8月15日 火曜日 終戦記念日と台風7号上陸
夜の勤務は正直言って何も起きなければけっこうヒマな時も多いです。特に今夜の施設に関しては、残留者もいないため、誰の目を気にすることもなく、次第に強まっていく風雨を観察しながら、時折、監視モニターで施設内外の状態をチェックし、そうやって時間は過ぎていきます。
天気予報を確認しましたが、相変わらず直撃コースですね。やや東海よりなので、台風の東側に位置する関東地方はけっこうな影響になるはずです。時折、風の影響か侵入監視センサーが発報しますが、モニターを見る限り異常はありません。仮眠も取っていいのでしょうが、こうやって発報がある限りはなかなか寝付けそうにないですねぇ。私はモニター前に椅子を移動して、半分ウトウトしながら監視を続けました。
「ふぁああ!」
大きく伸びをしながら時計を見るとまだ午前2時。風雨は強まるばかりでほかに変化はありません。巡回に出ようにもこの風雨ではかえって危ないので、モニター監視に専念します。受付の外では横殴りの雨がバチバチ音を立てながら窓ガラスにぶつかってきます。こんな中を出勤するのは大変ですから、やっぱり泊まり込みにして正解でしたね。それよりも、出勤予定の社員様が無事にお見えになるかそれが心配です。
午前5時になると、うっすらと明るくはなってきていますが、風も雨も相変わらずです。モニターを動かして通りを見てみますが、人通りは案の定少なく・・・ないですね。いつもよりも人は少ないと思いますが、雨具を着たり、この風の中傘をさして飛ばされそうになりながら歩いている人がいます。こんな天候でも働かなければいけないのは、日本人ていうのは本当に勤勉ですよね。台風休暇みたいなものが法令で定められないものでしょうか。もっとも、どうしても働いてもらわなければいけない職業ももちろんあるでしょうけど。
午前7時を過ぎたところで、私は雨具を着込んでオフィス棟の解錠に行きました。
「のわっ!」
扉を開けた途端、風で飛ばされそうになりました。オフィス棟の解錠だけ場だけしてさっさと戻ってきましたが、雨具を着ているといってもずいぶん濡れてしまいました。雨具をラックにかけると、私は一度シャワーを浴びて身体と頭をすっきりさせました。もう少ししたら社員様の出勤時間です。風雨は相変わらずですけどね。午前10時近くになって、ようやく出勤の社員様を乗せたタクシーが連続して入ってきました。3名バラバラで出勤でしたが、待ち合せればいいのに。
「ひでぇ雨だ。山盛さん、今日もよろしく!」
「お疲れ様です。夜間は以上ありません。」
「どうもありがとうです!」
小森様がそう声をかけてくださって、オフィス棟に入っていかれました。もう傘は意味がないと悟ったのでしょうか。傘もささずにびしょ濡れになってましたね。中に入れば作業着に着替えますので、いいっちゃいいんでしょうけど。
防災盤では風速18mを記録しています。傘なんて役に立たない数字ですね。日中は風も雨も相変わらずでしたが、時々、風であおられた樹木の枝に反応しているのか、侵入監視が発報したくらいで、あまり影響はなかったですね。お昼過ぎに小森様に報告した時も、あちらも異常はないとのことでした。ただ、浅川が氾濫しそうだということで、注意喚起を促す市内放送が流れていましたが、ほとんど聞き取れませんね。
そんな台風真っただ中、ニュースでは78年目の終戦記念特集を報道しています。毎年この時期の戦争の話を聞くものですが、今年に限ってはこの台風が影響して、都内での式典は中止や縮小がほとんどのようですね。私のお祖父さんに当たる方は、太平洋戦争で戦地に赴き、ケガをして本土に戻されたと聞いたことがあります。調べてみると、けっこう身内にいらっしゃるのかもしれないですね。
今も世界のどこかで戦争が起きています。まったく戦争のない時代というのは、もう来ないのかもしれません。でも、それでも、きっと来ると信じて平和を守るしかないと、個人的には思うのです。犠牲になるのは、いつだって最前線に立たされる一般国民ですからね。
ただ、暴風雨は必ず通過するもので、14時くらいには雨も止んで風も弱まってきました。それでも風速10mはあるみたいですけど。雨が治まったので、15時過ぎには皆さんお帰りになりました。私も最終巡回をして、明日の準備をしてから上がることにしました。明日、丸木さんが困らないようにしておかないとですね。
警備日誌 08月15日 火曜日 台風
台風7号の影響で昨日より引き続き業務を実施。
強風の影響で監視センサーが発報するも異常は認められず。
これまでの被害はなし。
東都ガス様は臨時休業。
臨時対応で入られた3名の社員様も15:11に全員退館。
ほか、異常なし。