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11月4日 土曜日 防災合宿2日目

 目が覚めると、少し肌寒さを感じました。11月にもなると、今年の秋は温かいとはいっても、山梨の朝は気温が低いですね。時計を見るとまだ午前6時すぎ、少し早く目が覚めてしまったようです。コテージは1階がリビングとお風呂とトイレとキッチン。2階は二部屋あって、片方がベッド2台の寝室、もう片方は夜空を見ながら寝れるように天窓の付いた部屋で、中町さんと佐藤くんはベッドを使って、私と荒井さんは布団を引いて星を見ながら寝ました。なんでも、佐藤くんはコンタクト、中町さんは眼鏡を外すとけっきょく見えないからということで、荒井さんと一緒に星空を堪能しました。


 しかし、昨夜は23時過ぎまでトランプ大会が盛り上がりました。罰ゲームで用意された苦々茶の苦いこと苦いこと。ホント、中町さんも張り切ってよく探してきますよ。楽しかったですけどね。


 荒井さんはまだ寝てたので静かに部屋を出てリビングへ降りると、中町さんがすでにエプロン姿で料理を始めていました。


「あ、おはようございます。早かったですね。」

「おはようございます。早かったって、中町さん何時に起きたんですか?」

「私? 5時過ぎには目が覚めちゃったんで、露天風呂頂いて朝ごはんの準備してます。よかったら亮さんも朝風呂どうぞ。気温が低い分、気持ちよかったですよ。」


 朝食準備は任せとけ。ということで、私は露天風呂をいただきました。今朝の温度は5℃くらいということで、外は寒かったですが、露天風呂は本当に気持ちがよかったです。思わずゆっくりしちゃいました。


 お風呂から出るころには、佐藤くんも荒井さんも起きてきました。すでに朝食が出来上がっていることに驚いていたようです。フレンチトーストを焼いてくれたようですね。おまけに昨日のお肉の残りも出てきたので、朝からボリューム満点です。


「それでもまだお肉余ってるんだよね。」


 まだけっこう残っていたので、佐藤くんと話して、ご家族でどうぞと中町さんと荒井さんにお持ち帰りいただくことにしました。


 お腹いっぱい食べて後片付けをする頃には午前9時半。もうすぐチェックアウトのお時間です。荷物を車に積み込み、忘れ物がないかチェックをして出発します。


「ところで、MA富士って何ですか?」


 そう言えば、日程表見た時から気になっていたんですが、聞くのを忘れていました。


「今回の防災合宿のメイン訓練ですよ。」


 とだけ言って、中町さんは少年のように微笑みました。中町さんがこういう笑い方をする時は何か企んでるときのことですので、ちょっと心配していると、30分もしないうちに目的地に到着しました。MA富士、マウンテンアドベンチャー富士の略だったようで、ここは森を切り開いて作ったアスレチックコースのようです。ただ、驚いたのは、アスレチックと言っても本格的で、頭上遥かの高さにネットやワイヤーが張ってあります。


「まさかですけど・・・。」


 気候と思った瞬間、女性の悲鳴が聞こえたので振り返ると、私たちの頭上を女の子がワイヤーを使って滑空して通り過ぎていきました。


「無理無理無理無理!!」


 私はそう抵抗しましたが、


「亮さんなら大丈夫! やればできる!!」


 と、野球が上手なお笑い芸人の真似をして中町さんが励まします。これは逃げ場はなさそうですね。まいった。私、本当に高いところと水の中はダメなんですよ。泳ぐのはいいんですが潜水は無理です。ってか、高いところはもっと無理です。


 ブリーフィングと称して、施設の方が私にハーネスを取りつけ、安全確保のための説明をしてくださいます。ハーネスとワイヤーが常に繋がっているので、理論的には落ちることはないんですが、練習用コースの1mの高さがもう怖い。


「では、いってらっしゃいませ。」


 スタッフのお姉さんの笑顔に見送られながらステージ1に向かいます。ここは5つのコースからなっていて、基本的には、梯子や階段を上って、ワイヤーなどのアトラクションを渡って、滑空して降りる。ということなんですが、いきなりの高さが10mはあろうかという梯子からスタートです。


「じゃあ、私が先導しますから、亮さん2番目、佐藤くんと荒井さんはそのあとに続いてください。」


 中町さんはこのアスレチックシリーズは何か所も回っているそうで、体型に見合わずスイスイ登っていきました。


「ほい。亮さん、おいでー!」


 頭上から声をかけられたので登り始めます。う、怖い。下を見ないようにしていきましょう。ホントに怖い。もう、それしか言いようがないですよ!


 怖々登りきると、プラットホームと言われる直径1メートルちょっとの狭い板の上に立ちます。ダメ、もう足がガクガクデス。


「中町さん。リ、リタイア・・・。」

「ははは。亮さん、エイプリルフールは半年先ですよ。さぁ、行きましょう。」


 一番高いところで15m近くありそうです。佐藤くんも荒井さんも大丈夫なようで、ワイワイ騒ぎながら、富士山が見えるとか、紅葉がきれいだとか言ってますが、とてもじゃないですがそんな余裕ないです!


