1月2日 火曜日 心のケア
昨夜はさすがに調子に乗って飲みすぎました。なんとなく二日酔いになりながら目が覚めると、秀美と母が一緒になって食事を作っていました。
「あら、おはよう兄さん。」
「おはよう。」
「お雑煮あるけど食べる?」
「ああ。」
ダイニングテーブルに腰掛け、母が入れてくれたお茶を飲んで目を覚まします。父は起きているようでしたが、修一君たちはまだ寝ているようですね。
お雑煮を食べながら、ゆっくりニュース番組を見ていると、各地の正月の様子が報道されています。有名どころの神社などは初詣の人たちで混雑したみたいですね。若いころは、大みそかの夜中から並んで初詣に行ったこともありましたが、もうそんな気力はないですね。最後におみくじ引いたのはいつだったかな。
「おはよう。」
眠たそうに萌絵ちゃんが起きてきました。
「おはよう。正月から勤務だったから疲れてるでしょう。」
「伯父さんほどじゃないよ。聞いたよ。ストーカー騒ぎ。」
「はは。」
例の一件、特に萌絵ちゃんや秀美は許せないと息巻いていました。同じ女性同士、他人事ではないのでしょうね。
「だって、ずっと自分の教育係を務めていた人なんでしょう? ショックでかいって。」
萌絵ちゃんは新垣さんと年齢が近いこともあって、自分に重ねて考えているようですね。彼女にしてみれば、信頼している先輩のお医者様がストーカーしたようなものでしょう。そう考えると本当に怖いですね。
「ちゃんとケアしてあげてね伯父さん。」
「ケアっても、クライアント先の社員様と警備員だからなぁ。」
「そういうんじゃなくて、会社が違うからこそ寄り添うこともできるってこと。」
そうですねぇ。私なんかに何ができるかはわかりませんが、新垣さんのショックが少しでも和らいでいけるように、できることは考えていかなければと思いますね。