桜の頃
初めまして。こうきちと申します。初投稿です。
推敲をあまりせず、原稿もなく思いついた設定のメモ帳を片手に書き殴りで書いているので多々使い方のおかしい文や間違い、誤字などがあるかと思いますが都度、編集で直して行きます。
淡いピンクの蕾が花を咲かす。それは冬が去り、春の訪れを意味する。男達は歩みを止め、笠を上げ、目の前の桜の木から垂れた枝を手で掬い、それを見た。枝先の蕾は閉じている。蕾の方がまだ多い。完全に咲き誇るのは少し先か。少し肌寒い風に吹かれ、へくちっ、と可愛い音が響く。
「おや、風邪かい?」
くしゃみの主はなんともない、平気だ、と言わんばかりにブンブンと首を横に振るが、鼻からは鼻水が垂れている。
「ほら」
ここで拭きなさい、と男は屈んで自分の着物の裾を伸ばす。だが、くしゃみの主はまたブンブンと首を横に振り、自分の着物の裾で拭こうとするのでそれを止め、男は左手の裾でクシクシと鼻を拭いてやった。
「よし、綺麗になった。ばっちいから裾で拭かないの。トウカは女の子なんだから、綺麗にしておかないと。」
笠をポンポンと叩き、笑みを向ける。
しかし納得いかないのか、この鼻垂れことトウカは不満げな顔を浮かべるのである。
トウカ「ハルはいいの?」
ハル「僕は男の子だからいいの。それにあとでちゃんと洗うしね。」
ハルと呼ばれた男は苦笑いを溢しながら答え、立ち上がる。スッと右手を伸ばすと、トウカはそれに応えるように手を掴み、歩みを再開する。
ハル「満開の桜はまだ来週かな。」
ボソッと呟くように出た独り言。それが耳に届いたのかトウカは聞いてくる。
トウカ「来週もまだここにいる?満開、見れる?」
失言した。自分の迂闊さにハッとさせられ、一瞬、足が止まるが、またすぐに歩き出す。だが顔は進行方向に向けたまま、トウカの方を向けずに答える。
ハル「ごめんな、ここには居座れない。桜、見れないかも。」
まだ幼いトウカに対して、申し訳なさを隠しきれなかった。それを表情に出さない自信がなかったのだ。しかし、ハル達は歩みを止めることは出来ない。
暖かくなり、咲き始めた桜を背にして、ハル達は歩を進める。風が吹き、木々が揺れる。パタパタを2人の着物をはためかせる。飛ばないように、笠をつまみ、紐をキツく結び深く被る。アッという声とともに、上手く結べてなかったのかトウカの笠が宙に舞う。反射的にそれを掴み、トウカの頭に被せた。笠が取れたトウカの額には、瘤の様な突起が2つあった。そしてそれはハルも同様であった。
ハル「ほら、飛ばさないように気をつけて」
トウカ「うん」
笠の紐を結んであげると再びトウカの手を繋ぎ、2人は更に歩みを続けた。
ありがとうございます。展開より周りの描写とかを丁寧に描きたいので、かなりテンポが悪かったと思いますが、雰囲気を楽しんで頂けたらなと思います。




