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7月20日 木曜日 私の代勤って??

 警備室の受付から、広場の雨模様を眺めながら、しばし平和なひと時を過ごしていました。梅雨明けしたって言うのに連続の雨にちょっと笑ってしまいます。しかし、気温は低くないので、じめっと蒸した日になりそうです。


 新垣さんは、けっきょく今日は大事を取ってお休みされたみたいですね。熱中症は甘く見ていると重症化することがあります。また、若いからと言ってかからないということではないので、夏場は細心の注意が必要です。


 雨の音に心地よさを感じながら、ふと、自分に何かあった時の代勤はどうなっているのか疑問に思いました。私だって人間です。風邪を引いたり怪我をすることがあるかもしれません。そう言った場合、ここの現場は誰が入るのか、そう言えば聞いたことがありませんでした。一人現場のつらいところですね。


「ちょっときいてみるか。」


 私は受話器を上げ、本社の営業担当である小寺部長に連絡を入れました。さっそく、自分の心配を相談すると、


『なんや。山盛くんは体調悪いのか?』

「あ、いえ。そういうわけではなく、昨日熱中症の急病人対応があったので、私が倒れた場合の代勤ってどういう風になっているのか疑問に思ったので。」

『まぁ、何とかなるやろ。』

「へ?」


 驚いたことに、何にも決まっていないようでした。小寺部長いわく、誰か手すきの者に行かせるとのことでしたが、初めましてで来た方がいきなりできるほど、警備の仕事は単純ではないんです。ここだって、一人で回せる現場だとはいっても、何かあれば対応しなければいけません。そのためには建物の構造や避難経路や周辺情報など、そう言ったことも把握していなければいけないのですが、はぁ。


 電話を切った後、中町隊長に相談のメッセージを送ってみました。中町さんは現場隊長ですが、社内的にはご自身の現場のほか、埼玉地区の3警備隊を統括する立場でもいらっしゃいますので、会社としては統括課長待遇になっています。


 すぐに外線が鳴り、


『お疲れ様です。亮さんの代勤って、何かありましたか?』

「いえ。昨日救急対応があったので、ふと、自分が体調崩したりした時の代勤ってどうなってるのか疑問に思って。」

『部長はなんていってました?』

「何とかなるだろって。」

『あのヤロ~。』


 至急対策するということで、中町さんは電話を切られました。適当な小寺部長と真面目な中町隊長、よくケンカしているのは社内でも有名です。まぁ、だいたい中町さんの正論武装で小寺さんがコテンパンになっちゃうのがいつもの流れですが。。。


 今回もそうなったようで、夕方には中町さんから連絡が入り、来月から順次、研修で何名かここに派遣するとのことでした。そのためのミーティングをしたいので、明日、中町さんがお見えになるそうです。


 すぐに入構申請を浜崎所長に送り、すぐに承認をしていただきました。


「お疲れ様です。」

「所長。お疲れさまでした。」

「山盛さんの代勤の件など、仕事をお願いしている私達も気にすべき案件でした。申し訳ありません。」

「い、いえ。私も決まっているものだとばっかり思っていたので。」

「明日のミーティングには、私も参加しますので、よろしくお願いします。それから、遅れましたが、昨日の新垣の件での対応、本当にありがとうございました。山盛さんが適切に対応していただいたので大事になりませんでした。新垣は今週いっぱい休むように伝えていますので、来週からまた、よろしくお願いいたします。」

「かしこまりました。」


 浜崎さんがお帰りになると、明日のミーティングの準備をして私も上がらせていただくことにしました。新垣さんは大丈夫でしょうか? 熱中症は休むのが一番です。ゆっくりできればいいんですが。





警備日誌 07月20日 木曜日 雨


 人員配置の件で明日11時よりミーティング実施予定。


 入構申請を行う。


 ほか、異常なし。

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