カチコミに行く犬
かなり好き勝手やって遊んでます。
キャラの増殖が抑えられません。
今回はずっとバトルやってる感じです。
白昼の空を黒煙が覆う。
燃え盛る炎、とある人獣の村が亜人たちに蹂躪されていた。
「ヒャッハー!殺せ!奪え!ハイエルフのお偉いさんは好きにしろとさ!」
オーク達を統率する斧を両手に持ったモヒカン頭のオーガが叫ぶ。オーク達は老若男女、構わず殺していく。
「この村のめぼしい女は『男爵』のとこに連れてったからな!後は掃除するだけだ!」
オーガとオークの目を盗み、逃げようと全力疾走する村人がいる。しかし、オーガはそれに気づく。
「ヘルハウンドを放て!」
オークはそのヘルハウンドの繋いでいた鎖を外す。
ヘルハウンドとはハイエルフ達が作った魔生物である。
強いて言えば、ドーベルマンのような姿であるがその姿はまさに名前の通り地獄から来たような、禍々しさがある。
獰猛であるが相応の魔力で制御すれば従順である。
ヘルハウンドに着けられた首輪がその魔力による制御装置だ。
放たれた二匹のヘルハウンドは瞬く間に逃げ出す村人に襲いかかる。
「うああああああああああああああああああ!!」
村人はヘルハウンドに貪り食われ、引き裂かれ、肉塊へと成り果てた。
「ヒャッハー!楽しいお仕事だぜ!」
オーガが機嫌良く高笑いをし、叫ぶ。
その時、二本の矢がヘルハウンドを貫く。
頭部に命中し、ヘルハウンドは活動を停止、即死だ。
「氷結の牙よ、我が眼前に立つ獲物に喰らいつけ!アイシクルファング!」
オルニスを駆る、月狼の民のような、狼型の銀髪の人獣の少女が先端に特殊な装飾がされた杖を構え、詠唱の後にその周囲に光の魔法陣が現れる。そして幾多の氷柱状の氷の刃がオーク達に飛びかかる。瞬く間にオーク二体は串刺しになり、倒れた。
「ってえやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
咆哮と共に爆走するオルニスに乗った大剣を構えた人獣が駆け抜けて行く。
黄色と黒の混ざった毛並み、そして耳と尻尾。虎のような柄である。獣化粧をして逞しい身体をした、勇ましい戦士だが、まだ少年のような面影のある戦士だ。
しかし、大剣を振り回し、一瞬にしてオークを二体、両断した。
「面白え!あれが『叛乱軍』か!」
オーガは迫りくる虎の戦士に向け、片方の斧を投げつける。
すると斧はオルニスに刺さり、転倒した。
その隙を逃さず、オークは襲いかかるが
虎の戦士は転がりながらもその勢いを利用し、即座に立ち上がり、体勢を立て直す。
即座に襲ってきた二体のオークの一体を斬り伏せ、もう一体は片腕で首をホールドするとそのままへし折った。
「ケダモンにしちゃやるじゃねえか!だがこの俺様にゃ勝てねぇ!この村の奴ら共々死ねぇ!」
オーガは予備の斧を取り出し、再びニ刀で斧を構えると
虎の戦士へ向かって行く。
「テメェはどけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
虎の戦士も雄叫びを挙げながら大剣を振りかぶり、オーガへと向かう。
「甘いぜ!」
オーガはそう言うと巨体から想像出来ない速度で斧で薙ぎ払った。
「!」
しかし、虎の戦士は避けるかのように、身体を横にした大勢で飛び上がっていた。
「バカめ!」
斧を避けるために回避した行動で体勢を崩してるかと思ったオーガは思わずそう呟く。
「おおおおおおおおお!!」
しかし、虎の戦士は錐揉み状に回転するとその勢いのまま大剣を振り下ろす。
「げえッ!?」
振り下ろされた大剣によりオーガは真っ二つになっていた。
「フゥゥゥゥゥ…」
虎の戦士は大剣を振り下ろした姿勢のまま深く呼吸をする。
「うぅ…」
すると、後ろから村人のうめき声が聞こえる。
「おい!大丈夫か?!しっかりしろ!」
虎の戦士が倒れた村人に駆け寄る。
「村が…亜人…達に………妻も…子も………かはっ!」
村人は無念の思いを口にして息絶えた。
「クソぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
虎の戦士は大剣を構え、振り回し叫ぶ。
「出て来やがれ亜人共ッ!!俺が全部駆逐してやるッ!!」
虎の戦士は憤り、かなり興奮してる様子だ。
その虎の戦士を尻目に、氷の魔法を放った少女は足元にある人形に気づく。
子供用の玩具の人形。これを持っていた幼子も犠牲になった事が伺える。
「…ッ!」
少女はその人形を拾うと、胸にそっと抱き寄せると、無念の思いがこみ上げた。
「亜人はッ!?亜人はっ?!」
