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6月5日 月曜日 笑顔が一番

 明日が本番だと言うのに、今日もしっかり降ってイラっしゃいます。え? 字が違うって。これだけ続けばイライラもしますよ。洗濯物は乾きませんし、ジムに行くにも、買い物行くにも、通勤するにも毎度毎度濡れますし、朝から備品倉庫の雨漏りバケツはいっぱいになっていて、ヒィヒィ言いながら排水しました。途中で倒そうもんなら大惨事ですから、注意しながらの処理は神経使いましたよ。


 それに、今日は月曜日。毎週月曜日は外周巡回の日でございます。一週間で唯一外仕事のある日の雨なんて、運がないとしか思えません。


「山~盛~さんっ!」


 退勤時に、新垣さんが警備室にお見えになりました。


「お疲れ様です。どうかなさいましたか?」

「えへへ。はい。」


 そう言って、新垣さんは笑顔で携帯電話を取り出して私に見せてくれました。そこには、アイリスが一生懸命にご飯を食べている動画が映し出されていました。


「元気いっぱいですね。」

「はい。よく食べてくれるので安心しています。」

「それは良かったです。」


 楽しそうに話す新垣さんを見ていると、あの日ずぶぬれになってアイリスを保護してきた時のことを思い返します。涙から始まった出会いが、こうやって笑顔に変わったのはとても幸せな出来事ですね。


「また、かわいい動画取ったら見せに来ていいですか?」

「ええ、アイリスが元気なのを知れるのは、私も嬉しいです。」


 新垣さんを見送ると、なんだか幸せな気持ちになっている自分に気が付きました。子猫一匹がこんなにも幸せな気持ちにしてくれるなんて、アイリスには感謝ですね。


 と、思ったのもつかの間。残留者確認を行って、施錠して警備室に戻るころには、朝よりも雨脚が強くなっていました。


「はぁ。頑張って帰りますか。」


 私は夜間用の機械警備に切り替えると、雨の中を家路に着くのでした。






警備日誌 06月05日 月曜日 雨


 備品倉庫に設置した雨漏り用バケツがいっぱいになったので排水を実施。


 本日の外周巡回に異常はなし。


 そのほか、異常なし。

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