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7月1日 土曜日 備品倉庫補修工事の続き

 昨日に引き続き、今日も備品倉庫の屋根の入れ替え工事になります。ここに配属してから初めての休日出勤になりました。とは言っても、何もなければ午前中で終わる予定ですので、気持ちは気楽なものです。仕事が終わったらジムに直行する気満々で準備をしてきちゃいました。


「おはようございます。」


 小森さんも設備担当として、当然今日は休日出勤です。


「せっかくのお休みに、作業が伸びてしまってすみません。」

「いえいえ。お気になさらずに。一人住まいなもので、休みは家のこととジムに行くくらいしかすることしかないですから。」


 そう話すと、小森さんの表情が少し明るくなりました。


「山盛さん。ジムに通ってるんですか?」

「ええ。もうかれこれ10年以上になりますね。身体が資本の仕事ですので、基礎体力くらいは維持しようかと思って。」

「それで、ガタイがいいんですね。いや、失礼な話ですが、お仕事とご年齢の割にがっちりした身体つきされてると思ってたんですよ。勝手に元自衛隊とか、いろいろ妄想しちゃいました。」


 そう言って笑う小森さん。まだここにきて数か月ですが、こういう他愛もない話ができるようになったのは、個人的にはすごくうれしいです。


 小森さんもジムに興味があるらしく、月額の料金や、中で行うトレーニングの内容など、FRWのみなさんが来るまでいろいろお話をしました。ジムって、通い始めてしまえば慣れるものなんですが、最初の敷居が高いというか、始めるまでに勇気がいりますよね。


「もし、よかったらなんですが。今度、体験トレーニングとかお付き合いいただけませんか?」

「えっ? 全然、かまいませんよ。」

「ありがとうございます。でしたら今度、いけそうな日を相談しますね。」

「かしこまりました。」


 お、どうやら筋肉仲間が増えるかもしれませんね。小森さんは見たところ30代半ばくらいでしょうか、整った顔立ちで女性にモテそうですね。指輪はされていないようなので、多分、独身だと勝手に思っています。


 そんな雑談をしていると、昨日と同じメンバーが入構されました。昨日と違って今日はとても気温が高くなっています。


「昨日よりも気温が高いですから、熱中症にお気を付けくださいね。」


 そうやって一声かけるだけでも、相手の心に意識が残り、ネッ通商にならないような行動をしやすくなります。声をかける。これも防災の一つの方法です。


 昨日話していた通りで、作業自体は実に順調に進み、11時過ぎにはすべての工程が完了しました。新しくなった屋根を見て、小森さんと二人、この数日の苦労を思い出し、苦笑いしてしまいました。これで雨が降ったとしても、水かきはしなくてよさそうです。


 残った建材や資材の回収を終え、12時前には皆さん撤収されていきました。私も最終的な施錠をチェックすると、業務日誌をまとめて敷地を出ました。いざ、ジムへ一直線!


 ジムに入ると、受付の福原さんが声をかけてくれました。


「山盛さん。いらっしゃいませ。あれ、今日はずいぶんお荷物が多いですね。」

「午前中だけ仕事してきたんです。職場から直行しちゃいました。」

「ふふ、まめですね。」


 微笑む福原さんを見て、


「そうだ。体験トレーニングをしたいという方がいらっしゃるのですが、パンフレットなどいただいてもいいですか?」


 小森さんのことを思い出し他ので聞いてみると、


「本当ですか? それでは、お帰りの際に受付によってください。資料を用意しておきますね。」


 そう言ってくださいました。たっぷり時間をかけて汗をかいた後、冷ためのシャワーを浴びて火照った身体を冷やし、すっきりした気持ちで着替えました。帰りに買い出しもして、明日はゆっくり休むことにしましょう。





警備日誌 07月01日 土曜日 晴れ


 昨日に引き続き、備品倉庫の屋根の補修工事を実施。


 対応のため休日出勤。


 11:52 作業を終え株式会社FRWの4名が退出。


 12:10 設備課小森様退出。


 残留者確認をして業務を完了。


 ほか、異常なし。

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