虎の戦士は周囲を見渡しながら残りの亜人を探す。
「亜人はもうおらぬ!」
虎の戦士を叱責するように白い毛並みの狼型の人獣、弓を携えた中年の戦士が声をかける。
「ティグル、落ち着け。奴らに対する怒りは皆、同じだ」
「………」
ティグルと呼ばれた虎の戦士は憤りをぶつける様に大剣を振り下ろし、地面に突き刺した。
「残念ですがこの村は全滅です。偵察の報告を待ちましょう」
銀髪の少女は毅然とした態度で告げる。
「シルティア!俺は連中を追うぜ!一人でもな!」
だがティグルは冷徹とも取れるその態度が気に触ったのか、噛みつくように言い放った。
「話が観えんようだな?お前一人行ってどうになる?」
それに対し、中年の人獣は冷静にティグルに応じる。
「オッサンの理屈なんかどうでもいいんだよ!これを見て黙って放っておけるかよ!」
この惨状を見よ、と言わんばかりにティグルは破壊された村に視線を向ける。
壊され、燃やされた建物。無慈悲に惨殺された村人達。
彼らの中でこれを見て憤らない者はいない。
「ティグル、お前は強い。お前も家族を、民を奴らに殺された身だ。気持ちは解る…。だからこそ、我々にはお前が必要だ」
ティグルをなだめる様に、白い毛並みの中年の人獣は語りかける。
「報告します!」
その時、腕が翼になっている人獣、人鳥族のボーイッシュな女性が報告へと降り立った。
「攫われた人達はオークの砦に運ばれています。砦の主はオークの男爵、マローネです」
「『男爵』…その称号を得てるならそのオークは『上位種』の可能性が高いですね…」
人鳥の女性の報告を聞くと、シルティアは何か案ずるように考える。
「上位種だろうが何だろうが関係ねぇ。行って蹴散らすだけだ!」
ティグルは再び熱り立つ。
「落ち着け。良くない癖だ。相手はオークの上位種だ。そんじょそこらのオーガとは桁違いだ。みすみす殺されに行くつもりか?」
「だがよ!」
「ロッシュの言うりです。自分勝手に余計な事をして、仲間を窮地に追い込む者は必要ありません」
「っ!?このアマっ!」
気に触ったのか、ティグルはシルティアを睨みつけるが
「控えよティグル。シルティア様の仰る通りだ。下手に動けばお前の単独行動だったとしても何かしらの損害に繋がるやもしれんのだぞ?」
再びロッシュと呼ばれた白い毛並みの中年の男の人獣に諭される。
「………」
「ティグル、お前の命はもうお前だけのものでは無い。我々は同胞なのだ。仲間になったからにはそれを誓った筈だ」
「………」
ティグルはロッシュの言葉を聞き入れる。まだ少年らしさを残す戦士は血の気は多くとも、純粋で素直なのだろう。
「………誇り高く、強い戦闘民族、猛虎の民の力、頼りにしていますよ」
シルティアは微笑みかけ、ティグルにそう伝える。
「………報告」
音もなく、その言葉を囁くように告げ、シルティアの傍らに灰色の毛並みの狼型の人獣が現れる。顔の半分を布のマスクで覆い、その容姿はさながら『忍者』といった様子の出で立ちである。
「…ハイエルフ………部隊………二組………消息不明…」
「我々とは別に志を同じくする者がいるのか?」
片言の報告だが伝わるのか、ロッシュは詳細を尋ねる。
「…一組は『禁忌の森』………一組は『霊羊の里』の近く…」
「『禁忌の森』か、おっかねぇ………あそこに入って帰ってこれる奴なんていねぇよ…」
豪気なティグルも禁忌の森は恐れている様子だった。
そもそも『禁忌の森』は全ての人獣にとって『禁足地』なのである。
「『獣神』様の眠る地ですね…。『禁忌の森、蛮勇にて獣神の眠る地に足を踏み入れてはならない。獣神の眠りを妨げる者、その怒りによって滅される』…獣神様への畏敬、畏怖が込められた太古より伝わる伝誦…」
シルティアも伝わる謂れを語る。
「…詳細………書状にて…」
忍びの狼人獣は報告をまとめたであろう巻物をシルティアに渡す。
「アッシュ、ご苦労様でした」
そう告げるとシルティアは巻物を広げ、目を通す。
「やはり、周辺の攫われた方達はオークの砦に連れて行かれたようですね…」
「男爵ならこの周辺の主を気取っているという事か。侵攻の命令はハイエルフから出てるだろうがその過程で配下のオークが攫った者を貢ぎ物として差し出す訳か…」
ロッシュは自分の考察を述べる。
「繁殖と食用の為ですね。この男爵は『美食家』を気取っているとの事。若い女性を主に攫っているのは嗜好の偏向性…」
報告書の断片的な情報からシルティアも自分の考えを口にする。
「オーク砦、侮れぬ相手です。迂闊に手は出せません。先ずは斥候を出して戦力の調査が必要かと」
