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3月11日 月曜日 13年目に想うこと

 2011年3月11日14時46分。一斉に鳴り響いた携帯の緊急地震速報。そして、間髪置かずに襲った大きな揺れ。永遠に続くかと思った大きな揺れ。そして、海岸線を襲った巨大津波。私の勝手なイメージとして、津波ってザッパーンという津波の大きなものが来る者だと思っていましたが、あんなに黒い水が大質量で押し寄せて、じわりじわりと、でも確実に海岸を押し上げ、家屋を押し流していきました。本物の津波はあんなにも不気味で恐ろしいものだということを学びました。


 東日本大震災です。死者行方不明者22,318名を出した未曽有の大災害。あれからもう13年も過ぎてしまうのですね。私は内陸にいましたから津波の心配はなかったのですが、大きな揺れと恐怖は昨日のことのように思い出されます。


 防災の仕事ををしているからと言う訳ではありませんが、どれだけ勉強しても、どれだけ備えたとしても、巨大災害で犠牲者をゼロにすることは困難です。ですので業界では、『防災』ではなく『減災』という言葉を使いますが、裏を返せば、災害を完全に防ぐということは不可能なんです。でも、身近な人に犠牲になってほしくない、少しでも被害を少なくしたい、その一心で私たち防災に携わる人は日々を戦っています。


 2万人を超える犠牲になった方たちの死を無駄にしないためにも、今を生きている私たちは災害に関して真剣に考え、そして、備えていかなければいけません。脅かすわけではないですが、次の災害は必ずやってきます。


 それが、地震なのか、富士山の噴火なのか、台風なのか、何が来るかはわかりませんが、必ずやってきます。


 ほんの少し、ちょっとだけでいいです。自分のいる場所から安全な場所に行くにはどこが非常口になっているのか、災害が起きた瞬間に自分が何をすればいいのか、正しい知識を身に付けていってください。それが私の切なる願いです。


 時刻は14時46分になろうとしています。私は館内放送のスイッチを入れました。あらかじめ谷本副所長から依頼されていたことです。


『こちらは警備室です。まもなく14時46分になります。東日本大震災で被災した方への追悼として黙とうを行います。皆さま、お仕事をいったん中断し、黙とうをお願いいたします。黙とう。』


 1分間の黙とう。みなさんの心に思うものは何だったのでしょうか。私は、今日の平穏無事を祈りました。


『黙とう終わります。ご協力ありがとうございました。業務にお戻りください。』


 今日も1日、何もなかったことに感謝いたします。




警備日誌 03月11日 月曜日 晴れ


 東日本大震災での被災者へ向け黙とうを実施。


 外周巡回に異常なし。


 その他、異常なし。

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