


「私は何も見ていない。だから……あなたも私を忘れなさい」


彼女の声には微かな震えがあった。


遜大はわずかに頷き、夜の闇へと紛れた。


信長の元へ


必死に駆け抜け、織田の陣に戻った遜大は、信長の元へ報告に向かった。


信長は焚き火の前で、じっくりと何かを見つめていた。


近づくと、それが何であるかが分かった。


——人の頭蓋骨だった。


そのドクロの器に酒を注ぎ、信長は静かに呷る。


「よく戻ったな、ぽんた」


「……情報は得ました。今川の動き、兵の配置、すべて」


遜大が情報を伝えると、信長は満足そうに笑い、再びドクロの杯を傾けた。


「よし、ならばすぐに動くぞ」


その言葉を聞いた遜大は、戦の幕が上がることを確信した。


そして、彼の中には未だ燻る想いがあった。


——和泉は無事だろうか?


しかし、戦はそんな甘い感情を許してはくれない。


織田と今川、二つの大軍がついに激突しようとしていた。


次回も楽しみに!!

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