素敵なお昼のハンバーガーセット7
おぼっちゃまがそうおっしゃった瞬間、メイドたちが全員歓声を上げました。
まさに狂喜乱舞、狂ったように喜びの声を上げ、抱き合い、泣き出す人までいる始末。
そのまま私達は部屋を飛び出し、酒造になだれ込んで酒瓶を空け、自分たちの作ったごちそうに舌鼓。
無礼講で、あられもない姿になりながら呑めや騒げやの大宴会を繰り広げたのです!
……嘘です。それは脳内のお話でした。
おぼっちゃまやお嬢様、それにメイド長がいる前でそんなこと出来るわけがありません。
ですが、あたりを歓喜の気配が包み込み、叫び出したいのをぐっと我慢しているのが伝わってきます。
ぎゅっと拳を握りしめる人、プルプルと唇を震わせ笑うのを我慢している人。
さらには、目元に涙がにじませている人まで。
ええ、ええ。大変な一ヶ月でした。
けど……けど。私達は、やり遂げたのです!
「ばっ、バカなっ……! おっ、お嬢様! お嬢様は、もちろん私達の方を褒めてくださいますよねっ!?」
ですが、納得がいかないのはローマンさんたちシェフ軍団でございます。
せめて引き分けに、とばかりにアシュリーお嬢様に懇願の視線を送ります。
けれども、お嬢様はドキリとした顔をした後、すっと顔を伏せ……そして、蚊の鳴くような声でおっしゃったのでした。
「ご……ごめん……。わ、私も……ハンバーガー……お、美味しかった……」
「……ふおおおおおおおおお!」
奇妙な声を上げて、がくりと膝をつくローマンさん。
……この方、いちいちリアクションが大きいなあ……。
「そんなっ……そんな、あんまりですぞっ! わしらは毎日毎日、ウィリアム様のために最高のものを出し続けてきたのに! こんな、物珍しいだけのものより下だとおっしゃるのですか!? ウィリアム様ぁああ!」
「……物珍しいだけ、だと?」
不満タラタラでそんなことを言うローマンさん。
ですが、それを聞いたおぼっちゃまは、聞き捨てならぬとばかりに眉をひそめ、こうおっしゃったのでした。
「ローマンよ。お主は間違っておる。余は、メイドたちの作るものを好いておるが、珍しいだけで勝たせるものか。……どれ、シャーリィよ。ローマンにも一つハンバーガーを出してやってくれ」
「あっ、は、はい! おぼっちゃま!」
慌てて、おぼっちゃまにお出ししたものと同じハンバーガーを手に取り、ローマンさんに差し出します。
するとローマンさんはそれを睨みつけ、ひったくるように受け取りました。
「ええい、なんだこんなもの……!」
恨みがましそうに言いながら、ハンバーガーにかぶりつくローマンさん。
ですが、何度か噛み締めた後、ピタリとその動きが止まり。
そして、彼は信じられないといった様子で呟いたのでございます。
「……なん、だこれは……。信じられんっ……信じられんぐらい……美味い!」