「………くっ!」
オーク砦攻略に消極的なロッシュにティグルはもどかしさに歯を食いしばる。
「オーク砦、配置されているのは、ほぼオークだけかと…。見張り様にヘルハウンドが数匹…」
報告に来た人鳥が口を開く。
「マローネ男爵は己の嗜好に散財してる様子です。砦としての戦力は高く無いかもしれません」
「シルティア様、いかがなさいますか?」
それを聞いたロッシュはシルティアに判断を委ねる。
「奇襲前提での偵察に行きましょう。ただし、敵わないと判断したら即時、撤退します」
シルティアはオーク砦攻略に前向きの判断をした。
「そうこなくちゃな…だがその前に…」
「そうだな…この村の者達を弔ってやらねばな…」
オーク砦。
ハイエルフの公国より男爵の爵位を授かったオーク、
マローネの居住にして配下のオーク達の拠点でもある砦。
至る場所にオークが配置されている。
その最奥、マローネの私室。そこには一際、丸々と肥え太ったオークが数名の若い、まだ少女といっていい程の半裸の人獣の娘達を数名侍らせ、専用の巨大な椅子に腰掛けている。
「マローネ様、今日のお菓子はいかがでございましょう?」
執事らしき、小柄でモノクルを付けたオークがご機嫌を伺う。
「ぷむ、流石はハイエルフの国から取り寄せたお菓子だね。おいちぃ」
巨体のオーク、マローネは人獣の一人の娘を片手で撫で回す様に抱きながら、もう片手で出された大量のお菓子を口に運び、貪り食う。
「でもかしこいポクチンはもっと美味しく食べる方法を思いついたのだ」
そういうとマローネは手にしている菓子を抱き抱えていた兎のような人獣の娘に咥えさせた。
「これを、こうやって、そして…」
その姿を眺めた後、マローネは
「むちゅ〜〜〜〜〜〜♡」
「むぐぅ!?」
マローネは菓子を咥えさせた人獣の娘に巨大な口で接吻するように吸い付いた。
「ちゅ〜〜〜ちゅ〜〜〜」
「………!」
もがく人獣の娘に構わず、マローネは吸い続け、やがてその唇は人獣の娘の顔を覆う。そしてマローネは人獣の娘の顔を舐め回した後、
「ぷふぅ〜〜〜おいちぃ」
と至福の表情で呟いた。
「うぇ…!げほっ!げほっ!………おぶぇッ!」
人獣の娘は嫌悪と身震いで激しく咳き込み、嘔吐する。
「ぷほぉ!もったいない!」
本来、口に入るものは何でも喰らう貪欲さを持つオーク。
この『上位種』と称され、『美食家』を自称するマローネ男爵もその同種である。
マローネは自分の体の上に人獣の娘が嘔吐したものをその巨大な下で舐めとる。
「おいちぃー」
マローネは何故かご機嫌のようである。
それを見た人獣の娘達は更に身震いし、嫌悪感が見て取れる。
「マローネ様、しかしながら其奴は粗相を致しましてございます」
「そうだったねぇ…」
執事のオークの言葉に反応すると、マローネは嘔吐した人獣の娘を見つめる。
「細くて可愛いけど粗相をするなら…」
マローネは人獣の娘を巨大な両手で掴む。
すると人獣の娘の身体中の骨が折れていくような、そんな音がする。
「ひぎぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
人獣の娘は苦痛と恐怖で悲鳴を上げる。
「いただきまぁぁぁぁぁず!」
そう言うとマローネの国は大きく開き、人獣の娘を頭からゆっくりと丸呑みにしていく。
それを見つめる他の人獣の娘達は恐怖に顔が歪む。
「いかがでございましたか?」
「肉はすくなめだし新鮮な子は美味しいねー。でも前の奴はダメだよ。肉が多いし年が行き過ぎてる。くれてやった雇ってる連中は喜んでるみたいだけどポクチンの美食家としての感覚では理解できないねぇ〜」
マローネは満足そうに答える。
「さて、食べたら運動しないとねぇ〜」
そして、マローネは視線を残りの人獣へと視線を向けると掴み寄せる。
「嫌ァァァァァァァァぁぁぁぁ!」
マローネは嬉しそうに半裸の人獣から少ない衣服を剥ぎ取る。
「君も可愛いねぇ〜〜〜〜〜」
そして、人獣の娘の裸体を舐め回し、その身体を抱き寄せると
「うへへへぇ〜〜〜うへへへぇ〜〜〜〜〜」
マローネは下品な声を上げながらその腰を動かす。
「あれがオークの砦…」
夕暮れ時、リキマル達はマローネ男爵のオークの砦の近くまで辿りついていた。
身を忍ばせながら、始めて見るオークの砦にルナは思わず呟く。
「月の王国の城や砦に比べれば随分小さいが…」
オークの砦。年期の入った城砦で所々傷んでいる。補修も不器用なオークでは雑なものだ。
「姫様、侮ってはなりませぬ。あくまでも砦、かつオークの拠点。不用意に踏み込めばたちまち返り討ちですぞ」
