3月6日 水曜日 内川先任の代勤者研修
昨日に引き続き悪天候の中、内川先任の代勤者研修を行っています。内川さんは高校卒業後、まだ今ほど大きくなかったわが社に入社し、雑踏警備や交通誘導警備、そして施設警備と、幅広く経験されてきた方です。さすがに経験も長いので、業務の飲み込みも早いですね。午後には来訪者の対応もばっちりやってくれました。
「さすが、慣れてますねぇ。」
「いやいや。平穏ならいいですけど、緊急時はまだまだどこに何があるか把握していませんから。」
特にイベント会場などの雑踏警備は、現場に行ってみないとどういう構造になっているとか、どこに消火設備があるとか、避難経路はどうなっているかとか、様々な情報がわからないことも多くあります。私も出張でコンサート警備の応援に行ったときは、施設が把握できなくて苦労しました。
「もうすっかり立ち直ったみたいで安心しましたよ。」
内川さんも、私が以前死亡事故に巻き込まれたことはご存知です。あの時は本当にメンタルをやられました。中町さんにもずいぶんケアしていただきましたが、メンタル不調はどんなきっかけが原因で起きるかわかりませんし、回復の度合いの人それぞれです。今考えると、私は比較的軽かったと言えましょう。
「もう2度と、自分の現場からは犠牲者は出しませんよ。」
「そうですね。」
内川さんもいろいろな経験をされてきています。事故でなくても、イベント会場で急病人が発生し、適切な対応をしてもそのまま、ということもあります。
警備の仕事は何も起きないことが最大の成果ですが、何か起きたことを経験すればするだけ、警備員としての経験値は増えていきます。皮肉なものです。だからこそ、日ごろからの対策と発生事案に関するシミュレートが重要になっていきますが、実戦とシミュレートは違うことが多いですから。
「山盛さん。そう言えば、4月以降の交通手段どうされるんですか?」
「ああ、実は原付を買いましてね。車だと渋滞が予測できないので、当面はバイクで移動しようかと思っていますよ。」
「雨の日は大変じゃないですか。」
「まぁ。それも織り込み済みです。道路事情とかわかってきたら、車にしてもいいかもしれませんねぇ。」
もっとも、車を購入するのでしたら、駐車場のある実家に戻ると思いますが。まだ、それは先のお話になりそうです。
けっきょく帰るまで雨は止まず、
「あ、雪になってきましたよ。」
内川さんが最終巡回の準備をしていると、外はみぞれ交じりになっていました。おやおや、3月だと言うのに困ったものですね。苦笑いしながら、
「じゃあ、滑り止めシートの設置の仕方もやっていきましょうか。」
そう言って、谷本副所長の許可を取り、少し残業してシートを設置しました。設置作業をしていると、
「お疲れさまでした。」
と、私達の横を新垣さんが傘を差してお帰りになります。元気よく返事を返しましたが、やっぱりどこか寂しそうですね。代勤者研修というのは彼女も知っているはずですから、複雑な思いがあると思います。早くお返事もしないといけませんね。
警備日誌 03月06日 水曜日 雨のち雪
内川先任の代勤者研修を実施。
夕方、雨から雪交じりのみぞれに代わったため、
滑り止めシートを設置。
谷本副所長の許可を得て30分ほど残業が発生する。
その他、異常なし。