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12月29日 金曜日 眠れない夜

 気が付くと午前2時。まだ眠ることができません。けっきょくあの後、警察署で事情聴取だったり、新垣さんの連絡で駆け付けた平尾所長への説明だったり、色々あって帰宅したのは22時過ぎでした。警察で聞かれたことと言えば、どういう経緯で取り押さえることになったのか、新垣さんや八木沢さんとの関係とか、何度も確認されました。あとは待ち時間の長いこと長いこと。途中、待ちくたびれて寝てしまいました。


 お父様とお話しする時間があったのですが、実際にストーカーが捕まったことで、そのまま放置していればどうなったかわからなかったと、何度も何度もお礼を言っていただけました。本当に何もなくてよかったです。ただ、八木沢さんが新垣さんの郵便物を持ったりしていたので、どんな被害が出ているかはこれからわかっていくと思われます。


 念のため、中町さんと小寺部長には報告しましたが、中町さんは事情を知っていたからともかく、小寺部長からは何を勝手なことをやっているのかとお小言をいただきました。


「とは言っても、先に部長に相談しても何もしてくれなさそうだけどねぇ。」


 布団の中で寝返りを打つと、携帯がメッセージを受信したことを通知しました。


『こんな時間にすみません。もう、寝ちゃってますよね。』


 新垣さんからでした。彼女も眠れないのでしょうね。


「大丈夫です。起きてますよ。」

『なんだか眠れなくて。』

「そりゃそうですよね。でも、不安なことが解決してよかったと思いましょう。」


 そう返信すると、しばらくして、


『入社して、右も左もわかっていない私のこと、丁寧に指導してくださったのが八木沢さんなんです。』


 そう返信が来ました。そうでしたね。4月に入社して、総務経理担当に配属になって、八木沢さんが教育担当だったはずです。八木沢さんは私にも親切に対応してくれる方で、備品倉庫の修理や、洪水対策グッズの点検など、いろいろ一緒に仕事をしたことも多かったのです。根っからの悪人ではないと思うのです。きっと、魔が差してしまったのだと思うのですが、本当に残念な結果になってしまいました。


『もう、何が何だか。。。』


 私は、MINE電話を繋ぎました。


『も、もしもし?』

「夜分すみません。山盛です。大丈夫ですか?」


 それから、しばらく新垣さんの話を聞くことになりました。警察の話では、郵便物以外にも余罪はあったそうで、新垣さん自身も気が付いていないことも多かったそうです。時折、涙声になるのを聞きながら、声に出して話せば少しは楽になると思い、ずっと聞いていました。


「新垣さん。幸か不幸か、年末年始のお休みがありますから、ゆっくり休んでくださいね。少しは寝ないとだめですよ?」

『ふふ、すみません。山盛さんに話を聞いてもらったら、少し気が楽になりました。少し休むことにします。山盛さんもこんな時間まで付き合わせてしまってすみません。』

「いえ。私も寝れなかったものですから。」


 それではまた年明けにと、電話を切るころにはもう午前5時近くになっていましたが、不思議と疲れはなく、その代わりにすぅーっと眠気が襲ってきました。布団に入り横になるとすぐに眠りに付きました。

 次に気が付いた時はもう昼過ぎでしたね。雨戸も閉めていたのですっかり寝てしまっていました。さてと、ダラダラしちゃうとそのまま年末年始過ごしちゃいそうなので、身体を起こして雨戸を開けます。今日もいい天気ですね。


 洗濯物を済ませて、軽く食事を取ると、着替えてジョギングに出ました。少し体を動かしておかないと、今夜も寝れなくなりそうです。軽く走るつもりでしたが、だいぶ遠出してしまいまして、帰ってくる頃には薄暗くなっていました。10キロ近く走っちゃったかもしれないですね。


 お風呂に入って夕食食べて、心地いい疲れの中でいつも通りに眠ることが出来そうです。

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