ルナのいた月狼の民の月の王国。大国という訳ではないが小国でも無い。
だが、人獣の間では知らぬ程はいないとされる国である。
狩りや訓練で度々国は出たことはあれど、自国以外の事はあまり知らないルナはオークの砦など見た事は無かったのである。
「大軍を持ってすれば制圧はできるでしょうが…規模はわりませぬが、叛乱軍でも簡単には行きますまい…」
ガルドは難しそうな顔をする。
「ならば、いかにしてメルの母親を助け出す?」
ルナが問うと
「そういう時のために俺がいんだよ」
ラトが名乗りを上げる。
「秘密の抜け穴みたいなのがあんだよ。そこから地下牢に入れる。まぁ、リキマルの大将はデカすぎるから無理だろうな…」
「………」
元々、犬にしてはかなりデカい方だったと自覚しているがこの世界でのリキマルもオーガに及ばずとも巨体である。
上背で優に2メートルは超えている。
「あのガキの母ちゃん見つけたらさっさと連れてヅラかるんだよ。何とか逃げ切れる。前回も命からがら逃げてきた」
ラトは己の逃げ足の速さを自慢する様だった。
「それで、前回は収獲はあったのか?」
ガルドが結果について問う。
「………いや…」
ラトはテンションを下げ、悔しそうに話す。
「相手が悪かったんだよ…。男爵ってのとは違うかもしれねぇがあの砦にゃオークの中でも手練の連中がいるぜ?」
ラトは少し警告するようにも言ってとれる。
「上位種は男爵だけではないやもしれぬな…下手をすればオーガよりも手強い…」
デミヒュームアライアンスでの扱いは低いといえど
オークは侮りがたい存在だ。
繁殖力が高く、数だけでなら他の亜人と比べても最も数も多い。
魔力こそ低いが耐性は高い。
知性も低く、力ではオーガ単体には及ばぬも集団戦が可能で手練れが徒党を組めば数体で単体のオーガを圧倒する。
貪欲で生物ならばあらゆるものを食べる。再生力も高い。
オークのメスは存在せず、亜人や人獣との多種交配にて数を増やす。産まれてくるのは必ずオークだが稀に他種の特性を持ったオークが生まれ、弱点を補ったり長所を伸ばす事がある。
そして、仲間を増やす本能が強いのか好色であり、
腹が減れば躊躇無く生殖行為を行った後でも相手を喰らうような悪食でもある。
「しかし、敵に背を向けるとは…」
「戦略的撤退も戦いのうちですぞ?姫様。それに、メルの母親救出が第一ですぞ」
少々納得のいかない様子のルナをガルドが説得する。
夜も更け、ガルド達は潜入の機会を待つ。
「リキマル殿は待機、必要であれば陽動をお願い致しますぞ」
「うむ、承知した」
リキマルは返事をするが、ふと気配が気になる方向を向く。
すると砦に向かう屋根付きの荷馬車が現れた。荷車を引くのはサイや牛を合わせたような巨体な生物。
「あれは村でも見たな。オーガが乗ってたっていう…。ウシか?サイか?」
リキマルの問いに
「ライロックだ」
ルナが答える。
「力は強いが脚は遅いが、興奮するとかなりの速さで突進してきますぞ。重い荷物用の運搬には使えますが餌の量が膨大ですな。肉はやや硬いですが食いごたえがあって栄養価も高い。オークやオーガは好んで使いますがそれもハイエルフの援助あっての事。気性も荒く、家畜としてはやや扱いにくく、月の王国では飼育しておりませんだな」
ガルドがざっくりと説明してくれた。
「ライロック…ウシともサイとも言えんな…」
リキマルは不思議そうにライロックを見つめる。
「ウシやサイが何かは存ぜぬが、ライロックはライロックとしか言えんな…それ以上でもそれ以下でもない」
ルナはそれ以上は説明しようが無いといった様子だ。
「しかし、あの荷車は何だ?何を積んでいる?」
そして、荷車が気になるようである。
「…男爵への貢物、人獣の女達だ…」
テムはそう説明する。
「オークは好色で悪食だ。弄んでから食う。ぞっとしねぇな…」
「なんだとぉ!?捨て置けぬ!」
ラトが話終えるとルナが憤り始める。
「姫様、お静かに!オーク共に気付かれてしまいますぞ!」
「今見つかると全部台無しだぜ姉御!落ち着け」
「ぐぬぅぅぅぅぅ…」
慌ててルナを制止するガルドとテム。
憤りが収まらぬもルナは留まる。
「あれは…どこの人獣だ?」
荷車からオークに指示されて人獣の娘達が降りてくる。
「あれは…まさか…いや、見間違いなぞせぬ…!」
「…姫様…」
荷車から降りて来たのはルナやガルドのような、狼のような耳と尻尾を持つ者の娘達。
「…間違いなく我が民!同胞!我が民に手出しはさせぬ!」
ルナはそう叫ぶと飛び出していった。
「ああ…姫様…」
ルナの行動に思わずガルドは頭のを抱える。
