3月17日 日曜日 2回目のお料理教室
予定通り、深見さんのお家での第二回お料理教室でございます。10時に訪ねて驚きました。リビングがだいぶ改装されていて、アイランドキッチンの前に作業台が4つ出来上がっていました。
「すごいですね。本当に教室になってますよ。」
「ふふ。主人がいろいろ手配してくれたもので、もう少し手を加えたらお料理教室を始められます。」
深見さんの夢が叶おうとしています。いくつになっても夢を追い続けることは大事ですし、それを行動に移せるのは素敵なことだと思います。
今日のメンバーは深見先生と徳平兄妹、福原さんと松原マネージャーと私の6人です。初参加の徳平真奈美さんは、素敵なキッチンに目を輝かせています。
「いーなー。私もこういうキッチンのあるお家に住みたい。」
「その前に、お相手がいないだろう。」
「もう! お兄ちゃんの意地悪!」
ふふ、仲がいいですねぇ。私も昔は妹の秀美とよくケンカしたものです。まぁ、あいにく山盛家は秀美が結婚し、私は行き遅れてしまいましたが。。。ん? 男性も行き遅れるって言うのでしょうか。
今日のメニューはコロッケです。一口にコロッケと言っても、一から作るのはけっこう手間がかかります。昔々、あるアニメの主題歌でコロッケを作る歌がありましたが、実はあの歌はよくできていて、本当にそのままやればコロッケは出来上がるんですよね。今となっては、なんで発明家を目指す少年のお話なのにコロッケの歌だったのかまったくわかりませんが。。。
「ああ。あれは、主人公が作ったロボットのお友達がコロッケ好きだからですよ。」
吹かしたジャガイモを徳平さんと潰しながらそんな話をしていると、真奈美さんが教えてくれました。
「へぇ。そうでしたか。しっかり見たことなかったもので、納得しました。」
「しかも、コロッケを好きになったきっかけが自分の名前に似ていたからというおまけつきです。」
昭和のアニメはそう言うほのぼのしたものが多かったように思います。
「・・・というよりも、よく昭和のアニメなんてご存知ですね。」
首をかしげていると、
「僕らの子供のころは、けっこう再放送がありましたからね。」
そう徳平さんが教えてくれました。そう言えば、平成期はアニメの再放送とか多かったように思います。今は少なくなったように感じるのは、そもそもアニメをあまり見なくなったからでしょうか。
「最近は有料チャンネルが増えて、そっちで放送することが増えましたからね。通常のチャンネルだけだと、アニメは限られるかもしれないですね。」
塩胡椒して、松原さんが炒めた玉ねぎとひき肉を投入し、よく混ぜ合わせますが、これを気を付けないと熱いんですよね。お子様がやる時は火傷しないようにお気を付けください。
油を温めて、小麦粉と卵を付けます。ここでポイントになるひと手間です。
「これ、大変です!」
思わず私は声を上げました。
「ふふ、すごく大変ですけど、普通に作るよりぐっと美味しくなりますよ。」
深見さんの言葉に、私は再び手に持ったパンをおろし金で削ります。そうなんです。パン粉を一から作っています。食パンをしっかり凍らせて、おろし金で粉々にするのですが、これけっこう疲れますね。
「代わりましょう。」
徳平さんが変わってくれましたが、手が大きいので苦戦していますね。
「お兄ちゃん手が大きいから気を付けてね。」
「うおぉ、赤いパン粉が出来上がりそうだ。」
それはホラーですよ。。。そんなことを思っていると、
「これ、ミキサーじゃダメですか?」
と、福原さんがおっしゃいました。深見さんはそれを聞いて、
「あらやだ。ホントその通りだわ。」
と、慌ててキッチン棚からミキサーを取り出しました。あれだけ苦労していたパン粉づくりが、実に瞬間的に出来上がってしまいました。
「ふふふ。ごめんんさいね。」
深見さんのうっかりうっかりという苦笑いに、つられてみんな笑ってしまいました。この生パン粉を使用することで、ふっくらサックリ感が違ってくるそうです。
熱した油に落としていくと、パチパチと油の跳ねる音と、香ばしい香りが漂ってきました。
「やぁ。やってますね。」
リビングの扉が開くと、初老の紳士が部屋に入ってきました。
「紹介します。主人です。」
「深見幸太郎と申します。いつも家内がお世話をかけております。」
挨拶をかわしながらも、次々とコロッケが出来上がっていきます。揚がったコロッケの油をしっかり切り、刻んだキャベツの上に置いていきます。
出来上がったコロッケでランチタイムです。
「いただきます。」
見てもうわかります。これ、絶対美味いやつです。
「すごい!」
ふわふわサックリ。パン粉が違うだけでこんなにも変わるものなんですね。私はいつもコロッケにはソース派なんですが、これは何もつけないほうがいい。というよりも付けたらもったいない。
談笑しながら昼食を取り、幸太郎さんからはお仕事の話をしていただいたり、私達はジムでの深見さんのことをお話ししたり、楽しい時間になりました。会社経営者と聞いてどんな方かと思っていましたが、気さくで素敵なご主人さまですね。
「料理教室の目処も付いたので、みなさんも良かったら付き合ってやってください。」
幸太郎さんの言葉にみんな頷きました。いやぁ、これでますます私の女子力? も磨きがかかります。どこかに貰い手はないものでしょうか。なんて思ったりしちゃいます。