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8月22日 火曜日 スコールみたい

 日中、いい感じに救命講習の資料資料が出来上がったので、中町隊長にメールで送信しました。確認しておくとのことでしたので、とりあえずこの件は一段落です。と言う訳で、あとはひたすら試験対策ですね。どうしたって時間がないですから、もうやるしかないわけです。


 苦手な物理問題は、教えてもらったYOUCUBEの解説動画も見ながら、何とか理解を深めていきました。確かにこの解説動画わかりやすいですね。なんだか解けそうな気がしてきました。そんな試験勉強に時間を割いていると、なんとなく外が暗くなってきました。と、同時に携帯の防災アプリが鳴り、確認すると、『八王子市 大雨 80ミリ』と言う表示が出ていました。


 受付の窓を開けると、少し気温も下がってきたように感じます。PCで雨雲レーダーを確認すると、南東から雨雲の塊がこっちに向かっているようでした。


「こりゃ、一雨来るな。」


 そう思って、振り出す前にオフィス棟の自動ドア前のマットを建物の中に入れました。いつもは雨が降っても大きな庇があるのでそのまま置いていますが、台風などの大雨の時にはびしょ濡れになるので中に引っ込めます。


 そんな作業に数分しか使っていなかったはずなのに、警備室まであと10mと言うところで、大粒の雨がぽつりぽつりと降り始め、警備室の扉を開けるころには一気に振り出しました。


「あ、危なかったぁ。」


 『しとしと』とか『ざーざー』ではなく、何というか、『ぶわぁ!』と言う感じの豪雨になりました。あまりに降りが強烈すぎて、警備室の受付から見える範囲がいっぺんに視界不良になりました。最近、こういう強烈な降り方が増えましたよね。熱帯雨林などのスコールと言うのはこういう雨を言うのでしょうか。


 雨脚が強くなるにつれて、そこらじゅうの赤外線センサーが発報し始めました。モニターカメラで周囲を観ますが、侵入などはないですし、塀が崩壊したということもないです。雨がひどすぎて赤外線を塞いでしまっているのですね。こうなると現代設備も自然の力には敵いません。モニターでの監視を強化しながら、発報しては確認して、問題なければ解除して、と言うのを繰り返しました。正直言ってキリがありません。


 そして、悪いことに雷も鳴り始めました。この間みたいなことにならなければいいのですが。。。


「っ!!」


 わかってます。雷鳴ってるってわかってますが、人間の反射ですよね。ビクッとして身をすくめてしまいます。頼むから落ちないでくれよ。


 しかし、こういう雨は短時間だと言うのも事実で、30分もしないうちに小降りになり始め、やがて雷鳴も遠ざかっていきました。雨雲レーダーを確認すると、今は高尾山の辺りが土砂降りみたいですね。お出かけになっている方は大丈夫でしょうか。


 退勤時間になるころには、もう晴れ間が出ていました。そして、容赦ない太陽光が濡れた地面を乾かし、気化熱で涼しくなるのを通り越して、膨れ上がった湿気が最悪の暑さを演出していました。


「山盛さん、お疲れさまでした。すごい雨でしたね。」

「お疲れ様です。蒸し暑くなる前に気を付けてお帰り下さい。」

「もう、外は暑いですよー。」


 そう言いながら、新垣さんが笑顔で退勤されていきました。家では相猫のアイリスが帰りを待っていることでしょう。さっきの雷で驚いたに違いありません。


「お疲れ様でした。」

「お疲れ様です。今のところ、先ほどの雨での異常はありません。」

「ありがとうございます。」


 浜崎所長がお帰りになりました。最近は出張も多いみたいで、管理センターは平尾副所長に任せて、あっちこっち行かれているみたいですね。


 みなさんの退勤が済み、私も残留者確認がてら敷地内の巡回をして、異常がないことを確認して退勤します。もう発報祭りはコリゴリですよ。





警備日誌 08月22日 火曜日 晴れ一時豪雨


 15時過ぎから豪雨と雷に見舞われる。


 最終巡回時に外周巡回を実施し異常なし。

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