「姉御…やっちまったな…」
「………」
ラトも呆然とする。
リキマルはただ、静かにそれを見つめる。
「オーク共!我が民に手を出してタダで済むと思うな!その蛮行を悔いるがいい!」
「…姫様!?」
「姫様?!どうして此処へ?」
ルナの叫びに人獣の娘達が反応する。
「こいつは驚いた。まさか獲物が増えるとは…男爵の好みでは無さそうだから、オデ達で楽しめそうだ」
門の前にいたオーク達は流石に気づく。
そしてルナは矢をつがえる。
「風の精霊よ!地の精霊よ!我が怒りに応えよ!敵を滅する怒りの一撃を受けい!」
構えられた矢の先端に光の魔法陣が浮かび上がり、風が巻き起こる気流が発生する。
そして、矢は放たれ、突風を巻き起こしながら門前のオークに向って放たれる。
矢はオークに刺さると同時に爆ぜ、地面が抉れる程の爆風を巻き起こす。
オークの砦の木製の門の扉は一瞬にして吹き飛んだ。
直撃したオークは爆発四散し、周囲に肉片が飛び散っていた。
「汚ねぇ花火だな…」
リキマルは思わず呟いた。
「このアマァァァァァァ!」
荷馬車にいたオーク達がルナに襲いかかる。
「風の力よ、我が弓に敵を滅する力を…幾多の鏃を我が敵に浴びせかけん!」
ルナがそう唱えると魔力で構成された光の矢が現れ、ルナはそれをつがえる。
そしてその矢を放つと光の矢は無数の鏃に拡散し、オーク達を貫き、穴だらけにした。
オーク達は下半身だけとなり、倒れる。
「ナンダ!?」
「何がアッタ!?」
この騒ぎに砦からオークが出てきて、門のあった場所に集まって来る。
「何てことしてくれたんだ…これじゃ計画は失敗だ…」
ラトがそう嘆くとリキマルがオーク砦へと歩いて行く。
「ここは俺達に任せてお前らは行って来い」
「リキマル殿…」
その姿はガルドにも頼もしく見えたが
「この世界に来てからもう足りねぇ頭でずっと考えっぱなしなんだよ…。所詮犬なんだ俺は…。あまり高い知性を求める事をさせるな…」
と、リキマルは思わずそう呟く。
「大将?」
「とりあえずもう、知恵を捨てて暴れたい気分なんだ!いいからここは任せて行って来い!」
ラトもリキマルの様子が気になり、声をかけるも
いいから行って来い
といわんばかりの様子である。
「リキマル殿、感謝致す。姫様の事は頼みます!」
「おう!」
リキマルは振り返らずにそう応え、ガルドとラトは走り去っていく。
「ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
騒ぎに興奮したライロックが暴れ出す。
周囲に構わず暴れだし、数体のオークを跳ね飛ばし、暴走する。
そして、ライロックは人獣の娘達めがけて突進していく。
「しまった!」
それを見てルナが声を上げるがその時、
ライロックと娘達の間に降り立ち、割って入る者の姿が。
リキマルだ。
「オオオオオオオオ!!」
リキマルは突進してくるライロックの角を掴み、食い止めた。
(闘牛か…。暴れ牛とも戦わされた事もあるが、あの時とは別のやり方が出来そうだ)
ふと、ライロックを見て地下闘技場の頃の記憶がリキマルに蘇る。
しかし、構わずに角を掴んだリキマルはそのままライロックを振り回し、回転する。
そして、ハンマー投げの様にライロックを投げ飛ばした。
ライロックは砦の城壁に当たり、城壁が崩れる。
その際、オークを巻き込み、その一体がライロックの下で潰れている。
「ウォぉぉぉぉぉ!チェストぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
リキマルは雄叫びを上げた。
オーク達は驚き、すくみ上がる。
「リキマル殿…?その『チェスト』という叫びは?」
何故かリキマルの叫びに興味を持ったルナが尋ねる。
「『チェスト』に特に意味は無いが…『知恵を捨て』戦うっといったとこだったか…」
「なるほど。『チェスト』か。気に入った!私も知恵を捨て戦うぞ!」
オーク達は即座に体勢を立て直し、迫って来た。
「チェストーーーーーーー!」
そう叫びながらルナの放った矢がオークを貫く。
「さあ!死にたい奴から出て来いやぁ!」
リキマルはそう叫び、挑発し、威圧した。
「もうあの二人でこの砦、落とせるんじゃねぇか?」
「オークを甘く見てはいかん。お主もそれはわかるであろう?」
古びた地下水道を通りながら先導するラトの後ろをガルドがついていく。
「それにしても酷い臭いだ…」
ガルドが呟く。二人とも布で鼻と口を覆ってるがそれでも嗅覚の鋭いガルドにはきつい様子だ。
ガルドの足元から枝の折れるような音がする。
(これは…骨…?)
