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3月22日 金曜日 東都ガス横浜LNG基地見学会

 電車を乗り継ぐこと1時間と少し。私は無事に横浜市のはずれにある駅に降り立つのでした。


「亮さん!」


 改札を出ると、中町さんが手を振って迎えてくれました。もう、みなさんお揃いのようですね。バス停に移動すると、同じく基地見学に行かれる社員様のご家族の方らしき人が、同じようにバスを待っていらっしゃいました。


「そう言えば、契約先だけど相手の会社のことなんてほとんど知らなかったですね。」

「はい。今日はいい勉強が出来そうです。」


 市営バスに乗って揺れること7分、東都ガス様の横浜LNG基地に到着しました。昭和期に造られた施設ですの

で、近代的な、と言う訳ではなかったですが、入り口からでも見える基地内を張り巡らされている配管の数々に圧倒されました。


「いらっしゃいませ。」


 受付に座っていた警備の方が声をかけてきました。


「お世話になっております。関東セキュリティサービスの者です。本日の基地見学のために参りました。」

「承っております。お手数ですが、免許証などの公的確認書類をお持ちの上、受付をお願いいたします。」


 最近は、社員証などでは本人確認書類として認められないケースが多くなっています。八王子管理センターでも同じですが、東都ガス様は『運転免許証』『パスポート』『マイナンバーカード』など、顔写真の入った公的な物が必要になります。以前は使われていた保険証は、顔写真がないので、今は使えないところも増えていますし、会社が発行している社員証なども、本人確認書類としては向こうのケースが多くなっております。みなさんも、改まった場所へお出かけの際には、運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真の入った者を用意されることをおススメいたします。


 公的な本人確認書類として、間違いないことは事前に先方に確認することですが、何が該当するかは旅券法施行規則別表第二に記載されているものが一番詳しいので、ぜひ確認してみてください。


 受付を完了すると、警備室のある建物とは別の建物に入りました。ここは大型ホールになっていて、研修会場のような造りになっています。


「山盛隊長、お待ちしてました。」

「谷本副所長。本日はお誘いいただきありがとうございます。」


 谷本さんに案内されてホールの一角に着席しました。先般頂いたパンフレットと同じものと、記念品として、東都ガス様の社名とマスコットキャラクターの入った4色ボールペンと、マスコットキャラクターのキーホルダーをいただきました。このかわいいキーホルダーは、バイクの鍵を付けることにしましょう。


 13時を過ぎると、横浜LNG基地の所長の挨拶の後、東都ガス様や横浜基地などの案内映像を視聴した後、社員様による実験を見学しました。液化した天然ガスの実物を用意し、火を付けても爆発せず煤も出ないクリーンで安全性の高い物出ることを見せていただいた後、この液化天然ガスにカラーボールを入れ、カチカチに凍らせる様子を見せてくれました。天然ガスは気体ですが、温度を下げていくと液化します。これがマイナス162℃というからすごいですね。なぜ液化するかというと、気体のままだと体積が大きく、大量の移動ができません。これを液化するまで温度を下げることで、体積を1/600にすることができるそうです。


 1/600と言われてもピンとこないと思いますが、物に例えると、学校などにある25メートルプール一杯の水が、家庭用お風呂2杯分くらいの体積になるのと同じくらいだそうです。それをタンカーで運ぶことで、大量の天然ガスを輸出入できるようになります。


 実験が終わると、観光バスに乗って基地内の見学に入ります。ゲートを通って基地内に進むと、先ほど見えていた配管がいかに複雑な物かがわかります。途中、車庫に大型消防車が弟オ社しているのを見付けました。


「当基地では、万が一の災害に備え、大型消防車を用意し、自衛消防隊を強化しています。この消防車には常時、2トンもの粉末消火剤を積載しているほか、基地の各地にある消火栓を使用して、高所からの放水を行うことができます。」


 消防車って消防庁だけが所有しているものだとばかり思っていましたが、こういったライフライン関連施設の自衛消防隊でも使用するんですね。


「この消防車って、特殊な免許が必要なんですか?」


 保護者のお父様が質問すると、


「いいえ。車自体は普通の大型トラックですので、大型運転免許があればどなたでも運転が可能です。消防車の設備を使用するのにも特別な免許は必要ありません。ただし、消防車の設備の点検や工事に関しては、消火設備ですので消防設備士という資格が必要になります。」


