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【書籍・漫画化しました!】異世界メイドの三ツ星グルメ ~現代ごはん作ったら王宮で大バズリしました~【旧題・美食おぼっちゃまの転生メイド】  作者: モリタ


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ランチタイム・ウォー4

「……ふん。まあ、美味しかったわ。しゃくだけど」


 中庭にアシュリーお嬢様の声が響き、私達メイド一同は勢いよく頭を下げました。


「ありがとうございます、お嬢様!」


 大豆を手に入れてから、数日後。

またやってきたアシュリーお嬢様に、おやつとしてプリンアラモードをお出ししたところ、無事お褒めの言葉をいただけたのでした。


 大きなお皿の上に、プリンとアイス、さらにプチパンケーキ。

そしてそれを飾るように、たくさんのフルーツとクリームが盛り付けられたプリンアラモードは、おぼっちゃまとお嬢様、双方にご満足いただけたようです。


「また、見事にお嬢様の舌を唸らせましたね。さすがです、シャーリィ」


 私の横に並んだ、アシュリーお嬢様のお付きであるミア様が、小声でそう言ってくださいます。

それに私は「ありがとうございます」と答え、ニッコリと微笑んだのでした。


 最初はアシュリーお嬢様の命令で対決した私達ですが、それ以降は方式が変わり、アシュリーお嬢様が私達の作ったものを認めてくれるかどうかというやり方に変わったのでした。


 なので、ミア様といがみ合う必要はもうどこにもなく。

こうして、お互い笑顔でやり取りできるようになったのでございます。


「しかし、相変わらず独創的で素敵なおやつだった。どこからああいう発想が出てくるのか、本当に不思議だ」

「う、うふふ。ありがとうございます」


 褒めてくださるミア様に、曖昧な笑みを返す私。

私の作るものはあくまで前世の知識に頼っているので、あまり大きく胸を張れません。


 それに、プリンアラモードはプリンを中心としたおやつですが、同時に周りを飾り立てるフルーツが重要な意味合いを持ちます。


 今回使用したフルーツは、メロンにりんごとぶどう、そしてさくらんぼ。

いずれもアガタの農園で取れたもので、今回も、ものすごく彼女に助けてもらったのでした。


 もちろんそのまま出したのではなく、砂糖漬けにしたり、飾り切りにしたりして色々工夫はしましたけどね。


 ちなみに、今回出したのは牛乳たっぷりのカスタードプリンです。

これがまた、おぼっちゃまの味覚にクリティカルヒットだったようで。

おぼっちゃまは、椅子にもたれかかったまま「プリン……プリン……」と呟きながら、余韻に浸ってらっしゃいます。


 私的にも、今回のカスタードプリンは大成功でした。

おぼっちゃまもプリンの虜になったようですし、当分、色んな種類のプリンをお出しすることになるでしょう。


 次は焼きプリンなんてどうかな、なんて考えていると。

そこで、アシュリーお嬢様がこちらを見て、にやにやと笑っているのに気づきました。


「……お嬢様、どうなさいましたか? なにか、不手際でもありましたでしょうか」


 と、恐る恐る尋ねてみると、お嬢様がふふんと可愛い鼻を鳴らしておっしゃいます。


「別に? ただ……楽しみだな、って思って」

「……?」


 意味はわかりませんが、なんだか不気味です。

またなにかを仕掛けてくるつもりでしょうか。


 まあ、でも今日のおやつはどうにか凌げたし。

次にお嬢様が王宮に来るのは、早くても半月以上先でしょう。

なら、しばらくは穏やかに過ごせるわね……なんて、気を抜いたのがよくなかったのでした。


 なにしろ……今日の騒動の本番は、これからだったのですから。


◆ ◆ ◆


「みんな、お疲れ様! 今日も無事お二方に満足していただけたわね、良い仕事だったわ!」


 と、メイドキッチンに戻り、一班のメイド頭であるクリスティーナお姉さまが言うと、皆様から歓声が上がりました。


「今日も美味しそうに食べてくれたねえ! おぼっちゃまもご機嫌で、いいおやつタイムだった!」

「うふふ、クリーム、気に入ってくださっていたわね。シャーリィに教わって、作り方を研究したかいがあったわ」


 なんて楽しそうに言い合うお姉さまたち。

そう、プリンアラモードは私が見本を作り、それを元に皆様で役割分担していただいて作り上げた一品でした。


 最初の一件以降、お嬢様が来た時はメイド全員で挑むのがお約束になっていて、今回もお姉さま方にすごくお世話になったのです。


「シャーリィ、今回も見事なおやつだったわ。あなた、本当に貫禄が出てきたわねぇ」


 とは、おっとりとした性格をした、三班のメイド頭エイヴリルお姉さまのお言葉。

下っ端である私に対してこのようにおっしゃってくださるのですから、本当に人の出来たお姉さまです。


 ありがとうございます、と頭を下げていると、他のお姉さまたちも私に微笑みかけてくださいました。


「今回のプリンとかいうおやつ、勉強させてもらったわ。あんな単純な材料でこんな味が出来るなんて考えもしなかった。料理って本当に奥が深いわ」

「ほんとだねえ。同じ材料はよく使ってるのに、こんな出し方があったなんてね。シャーリィ、あんたの発想力にはほんと脱帽だよ」


 そう褒めてくださるのはクリスティーナお姉さまと、二班のクラーラお姉さま。

メイドのトップ2であるお二人が口々に褒めてくださって、なんだか照れてしまいます。


 全てがハイクオリティな完璧主義者のクリスティーナお姉さまと、豪快で面倒見がいいクラーラお姉さま。

そして三班のエイヴリルお姉さまは繊細で気配りの行き届いた方で、それぞれがとても技術の高い菓子職人であり、そしてとても素敵なお姉さまたちなのです。


 今回も、あれこれ改善案を出しながら段取りをつけてくださって、大いに助かりました。

本当に、まだまだ学ぶことがいっぱいで、一緒にお菓子を作れる機会は私にとって貴重なものとなっています。


 ちなみに、四班のメイド頭であるジャクリーンはというと、盛り上がりには参加せず、とっとと自分のお菓子の研究に戻ってしまったようです。

相変わらず私のことは敵と思っているようで、目すら合わせてくれませんが、私に対する憎しみは、前よりは和らいだと思っています。


 今回も、プリンアラモードにつけた飴細工は、ジャクリーンがやってくれたのでした。

飴細工はアシュリーお嬢様のお気に入り。

ビジュアル面で、大いに助けとなってくれているのです。


 食とは、味だけにあらずなのです。

特に、女の子にとっては。


(さーて、じゃあ後は私がプリンを楽しむだけねっ)


 諸々の後片付けも終わり、いよいよ時間ができました。

試食で散々食べましたが、おやつタイムがうまくいった後に食べるのおやつは、格別なのです。


 クリームをたっぷりかけて、さくらんぼのシロップつけも乗せちゃって。

さあ、たっぷりプリンを楽しむぞ!と、ニコニコ笑顔で器とスプーンを手にとった、その瞬間。


 バン!と、突如としてメイドキッチンの扉が乱暴に開かれ、驚いた私はあやうくプリンを器から落としそうになってしまいました。


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