周囲を見ながら歩くといくつもの骨が転がっている。
どうやら人獣の骨らしい。
「!」
そして、その中にはまだ食いかけの、肉が残った状態。
それらが人獣の娘であることが解るものもあった。
「奴らの食いもんさ…。解るだろ…」
ラトは淡々と話し、歩みを進める。
「少年、死体は見慣れてるようだな…」
「…前に来たからな…」
「先を急ごう…」
二人は歩みを進めていく。
「ぐぉぉぉぉぉぉ…」
大きないびきが聞こえる。
地下道の見張りであろうオークが仰向けで居眠りをしている。
「マジかよ…前来た時は居なかったのに…」
「おそらく侵入者対策だろな。奴らは知性は高くないが間抜けという訳でも無い」
想定外に嘆くラト。それを冷静に考察するガルド。
「んがぁぁぁぁぁ…」
「しかし、運がいい。寝込みを仕留めれば楽に行けるぞ。
ああ見えて結構敏感に反応するから音は立てるなよ」
ガルドはそう言うと剣を抜き、眠るオークに忍び寄る。
それを息を潜めて見つめるラトだったがどこからともなく、
「……け………て……」
「?」
囁くように、弱々しい女性の声だ。
ラトは気になって振り向くと
「た…すけ…て…………」
「!!」
必死の形相でラトに助けを求める人獣の娘がいた。
そして、その腹は妊婦の様に、異様に膨らんでいる。
「だ、大丈夫か…?」
ラトは助けを求める娘に寄り添う。
「だずけ……うぎ…ぐ…ひィ…い、いや…やめてぇ…」
娘の膨らんだはらが蠢き、娘は苦しみ出す。
そして
「オ゛ォォォォォォォォォォォォォ!」
不気味な産声と共に娘の股の下からオークの幼体が這い出て来る。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ラトは思わず声を上げてしまった。
「ンゴ!?」
その声を聞いたオークは目覚める。
だが、ガルドはそのオークの顔面を両断し、瞬時に始末した。
「ひぃぃぃぃぃぃ!」
ラトは飛び出した幼体に驚き、腰を抜かす。そして身体を引きずりながら不気味なオークの幼体から距離を取ろうとする。
「ウボオ゛ア゛ァァァァァァァァァ!」
雌が存在しないオークは多種交配によって数を増やす。
このオークの幼体の苗床、孕み袋となった娘もまた、その一例だ。
ガルドは冷静にそのオークの幼体を踏み潰した。
「オークの幼体は始めてか?」
そう尋ねるガルドにラトは首を縦に振り頷く。
そのラトを尻目に、ガルドはオークの幼体を産み落とした人獣の娘の息や脈を確認する。
「ダメだな…何度か孕まされたな………」
オークの幼体は着床してから出てくるまでの期間が異様なまでに短い。そして、成体となる期間もだ。
度重なる妊娠と出産で孕み雌となる者は体力を奪われ、衰弱していく。何より精神的な苦痛が尋常ではない。
オークの孕み雌となり、逃げられない者はいずれ命を落とす。
オークは常に前線で戦うので早死にし、正確な寿命は不明であるが、醜い容姿ながら、エルフの一種とされる。
その為、生き長らえれば寿命もエルフと同等、千年以上と言われる。
「手遅れにならねばいいが……立てるか?」
メルの母親の身を案じてか、ガルドはそう言うとラトに手を差し出す。
「あ…ああ…」
ラトはガルドの手を取り、立ち上がる。
「犬!四方斬ッ!」
「べッ!」
「ばッ!」
「ぶッ!」
「ぼホぉ!」
リキマルの技名のような掛け声と共に四方にいたオーク達はそれぞれ四散し、倒れる。
「リキマル殿、それで全部か?」
ルナは周囲を警戒しながら尋ねる。
オークの砦はオークの残骸だらけになっていた。
「…いやまだだ…。新手が来る…」
リキマルはただならぬ気配を感じ取り、砦上部を睨みつけるように見た。
「あれだけの同胞連中を…やってくれる」
「久々に手応えのありそうな奴だ」
「女ダァ!オレ!アレ欲シイ!」
三体のオークがリキマル達を見る。
そして、飛び降り、目の前に現れた。
「ここ最近はついてるな。程よく熟れて肉付きのいい女も貰えたしな」
槍を持ったオークは槍を威嚇するように振り回す。右目の傷からも歴戦の勇士だと解る。
「女はお預けだ。今は目の前の獲物を楽しむぞ」
リーダーらしきオークが大剣を構える。癖のありそうな二体を統率している。
「オレ!アノ女ホシイ!オレダケノ女スル!」
一際巨大なオークが大斧を振り回し、構える。知性は低そうだが実力者と伺える。
「リキマル殿!」
ルナが駆け寄ろうとすると
「来るな!たぶんこいつら『上位種』だ!」
とリキマルが制止する。
「聞イテ驚ケ!」
「見て恐れい!」
「我らオーク三連衆!」
精鋭のオーク達がリキマルに向け、飛びかかる。
ガルド達は地下の牢屋に辿りついていた。
薄暗く、異臭漂う地下牢獄、
そこにはオークの慰み者、孕み袋にされたであろう人獣の女達がいた。
「先ずは霊羊の民の女だ。メルの母親を優先しろ」
気になるのか、ラトは牢屋に繋がれた人獣の女をつい見てしまう。何度も犯され、精気を失った目。何度もオークの幼体を産み落とし、力尽き山積みにされ、後は食料になるであろう骸。
その牢屋の中に、裸で横たわる、霊羊の民の女がいた。
「貴女は…メルの母親か?」
「!」
精根尽き果て、力無く横たわっていた霊羊の民の女はガルドの言葉に反応した。
「当たりだな…だいぶ弱ってはいるが生きている」
ガルドはメルの母親を確認すると牢屋の鉄格子の錠前を切り落とす。
「その程度なら解錠できるぜ…?」
オークの幼体に驚いた気恥ずかしさからか、テムは少し己の能力を披露したかったように言った。
「時間が惜しい。彼女を運べるか?」
ガルドはラトにそう尋ねながらメルの母親が繋がれている鎖を断ち切る。
「ああ…力仕事は得意じゃねぇけど背負ってやるくらいなら…」
ラトは自信なさげに言ったがガルドは
「ならば任せるぞ。リキマル殿や姫様が遅れを取るとは思えぬが…男爵は『上位種』だ。加勢に行く」
そう告げるとガルドは走り去っていった。
「………」
一児の母親といえど、目の前にいるのは裸の女性、テムは目のやり場に困った。
「待ってな…今、羽織るもん、持って来るから…」
そう告げるとラトは羽織れそうな物を探し始める。
(何か…何かねぇか…剣に斧に槍…俺には扱えそうに無いな…このナイフがいいところだ)
ラトは刃こぼれし、錆びたナイフを手に取る。
(何か布…羽織れるもの…あった!)