 渡ると言っても、ワイヤー1本だったり、網の目を渡ったり、ねじれた梯子だったり。上るのも梯子ばかりじゃなくて、ボルダリングの壁とか、紐の梯子とか、もう滅茶苦茶です!


「じゃあ、亮さん。先に行って待ってますよ。」


 と、中町さんは何の躊躇もなく滑空していってしまいました。米粒くらいの大きさになった中町さんは、器用に着地すると、


「亮さん! OK!!」


 と、手を挙げて合図をしてくれました。滑空の時は、当然ですが足は宙ぶらりんです。


「はぁ。怖い、なんで来ちゃったんだろう。」


 と、後悔を口にしながら滑空しました。いや、速い! これは思っていたよりも早い!! それに、クルクル回転し始めました。ゴール手前で後ろ向きになってしまったので、ブリーフィングで教わった通りに、足を延ばしてかかとでブレーキをかけますが、しっかり背中ごと着地しました。ゴール地点はウッドチップになっているので痛くはないんですが、軽い事故ですよこれは!


「亮さん。お疲れ様! 出来たじゃないですか。さぁ、次、行きますよ。」

「ええーっ!」


 これがあと4ステージ、中町さんは慣れているのでスイスイと、佐藤くんと荒井さんはワイワイと、私は1人キャーキャーと、たっぷり3時間かけて最後の滑空を終えました。最後の最後でちゃんと着地出来て、


「はい。亮さん、ポーズ!!」


 中町さんの携帯に向かってピースサインをします。いや、参りました。すっごく疲れましたよ。でも、不思議なもので、最終ステージに来る頃には、最初ほど怖くはなくなっていました。


「亮さん。コンプリートで来たじゃないですか!」


 みんなでグータッチします。そうです。中町さんはこうやって褒めるのが上手な方ですよ。怖くてもずっと励ましてくれていましたし、なんだか生まれ変われた気すらしてきます。


 受付に戻ってハーネスを外す前に、みんなで記念撮影してもらって、防災訓練? が完了しました。


「楽しかった!! 今度、子供連れてこよう!」


 荒井さんはすっかり気に入ったみたいです。中町さんは6カ所のMAに10回以上来ているそうですね。スタッフさんが喜んでいました。


「今度は、ほかのMAにもチャレンジしましょうね。」


 なんとなく、行ってみようかなと思ってしまっている自分にびっくりです。防災の仕事は有事の際には火災対応だったり、救命対応を行います。冷静さを必要としますが、今日の訓練は、度胸を付けると言う意味でもすごく有意義だったと思います。はい。思いたいです。


 MA富士を後にして、昨日昼食を取った道の駅なるさわにあるなるさわ富士の湯で汗を流しました。お昼ごはんの予定を組んでいたんですが、みんな朝たっぷり食べたのでお腹がすいていないとのことで、温泉の前に信玄餅アイスをいただいてお昼は終わりです。温泉は素晴らしかったですね。広くて開放的ですし、何といっても富士山が真正面に見えますから、露天風呂の景色は最高でした。


「中町さん。」

「はい?」

「今日はありがとうございました。すごくリフレッシュできましたよ。MAは怖かったですけど。」

「はは。気分転換で来たならよかったですよ。よかったらまた企画しますので付き合ってください。どうも、嫁は出不精ですし、子供達も親と旅行する歳でもなくなったので。」


 楽しい時間はあっという間ですね。中町さんもずっと運転していたのに、疲れも見せずにみんなを楽しませてくれました。八王子駅で降ろしてもらい、中町さんは荒井さん達を送ると言って帰っていかれました。いい休暇が過ごせて嬉しかったです。次回がいつかはわかりませんが、なんか修学旅行を思い出して面白かったですね。またぜひ行きたいです。

お読みいただきありがとうございます。

今回の舞台のお知らせです\(^o^)/


フォレストアドベンチャー

https://foret-aventure.jp/


本格的なアスレチックです。

事前予約をした方がスムーズですね。

子供も大人も楽しめます。

お子様は4年生以上なら大人コースも行けますよ。


各地にありまして、

それぞれコースが違うのでどこでも楽しめます。


富士展望の湯ゆらり

https://www.fuji-yurari.jp/


道の駅なるさわに隣接しています。

露天風呂から眺める富士山は豪快で見ごたえ満点!


お食事処やお土産も買えます。

マッサージ器もたくさんありますよ。


川口湖観光にはぜひお立ち寄りください。


今回は2019年に職場で企画した小旅行が題材でした。

年に1回はこうやって職場の仲間とイベントしています。


河口湖大好き水野忠でした。

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