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1月31日 水曜日 涙雨

 浜崎様を想う悲しみの雨でしょうか。夜半から降り出した雨は、しとしとと涙のように降り続いています。いまだに受け入れることができないでいます。それは社員様も同じなのでしょう、みなさん表情が暗く、元気がありません。


「おはよう、ございます。」


 新垣さんも元気がありません。それもそうでしょう、彼女にとっては社会人になって初めての上司の一人だったのですから。


「おはようございます。珍しく雨が降りましたね。」

「え?」

「ここ最近はずっと晴れでよかったんですが、その分、乾燥していましたから、玉には雨もいいかもしれませんね。」


 私が笑顔で言うと、気持ちを察してくださったのか、


「ふふ、そうですね。ありがとうございます。今日も頑張ってきますね。」


 そう言って、新垣さんはオフィス棟に入っていかれました。ダメですね。元気付けるとか、そういうレベルのものではないんですよ。それだけ、私もみなさんも大きな喪失感なんだと思います。


 午後になって、明日の代勤は丸木くんが朝から入ってくれると連絡が入りました。明日は休みにしてもいいと言われたのですが、クライアントの皆様が働いていらっしゃるのに、私だけお休みするわけにはいきません。隊長会議の資料を作り終え、受付の椅子に腰かけながら外を眺めます。間断なく雨の音が耳に飛び込んできます。普段なら、お目の優しい音は好きな方なんですが、今日も心は晴れません。浜崎様とのことを思い出しては、ため息ばかり吐いてしまいます。


 会議資料以外に、何も手が付かないまま終業時間を迎えてしまいました。雨退く分か柔らかになってきたようですね。明日はきっと晴れてくれるでしょう。


「・・・よし。」


 私は立ち上がると、警備服の上着と制帽を身に付けて受付前に立哨しました。しばらくして退勤の音楽が鳴ると、仕事を終えた社員様達が外に出てこられました。みなさんやはり心なしか表情が暗いですね。私はその一人一人に、


「お疲れさまでした。」


 と、笑顔で挨拶をしました。悲しかろうと、苦しかろうと、人は生きるために仕事をしなければいけません。声をかけると、少しだけでも笑顔で返事を返してくださいます。みなさん、浜崎様を想って心が締め付けられる思いの中、今日も一日仕事を頑張ったのです。私も含めて。ですから、お互いを労うために、私は必死に笑顔で見送りの挨拶をするのでした。





警備日誌 01月31日 水曜日 雨


 本日、天候不良なれど異常なし。

みなさん、こんにちは。

水野忠です。


新年あけて、もう1か月が過ぎましたね。

日の経つのが早いこと早いこと。


亮さんの警備日誌も、

いよいよ残り2ヶ月となりました。


最後まで、

ほっこりしんみり続けていきますので、

どうぞお付き合いください!


また、

ぜひブックマークといいねと高評価での応援をよろしくお願いいたします。

(`・ω・´)ゞ


水野忠

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