3,とある狩人の証言
「あれは良く晴れた気持ちのいい日の事でした」
「私はいつも通り、動きやすい服装をして弓と10数本の矢を入れた矢筒を背負い、森へ出かけました」
「森には兎や鹿が生息していますのでそれらを狩って、売る事で生活しているんです」
「そして森へ入って最初の獲物を見つけた私は早速仕留める事に成功しました、ですがすぐに私の獲物を狙う何者かの気配を感じ取りました」
「そちらを見ると緑色の肌をした小人が、立っていたんです。ただ立ってこちらをじっと見つめていた」
「最初はただの人間かと思ったんです。病気か何かでそうなってしまったとか、あるいは汚れ塗れの子供だとか。でも違ったんです…」
「よく見てみると耳は尖っていて、口には牙生えている。明らかに異常でした。私がこれまで見てきたどの生き物にも当てはまらない悍ましく恐ろしい容姿でした。今思い返しただけでも体が震えてくるんです…」
「交互に仕留めた獲物と小人を見ました。逃げたかったけれど、獲物を失うわけにもいかないと思ったんです。だから私は手に持っていた弓を構え、矢で狙いました。でも矢は撃てなかった」
「あろうことか私が矢を番え終えたと同時に、小人が駆け出してきたからです。私は恐怖に負け、逃げることしかできませんでした」
「その日から、私の生活は一変しました。あの小人の事を思い出すと、震えが止まらなくなり、眠れなくなるんです。もう怖くて森に入ることもできません…」
目の下に大きな隈を作った青ざめた狩人は語り終えた。
「よく、話してくれました。この件は我々が必ず解決してみせます」
巨漢の騎士の男は狩人の肩に触れ、励ますように語り掛けると退室を促し、狩人は退室する。
「小人…盗賊でしょうか?」
同室していた女性騎士は証言内容を記録した紙を読み直しながらそう言う。
「さあな、わからない。しかし、こんな平和な地域で盗賊ってだけでビックリだが、緑の小人ときたからな。変な噂が広まる前に調査するぞ」
「はい」
騎士の男は見せつけるように大げさなしぐさで取り出した黒いサングラスをかける。
「また買ったんですか…呆れました」
「似合ってるだろ???」
「変です」
「辛辣だなおい!!」
男は大げさにリアクションを取って立ち上がる。
「ほら、わかったから行きますよ。調査に行くんですよね」
「ったく真面目ちゃんだな……」
騎士はやれやれといった態度でサングラスを掛けなおすと部屋を出る。
【騎士警察】この世界ではそう呼ばれる組織が各国に存在する。この街も例外ではなく、約100名の騎士がいる。その騎士をまとめるリーダーを務めるのが先ほどからサングラスをかけた巨漢の騎士である。彼ら騎士警察の仕事は主に二つ。治安の維持と、法の執行。
この平和な街では毎日暇を持て余していたが、ある日もたらされた『緑の小人』の報告。久しぶりのまともな仕事に気合を入れ、半信半疑ながらも翌日10人の調査隊の編成し送り込むのだった。
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