9月22日 金曜日 ネット社会の恐怖
今日は憂鬱になりながら出勤しております。山盛亮です。
『もしもし、亮さん? 今、ネットニュース見て、八王子管理センター前で事故なんてあったの?』
「はい。さすがに耳が早いですね。」
『いやいや。ネット動画に亮さんの姿がばっちり移ってるよ?』
「へ?」
それは、昨晩遅くに中町隊長からの連絡でのことでした。昨日の事故対応の動画がネットに拡散されているようで、携帯ニュースにも動画のリンクが公開されていました。顔もばっちり映っています。野次馬が向けていた携帯電話のどれかが、こうやって公開されたのでしょう。
≪事故現場で奮闘する警備員≫
なんてタイトルで動画サイトに上がっています。けっこうな再生回数になってしまっています。コメントもついているのでたまりません。
『警備員必死www』
『出しゃばりすぎじゃね?』
『警棒で割れない窓がウケる!』
などなど、誹謗中傷とまではいかないですが好き勝手なコメントがある中で、
『警備員って優秀なんだ。』
『うちの会社の警備じゃこの動きは無理』
『警備員、いや、人としての鑑!』
なんていうお褒めの言葉もいただいているようですね。自分の知らないところで撮影され、自分の知らないところで公開され、良くも悪くも好き勝手言われている。怖い時代になったなと感じました。
この動画に関しては会社も重く見ているようで、顔がさらされているうえに、東都ガス様の社員も顔が出てしまっているので、会社からネット会社やニュースを出した新聞社へは抗議と削除要請の連絡を入れるそうです。
平尾副所長にも連絡し、動画を確認いただいたのですが、人として正しい行いをしたことの動画であるため、東都ガス側としては対応はしないとのことでした。それよりも、昨日の救助活動のことを改めて褒められ、また、労っていただきました。
夕方になって秀美からMINEが入り、
『お兄さん。ちゃんと仕事してたのね。』
だそうです。動画を保存してUSBにダウンロードして保管するとのこと。やめてけれ!
『次にお兄さんがネットに乗るときは、手配写真かなんかかな? 職場の女の子に鼻の下伸ばしちゃダメよ。』
メッセージを読んで、ふと新垣さんの顔が浮かびました。
「なんでだよ。」
首を振って否定しながら、今日も仕事に取り組むのでした。
警備日誌 09月22日 金曜日 雨
昨日の警備対応がネットニュースに無断で動画配信される。
本社警備防災部から該当新聞社へ抗議と削除要請を実施予定。
東都ガス様としては対応はなしとのこと。
その他、異常なし。