ラトは薄汚れた、ボロ布を見つけた。
これなら全身を覆うくらいの大きさはある。
布を持ってメルの母親のところへ戻ろうとしたその時だった。
牢屋へ繋がる扉が開き、オークが入ってきた。
オークにしては小柄だがモノクルを付け、一際知性の高そうなオークだ。
「ウヘヘヘ…、あれ程熟れた豊満な女、放ってはおけぬわぃ…」
オークは下品に舌舐めずりしながらメルの母親の元へと行く。
(ゲッ!あれはオーク!こんな時に!クソっ!)
ラトは即座に気配を殺し、隠れる。
「はぁ〜はぁ〜…。たまらんのぉ〜〜〜、男爵は痩せぎすばかり好みおるからのぉ〜〜〜…肉感的な雌はやはりいいのぉ〜〜〜」
執事のオークはそう言うと、メルの母親の身体を舐め回し、撫で回す。
そして、少し垂れ下がってはいるがメルの母親の豊満な乳房に手を伸ばす。
「…んっ…くっ………」
微かな声で、苦痛に悶えるような声を出す。
オークはさらに乳房を弄ぶように捏ねくり回す。
「声が小さい!もっと鳴け!」
オークはメルの尻を数回叩く。
「ひぎっ!」
メルの母親は痛みに声をあげた。
その光景を覗き込むラトは度々、メルの母親と目が合う。
(来ては…ダメ…)
首を小さく、ゆっくり横に振りながら
メルの母親はそんな眼差しで、声無き声でラトに訴えかける様子だった。
己の身が危険だと言うのに助けに来たラトを、震えるラトを案ずる様子からメルの母親の優しさが伺える。
(クソ!俺は!俺は何も出来ねぇのかよ!)
ラトは己の無力さを嘆く。しかし、脚が震え、腰が退ける。
相手は頭脳労働担当とはいえ、あくまでもオーク。
モルモットの様な人獣、体の小さく、力の弱いモルトの民では太刀打ち出来ない。
(考えろ!勇気を出せ!知恵を絞れ!おっさんに任されたんだ!)
メルの母親は今にも犯されそうだ。
(何の為に忍びこんだんだよ!俺は何の為に…!…?)
葛藤し続けるラトは何か思いついた様だ。
「ハァ…ハァ…、さぁて、そろそろワシのイチモツをくれてやろう!」
興奮し、高まったオークは己の股間に手を伸ばす。
その後ろから忍び寄る影。
「俺にだって…俺にだって!」
その姿を見て確信したメルの母親は再度、逃げるように身振り手振りや眼差しで訴えかける。
だがそれに反し、ラトは己を鼓舞する。
「ヤロウ………やってやるっ!」
怯えながらもそう小さく呟き、震える手でラトはナイフを構えた。
「弱々しくも嫌がる姿、たまらんのぅ!もう辛抱タマラン!」
オークがメルの母親に掴みかかった瞬間
「ぉどりゃあァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
叫び声と共にナイフを構えたラトが突進する。
「はぐぅんほっ!!?」
そして、ラトのナイフは丸出しだったオークの尻に深く刺さった。
「うヒィィィィィィィぃ!気持ち悪っ!」
ラトはオークの肛門から吹き出る血と、その感触の気持ち悪さに悲鳴を挙げるも、ナイフを掴んだ手は離さない。
「こ…この…!ガキぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
尻を刺されたオークはまさにオークらしい恐ろしい形相でラトに掴みかかろうとする。
「うぉらあァァァァァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そう叫ぶとラトはナイフを捻り、捏ねくり回し、オークの肛門を抉る。
「あひえ!うひ!あへは!」
ズブリブシャブリュブリズブ…
嫌な音がした。オークも奇妙なうめき声を上げ、踊っているかの様にもだえる。
「こんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
必死の形相と叫びでラトはナイフを捻り、抉る。
「あひぃ!ほひぃ!ほえぱ!へぽ!ぴほぉ!」
尻を抉られるオークは悶る。
「ぉわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ラトは悲鳴にも思える雄叫びをあげながらも、ひたすら容赦なくオークの肛門を掘り抉り続ける。
「ッンホッアーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
やがて肛門を抉られ続けたオークは断末魔を挙げながら前のめりに倒れる。
「………ハァ………ハァ………俺にはこんなやり方しか出来ねぇが………だが……成果としては…悪くねぇ…………と思いたい……」
尻を突き出した姿勢で前のめりに倒れたオークを見てラトはそう呟いた。
「…いくぞ……俺が背負って行ってやる。……心配すんな。アホみたいに強い連中と一緒だからよ…」
