1月19日 金曜日 お礼のお電話
穏やかに晴れた昼下がり、お昼休憩に用意してきたお弁当を平らげ、今日は食後のお茶を堪能していると、警備室の電話が鳴りました。この音は内線ですね。内線と外線で若干音が違うので、耳で判別ができます。
「はい。警備室山盛です。」
『お疲れ様です。平尾です。』
珍しく所長からの連絡でした。何かあったんでしょうか。
「何がございましたか?」
『確認なんですが、昨日ぬいぐるみの落とし物を保育園に届けたことなんてありましたか?』
昨日の落とし物のことですね。
「ああ、正門前の道路にウサギのぬいぐるみが落ちていましたので、隣の保育園の園児さんの物かと思い、連絡して引き取っていただきました。園児さんのもので間違いないとのことでしたので。」
『そうでしたか。いえ、先ほど本社広報部より連絡がありまして、ぬいぐるみの件でとてもよくしていただいたとお客様から連絡をいただいたそうです。』
「そうでしたか。いえ、警備報告書には記載しましたが、直接ご報告はしていませんでしたね。申し訳ありません。」
『いやいや。お客様がだいぶ喜んでおられたそうで、広報部長から直々にお褒めのご連絡をいただきました。御社にも連絡が行っているはずです。心温まるいい対応をしてくださいました。ありがとうございます。』
その後、小寺部長からも連絡があり、クライアント様からお褒めのお電話をいただいたということで、えらく喜んでおいででした。
『最近、いい話題がなかったからな。山盛、いい仕事したな。』
なんでも、別の警備隊では巡回をしなければいけない時間帯に、巡回せずにサボっていたとか、来館予定のないお客様を入館させてしまったとか、不始末が度々あったそうです。警備業界にいるとよくある(よくあっちゃいけないのですが)話ですが、キチンと丁寧な対応をしたいものですね。
中町隊長が教育の時によく使う言葉があります。所属警備員に守らせている心得です。
・相連確報
・冷静に、丁寧に、正確に。
相連確報は仕事のやり方の心得です。寺で予想できるとおり、相談・連絡・確認・報告。だそうですね。え、それを言うなら報連相だろうって? ほうれん草にかけてわかりやすく言いますが、そもそも報告って最後にやるものですよね。それを頭に持ってきてしまうので、報連相という言葉を知っていても、それをしっかり理解して実践できている人は少ないと言うのが中町さんの持論です。
つまり、仕事に入る前に不明点や不安なことを聞くのが相談。仕事に入ったら中間や節目に上司に進捗を伝える中間連絡。報告の前に、報告事項を精査したり、間違いがないかをチェックする確認。そして、最終的に上司にする報告。すなわち相連確報です。これを社員教育すると、しっかり飲み込んで仕事をする人が増えたそうです。
冷静に、丁寧に、正確に。というのは、あるアイドルグループが公演前に円陣を組んでハッスル掛け声だそうです。正確な業務をしなければいけません。そのためには丁寧に仕事をしなければいけませんし、丁寧にするためにはまず自分が冷静であること。慌てていては雑な仕事になり、正確に業務をこなすことができなくなります。特に緊急時にはそうですね。私もこの教えは今でも心掛けています。
お客様からご連絡があったということは、あのウサギのぬいぐるみは持ち主の園児さんの手に返されたということですね。おばあちゃんの手作りということでしたから本当によかったです。
警備日誌 01月19日 金曜日 晴れ
昨日のぬいぐるみの件で、
お客様から東都ガス様本社広報部へお礼のお電話があり、
平尾所長からお礼とお褒めの連絡をいただく。
警備業務に異常なし。