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■1■ 五年情勢
モント国の兵士が持っていた手紙には、シュネー国との事の顛末が書かれており、侵略先候補としてブルーメ国の名前も記されていた。
長く大きな戦争はなく平和の続いていた大陸だったが、モント国の滅亡を皮切りに、各国を巡る情勢は刻々と変化を見せていく。旧モント国民のある者は他国に移住し、ある者は放浪の民となり、ある者はシュネー国に隷属した。
シュネー国はその矛先を大陸全土へ向け、内陸の国をその傘下に収めていきながら、国富・軍事力ともに拡大を続けた。周辺の国々はシュネー国を警戒し、年々緊張が高まっていった。
そうしてルシアとリムネッタが出会ってから五年が経過。ルシアが十三歳になった時、現国王が引退し、王位の継承とそれを盛大に祝うパレードがブルーメ国で行われることになった。