9月25日 月曜日 平尾副所長からのご相談
今日は日中でも秋らしい快適な日になりました。贅沢を言うと、もう少し湿度が下がるとさらに快適なんですけどね。明日からは秋雨前線の影響で雨続きになるそうですから、今日の秋晴れは貴重かもしれません。外周巡回もいつもよりも足軽に進みましたね。
さて、今週はいろいろイベントがあります。明日はいよいよ先日受験した消防設備士の合格発表です。緊張しますね。木曜日には救命講習の準備とリハーサル。そして、金曜日は救命講習本番です。浜崎所長も最後の記念に参加するとのことでしたので、しっかりやらなければいけないですね。
「山盛隊長。ちょっといいですか?」
午後になって、平尾副所長と新垣さんが警備室にやってきました。
「どうかされましたか?」
「ちょっとお願いがあって。」
私は警備室のテーブルにご案内すると、お茶を入れて二人に出しました。
「お願いとは何でしょう。」
「浜崎が今週末で勇退することはうかがってるかと思いますが、救命講習のあと、少し時間をいただいて送別セレモニーをしようと思っています。送別会は別日に関係者でやるのですが、ここに出社するのは金曜日が最後なので。」
「なるほど。」
すると、新垣さんが色紙とカラーペンを取り出して、
「所長に寄せ書きを作っているんです。山盛さんも書いていただけませんか?」
と言ってきました。差し出された色紙には、いっぱいに皆さんからの送別のメッセージが書かれています。今は見開き式の指揮しなんてあるんですね。
「喜んで協力させていただきます。」
後で引き取りに来ると言うので、いったん色紙をお預かりしました。
「それから、セレモニーなんですが、救命講習が終わった後、私が司会を代わりまして、そこで新垣と藤田から、花束と色紙、記念品を渡したいと考えています。」
「わかりました。では、木曜日のリハーサルの時にでも弊社のメンバーには事情を連絡しておきます。」
「よろしくお願いします。」
二人が戻られて、私は色紙を見ながら何を書くのか考えていました。みなさんのメッセ―意を見ていると、浜崎所長がどれだけ慕われていらっしゃったのかが良くわかります。4月に配属して、ここではまだ半年ほどの勤務ですが、浜崎所長にはいろいろとお気づかいもいただきました。捨て猫騒ぎの時は、アイリスのことで意外な猫好きを発揮され、それ以外にも私にまで気にかけていただき、、、
いけませんね。年齢とともに涙もろくなっています。それだけ、この半年間の仕事が濃いものだったのでしょうね。
「よし。書くか。」
私はペンを取り出して、あまり目立たないように端の方に書かせていただきました。私が定年をする時は、どんな風になっているか見当も付きませんが、浜崎所長のように、惜しまれて送り出していただけるようにしたいものですね。
退勤前に、新垣さんが色紙を取りに来てくれました。
「ありがとうございました。読んでもいいですか?」
「え? は、はい。」
新垣さんは色紙を広げてメッセージを読みました。
「・・・。山盛さん、素敵です!」
感動したと言って、新垣さんは引き上げていきました。
『浜崎所長へ
半年と短い間でしたが、警備業務にご理解をいただき、そして、いつも気にかけていただきありがとうございました。所長が守ってきた八王子管理センターと社員の皆様の命を、私は全力で守っていきます。どうかお元気で。ありがとうございました。
山盛亮』
拙い文章ですが、思いを込めて書かせていただきました。金曜日が楽しみですね。
警備日誌 09月25日 月曜日 晴れ
平尾副所長と新垣様より、
救命講習後のセレモニーに付いて相談を受ける。
外周巡回に異常なし。
ほか、異常なし。