7月31日 月曜日 救命講習の打診
梅雨が明けて、暑い日が連日続いています。今年は10年に一度の酷暑と騒がれていますが、なんだか毎年同じようなことを言っている気がするのは私だけでしょうか。
先日、新垣さんが熱中症で倒れた件で、オフィス棟にはウォーターサーバーが設置されるそうです。午前、お昼、午後、夕方と、一日4回アラームが鳴り、紙コップ1杯の水分補給を義務付けるそうです。まぁ、少しでもこまめに水分補給するというのはすごく大事なことで、物流倉庫などでもこういった取り組みを取り入れているところは多いみたいですね。
「山盛さん。ちょっと相談が。」
そう言いながら、平尾副所長がお見えになったのは、外周巡回の終わった午後2時のことでした。
「どうしました?」
「先日、防災訓練をしていただいたじゃないですか。」
「はい。」
「実は、ほかの事業所なんですが、勤務中に死亡事故がありまして。」
「ええっ!?」
聞けば、都内の事業所でガス配管の補修作業をしていた協力会社の作業員が、突然倒れてそのまま亡くなったという事案があったそうです。心筋梗塞だったとのことですが、適切な救命処置ができていなかったのではないかと問題になりました。外作業だったため、AEDもすぐには搬送できず、都心のために救急車の到着も遅れたそうです。
「そこで、救命講習をやってみていただけないかと思いまして。」
平尾副所長の言うことには、外部の講師を頼むよりも、関東SSで講習をやってもらえないかとのことでした。場所はオフィス棟2階の会議室を開けるとのことですが、参加人数や日時は真っ白だそうです。
「わかりました。ちょっとお時間いただいてもよろしいでしょうか。本社に確認して、どんな手順がとれるか確認してみます。機材も必要になると思いますので。」
「お忙しいのに無理を言って申し訳ありません。」
「いえいえ。救命の手順は、大事なことですがなかなか学ぶ機会が少ないのも事実です。私たちとしては、クライアント様が防災に興味を持って取り組んでいただけるのは大変ありがたいことだと思います。」
「ありがとうございます。用意する機材や費用など、また相談できれば助かります。」
平尾副所長が戻られると、私はさっそく本社の連絡を取り、小寺部長に相談することにしました。
『それはいいんだが、講習で金は取れるんか?』
相談をしての回答がこれでした。まぁ、そりゃそうなんでしょうけど、そこを調整するのが営業担当の仕事だと思うのですよね。一応、費用の話もしていたので無料奉仕ってことはないと思うのですが、そこは私じゃなくて部長にやってほしいです。
「とにかく一度、費用や人員面を含めて、調整の場を設けていただきたいのですが。」
『せやったら、来週中の平日にいくつか候補日確認して再度連絡くれ。話に行くわ。』
そう言うと、小寺部長は電話を切ってしまいました。どこにいるのか電話の向こうはずいぶん賑やかな感じでしたね。とりあえず、平尾副所長に来週の都合のいい時間をお伺いし、ご返答をいただくことになりました。
救命講習をする際には、胸骨圧迫用の人形セットと、訓練用AEDが必要になります。4.5人で1グループくらいがいいのですが、1グループにつき講師は1人の計算です。社員15人が一斉にとなると、最低でも3.4人の講師が必要になります。
8月も忙しくなりそうだと思いながら、今日の業務を終えて帰路に着くのでした。
警備日誌 07月31日 月曜日 晴れ
平尾副所長より、救命講習実施について打診あり。
来週、小寺部長が内容に関して調整予定。
熱中症対策として、
近日、オフィス棟にウォーターサーバーを設置予定。
外周巡回は異常なし。
ほか、異常なし。
みなさんこんにちは\(^o^)/
作者の水野忠でございます。
いろいろとイベントの多かった7月でした。
警備員は地味な仕事と思われがちですし、
実際、やっていることは地道なことが多いのですが、
けっこういろいろアクシデントに見舞われます。
様々な事案や事象に対して、冷静に状況判断して行動する。
これがけっこうできない警備員もいます。
どれだけ日々、真剣にシミュレートして対策できるかです。
みなさんの警備員のお仕事に少しでもご理解が深まっていったら、
すごく嬉しいと思います。
8月もイベントが続きそうですね。
引き続きどうぞよろしくご覧ください!
また、
作者応援のために、
ぜひ、いいねとブックマークと高評価をよろしくお願いいたします。
m(__)m
水野忠