 基地の社員様がお答えしてくださいました。消防設備士もこんなものの点検もするんですね。水を使うので消火栓を扱う消防設備士第1類なのか、粉末消火設備なので第3類なのか、消火器の大きなものなので第6類なのかはわかりませんが。。。


 社員様がおっしゃった通りで、消防車は特殊車両ですが、積んでいるものが特殊なだけで車両自体は普通の大型トラックなので、大型自動車免許でいいとのことでした。わかりやすい。


「さて、今日はみなさんタイミングが良く、ちょうど入船中ですので、液化天然ガスを積載した大型タンカーを見に行きましょう。」


 本来は国際条約で無関係の方の入場はできないそうなのですが、今回は特別にと、バスから降りない約束で、間近まで港に近付いてくれました。


「大きい!」


 見学者が口々に感嘆の声を上げます。


「この大型タンカーは全長約300m、全幅約50mあります。この1隻が16万5千㎥の液化天然ガスを運んでくれます。これは、一般的なご家庭22万件分の1年間の使用するガスの量になります。」


 もう、規模が大きすぎてすごいですね。太平洋戦争の弩級戦艦『大和』よりも大きな船ということになります。そう考えるととてつもなく大きな船ですが、相変わらず物理の苦手な私にしてみれば、この大きな船が良く海の上に浮かんでいるものだと感心してしまいます。


 この大型タンカーから液化天然ガスを基地内にいくつもある大型タンクに移動し、それを通した配管に海水をかけて温度を上昇させ、気体に戻し、関東地区の各ご家庭へと配管を通じて送り出しているそうです。言葉で言えば簡単ですが、配管の圧力を使って送り出すと言うのは大した技術ですよね。


 また、基地から配管へガスを送る時に、プロパンガスをわずかに混ぜるそうです。天然ガスはその名の通り天然ものですから、必ずしも圧力が安定するわけではないそうで、プロパンガスを混ぜて、均一の圧力に整え、さらに『付臭材』と呼ばれる臭いのする期待を混ぜ、私達が使う『都市ガス』として送管します。天然ガス自体は無臭だそうですので、わざわざ臭いを付けるんですね。そのため、私達はガス漏れしていると臭いで判断することができます。し、知らなかった。ガスってそういう臭いのものだと思ってましたよ。


「いやぁ。こういう工場見学って初めてきましたが、面白いですね。」


 川室くんが目を丸くして施設を見ています。


「そうですね。ガスはガスで、輸入したものをそのまま送ってもらってると思ってました。」


 基地内の各設備を回った後、ホールに戻ってくると、すでに16時過ぎになっていました。けっこうな時間見学していたんですね。


 ホールのある建物の反対側にももう一つホールがあり、そちらには立食式の懇親会場が設置されていました。私達もビールやジュースをいただきながら、谷本さんに紹介されて、基地の関係者様や基地警備の方と交流し、色々な情報交換をしました。


 ガスだけでなく、電気や水道、ガソリンや灯油など、普段当たり前に使っているものも、海外から輸入して、いくつもの工程を通して私達意の元にやってまいります。そう言うのを調べてみるのも、すごく勉強になりますし、面白いかもしれませんね。普段当たり前に火を使って料理ができるのも、暖かいお風呂で身体を癒すのも、こういった基地での皆様の尽力と苦労があってのこと。当たり前と思わずに感謝しなければいけませんね。

いつもお読みいただきありがとうございます。


今回のガス生産に関しては、

東京ガス様のHPなどを参考にさせていただきました。


また、

高所放水・粉末消防車に関してですが、

あくまでも消火栓から水を引いて『消防車を通して』水を出すため、

消防設備士の点検としては、

第3類の消防設備士免許が必要になるそうです。

『粉末消火設備』と同じ扱いになるんですね。


都市ガスに関してご興味のある方は、

https://www.tokyo-gas.co.jp/network/kids/genzai/g1_4.html

東京ガス様のHPもぜひご覧になってください!


水野忠でした。


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