12月20日 水曜日 凍死の恐ろしさ
今朝も寒いですね。気温計は2℃を差していました。部屋を出ると、寒風が吹き抜けていき、思わず身を屈めてしまいました。寒い上に風が強いと余計に寒く感じますよね。私の仕事は基本的に午前9時から18時ですが、出社自体は8時を目指しています。と、言うのは、社員様が出社されるのが8時半過ぎくらいからですので、8時には正門を開けておきたいからです。そのため、7時半過ぎには現場に入りますので、家は7時くらいに出るようにしています。もちろん、速く業務を行う分は残業代としてしっかり支給されています。
冬も深まってきましたので、この時間はようやく日が出てきたくらいです。まだ西側はうっすらと暗さが残っているような時間ですね。今くらいの時期に、タイミングよく見晴らしのいい場所にいると、東は朝日が出て明るくなっているのに、西を向くとまだ夜空。という面白いパノラマが見れることがあります。こんな仕事をしていると、何度か遭遇することがあるのですが、冬に見るのが一番きれいですね。空気が澄んでいるからでしょうか。まったく同じ時刻なのに、東を見れば朝日が昇り、西はまだ夜の中というのはとても幻想的で不思議な光景です。
「あれ?」
正門前に、人が座り込んでいます。慌てて駆け寄って声をかけます。ダウンコートを着込んだ30歳くらいの男性ですね。
「もしもし。大丈夫ですか? こんなところで眠っていたら身体壊しますよ?」
反応がないので、最悪なことも考えながら肩を叩きます。
「もしもし、大丈夫ですか!」
「・・・んあ?」
反応がありました。よかった。最悪、凍死している可能性も考えちゃいましたよ。スン、とアルコールの臭いがしたので、おそらく酔っぱらいでしょう。
「こんなところで寝てたら風邪ひくだけじゃすまないですよ。大丈夫ですか?」
男性は寝ぼけているのか、状況がよく呑み込めていないようだ。
「ここは東都ガスの八王子管理センターです。これからこの正門を開けるので、場合によっては車も通ることがあります。体調が悪いようでしたら救急車呼びますし、動けないようでしたらタクシーを呼ぶこともできますけどどうしますか?」
「あ、ああ。大丈夫です。すみません、歩けます。」
「今日も寒いですから、外で寝込んだら駄目ですよ。」
「はい。どうも。」
だんだん頭がさえてきたのか、男性はバツが悪そうに駅の方へ歩いて行かれました。思ったよりも足取りはしっかりしているので、多分、大丈夫でしょう。
日本全国で、毎年1000人以上の方が凍死で亡くなっているそうです。これ、どのくらいの数字かというと、熱中症で亡くなる方よりも多いという数字になっています。今回のような、お酒の席の後、うっかり路上で寝込んでしまってそのまま亡くなるケースもありますが、最も多いのは、高齢者が暖房を付けずに低体温症になって亡くなるケースだそうです。年々、光熱費は上がってきてはいますが、夏の冷房と冬の暖房は、油断せずに使ってほしいですね。
解錠を終えると、社員様が出社し始めました。みなさん厚着をされて暖かい格好をしています。今朝の男性も、ロングのダウンコートを着ていたので大事なかったのでしょうね。平尾所長がお見えになったお気に、軽く報告だけしておきました。何事もなくてよかったですよ。
警備日誌 12月20日 水曜日 晴れ
出社時、正門前で寝込んでいる30歳くらいの男性を発見。
お声がけし、身体に異常がないために退去を促す。
その後、八王子駅方面へ立ち去ったために対応を完了する。
その他、警備業務に異常なし。