1月4日 木曜日 一つの区切り
実家から戻ると、明日に備えて心は仕事モードに切り替わっていきます。仕事とプライベートの切り替え、そしてメリハリは大事です。この数日でたるみ切った身体に活を入れるために、昼過ぎ一番にジムへ顔を出しました。
「山盛さん。あけましておめでとうございます。」
「今年もよろしくお願いいたします。」
ジムの皆さんに新年のご挨拶をしました。年始のせいか、トレーニングに来る方もまばらですね。柳生さんも深見さんもいらっしゃらないようです。今日はジムの方にもお願いして、少し長い時間ゆっくりとトレーニングを行いました。やっぱり体を鍛えると、スイッチが入ると言うか、正月ボケが取れていく気がします。
ベントプレスでも、先日と同じ100キロが上がりましたし、身体の調子は上向きですね。ゆっくりできた証拠でしょう。
自宅に戻ると、新垣さんからお電話がありました。
「もしもし?」
『あけましておめでとうございます。』
心なしか、新垣さんの声は元気なようです。
「実家にお戻りになり、少し心も落ち着かれたみたいですね。声が元気そうなので安心しました。」
『ふふ。山盛さんのおかげです。それで、一応ご報告しておこうかと思って。。。』
新垣さんからの報告というのは例の事件のことでした。八木沢さんは大人しく事情聴取を受けているようで、新人教育のために新垣さんに接しているうちに、一方的に好意を抱き、上司と部下という立場上、それを表に出せずにいたことで、ストレスが溜まっていってしまったということです。あの日の郵便物の他にも、新垣さんが気が付いていなかっただけで、玄関先の傘や、他の郵便物なども盗んでいたようです。
人に気持ちという者は姿形が見えない分、時には暴力的になって表に出てくることがあります。悲しいことですが、それを制御するのは自分自身です。出来なかったときに今回のような不幸な事件に発展していきます。
八木沢さんは事が公になって気持ちがすっきりしたのか、罪を償いたいという供述もしているようですね。初版なので、起訴されても執行猶予が付いたり、新垣さんとの折り合いが付けば、不起訴処分になることもあるかもしれないですね。
『私、八木沢さんのやったことは許せないんですが、気持ちはわかるような気がします。人を好きになるって、理屈じゃ説明できないものですしね。』
二度と自分に接近しないことを条件に、寛大な処分を検討するということでした。電話を切ると、一つの区切りがついたようで、少し安心しました。おそらく、八木沢さんは懲戒処分を受けることになるでしょう。何とか立ち直って、人生をやり直してほしいものです。