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1月1日 月曜日 山盛家の正月

 除夜の鐘と共に眠りに付き、日の出を見ようと思っていましたが、起きた時にはすっかり陽が昇っていました。ゆっくり伸びをして身体を起こします。


「よく寝たなぁ。」


 あくびをしながらリビングに行くと、すでに父と母は起きていました。


「おはよう。」

「あけましておめでとう。お雑煮あるから、先に顔洗ってらっしゃい。」


 洗面所で顔を洗ってリビングに戻り、テレビの正月特番を眺めます。昨年はいろいろりましたが、無事に新年を迎えられました。思えば4月に異動してから、色々な出来事も出会いも別れもありました。今年は平穏無事に過ごしたいものですよ。


「秀美たちは?」

「さてねぇ。向こうのご実家にご挨拶もあるでしょうから、いつ来るかわからないわ。」


 母がそう言いながらお雑煮を出してくれました。毎年のおせち料理も母が手作りしてくれます。これも楽しみの一つです。


 昨日、雨が降ったせいか、空は雲一つない快晴になったようです。ちゃんと起きていたら、きれいな日の出が見れたことでしょう。来年は頑張って高尾山とか登ってみましょうかね。もっとも、高尾山での初日の出は、毎年混雑がすごいので入場規制もかかるそうです。今頃は人で溢れていることでしょう。


「美味いなぁ。」


 なんだか、今年のお雑煮は身体に染みていきます。母のありがたみをしみじみ感じながら食べていると、


「そう言えば、初詣は行くのかい?」


 と、父が聞いてきました。相模原市内には地元では有名な4つの神社が初詣でにぎわいます。


「どうしようかな。毎年どこの神社行っても混雑するからねぇ。」


 その混雑が苦手で、空いたら行こうと思って、毎年行かないんですよねぇ。これが。


「空いてから行こうとか言って、けっきょく行かないんだろう?」

「はは。」


 父にはバレてますね。


「あけましておめでとうございます!」


 お雑煮をすすっていると、秀美と浩志君が上がってきました。珍しく元旦から来たみたいですね。


「あけましておめでとう。」

「今年は早かったな。」


 そう聞くと、


「向こうのお父さんがインフルエンザになっちゃって。感染したら悪いから年始の挨拶はいいって言われて。」

「修一君は?」


 富田修一、秀美の夫で会社経営をしている。


「昨日飲みすぎちゃってまだ寝てるわよ。あとで迎えに行って来る。萌絵はクジ引き外れて元旦出勤してるわ。夕方には来るはずよ。」


 聞けば、修一君は昨日ようやく忘年会ができたとのこと。羽目を外して二日酔いとは、羨ましいですねぇ。萌絵ちゃんは昨夜から勤務だそうで、昼前に帰って、ひと眠りしたら来るそうです。


「伯父さん。たまにはどうですか?」


 浩志君がお酒を持ってきてくれたようです。


「いいねぇ。」


 仕事の話や、最近の近況をうかがいながら、ついつい飲んでしまいました。楽しい時はお酒も美味しいですねぇ。気が付くと寝てしまっていたようです。


「伯父さん。亮伯父さん。」


 揺さぶられて目を覚ますと、私服姿の萌絵ちゃんが起こしてくれていました。気が付くと修一君も来ていて、時計を見たら16時過ぎでした。隣を見ると、同じこたつで浩志君と寝てしまっていたようです。


「もう。いくつになってもここで一緒に昼寝しちゃうんだから。」


 秀美が呆れたように言います。そうでしたね。浩志君がまだ小さい時、リビングであやしながらよく一緒に寝ちゃったものです。それももうずいぶん昔の話になってしまいましたが。


「お義兄さん。風邪ひかないでくださいね。」

「ああ、修一君。あけましておめでとうございます。」


 すっかり全員集合していたようで、浩志君を起こして、山盛家正月の宴会が始まりました。毎年のことですが、こうやって元気に正月を過ごせるのは、きっと何よりも幸せなことなんでしょうね。来年も、再来年も、みんなが平穏無事に新年を迎えられるように、今年も頑張らないといけませんね。

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