呼吸を整え、そう言うとラトはメルの母親に布を掛けると、背負い、牢屋を出る。
柔らかい感触。豊満なメルの母親の身体の感触がラトに伝わる。そして暖かい。ラトは重さよりも気恥ずかしさから顔を赤らめるも、淡々と任せられた事をこなす。
(まさか…メルの母ちゃん、こんな………こんなスゴイもんだと思わなかった…)
まだ少年らしさを残し、種族の差異からか、上背もメルの母親よりも低い。
しかし、その小さな身体からは頼もしさを感じる。
砦の奥、男爵の私室。
ぐったりと力無く、その巨体の上で寄りかかる様に倒れる裸の人獣の娘。
オークの男爵マローネはまるで一仕事終えたようにくつろぎ、菓子を貪る。
「お楽しみの所、突然失礼、男爵閣下」
皮肉めいた言い方でガルドが現れる。
「プフゥー!侵入者をここまで入らせるなんて!何をやってるんだ!役立たず共め!」
マローネは不機嫌そうに憤る。
「ポクチン直々に片付けてやる!でもその前に…」
するとマローネは身体の上で横たわる人獣の娘を掴む。
「運動前の腹ごしらえだー」
マローネは口を大きく開ける。
「ひぃ…!」
掴まれた人獣の娘は悲鳴を挙げる。
その時、マローネの人獣の娘を掴んでいた腕が斬り落とされる。ガルドの斬撃だ。
ガルドは娘を抱えるとその際にマローネの身体の数ヵ所に斬撃をいれ、飛び退く。
「い゛でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
マローネは痛みに悲鳴を挙げ、藻掻く。
「賊めっ!返せ!それはポクチンのだぞッ!」
奪われた人獣の娘を返せとマローネは憤る。
「解らんな…まだ未成熟でやせぎすではないか?」
煽り、挑発の意図があるのか、ガルドはマローネに妙な質問をする。
「女はな!それ以上肉がつくと身体に悪いんだよ!それに年をとってもな!」
マローネの嗜好がはっきりとした言葉だ。
「…解らんなぁ…生憎、拙者、ボインちゃん大好きおじさんでね。豊満な熟女ならなお良し」
意外なとこで皮肉混じりなガルドも嗜好をカミングアウトする。ちなみにルナやその母親に対しては忠義が勝るのでそんな考えは無い。
「ポクチンの素晴らしい考えが解らないバカめ!お前の様なバカは捻り潰してやる!」
マローネはそう憤ると己の腕を再生させ、斬られた傷も塞がっていく。
(この再生力…やはり『上位種』だな…。脳か心臓を潰すしか無い)
ガルドは抱えている娘を降ろすと剣を構える。
「各々嗜好はあれど…お主は同胞の為の義によって、成敗致す」
地下闘技場の記憶。
常に死と隣り合わせの戦いを強いられて来た。
精鋭のオーク三体と対峙して、リキマルは思い出す。
「あれ程の魔獣、一対一では最早、賭けにならない。そこで少々のハンデをつけさせて貰った。魔獣に挑むは勇敢な精鋭、ドーベルマン三匹!」
嫌と言う程聞いた主催者のアナウンス。
そして訓練されたドーベルマン、三匹との戦い。
見事な連携だった。
何度も死にかけたがドーベルマン三匹との戦いは記憶に強く残ってるものの一つだ。
己の意志を捨て、主の命令を忠実にこなす。
それが理不尽なものであっても。
辛くも勝利したが後味が悪い戦いだった。
しかし、あの三匹の連携は凄かった。
「きえぃ!」
「ドラァ!」
「おりゃあ!」
精鋭のオーク三体の攻撃を捌くも、仕留めきれないリキマル。
ルナも援護の矢をいるが、オーク達はそれを見事に弾き、躱す。あるいはあえて急所を外し、受ける。
このオーク達はリキマルにドーベルマン三匹との戦いを思い出させる。それぞれの意思はあれど、見事な連携だ。
それに、ずんぐりとした巨体なのに異様なまでに速い。
「ヤルナ…」
「見た事な生きモンだが、歴戦のオーガ以来の強者だ」
「あるいはそれ以上か…」
リキマルを仕留め損なうも即座にオーク達は立て直す。
「奴に『アレ』をやるぞ…オマエら…」
その声と共にオーク達の気配が変わる。
「ファット・ストーム・フォーメーション!」
「ファット・ストーム・フォーメーション!」
「ファット・ストーム・フォーメーション!」
精鋭のオーク達はそれぞれのポジションで武器を構え、同時に叫ぶ。
「アターーーック!」
その声と同時に一斉にリキマルに飛びかかった。
リキマルは先頭のリーダーの大剣の一撃を躱す。
だが即座に次のオークの槍の一撃が繰り出される。
リキマルは己のフィジカルを最大限にして躱すも、槍がリキマルの右頬をかすめる。
そして即座に三体目のオークの斧の一撃が来る。
これも何とか躱して直撃は避けるも、リキマルの胸には斧の斬撃の傷痕が現れる。
そして、反撃の暇も無く、オーク三体はリキマルから離れる。
「ほう、『ファット・ストーム・アタック』を受けて生き延びた奴は始めてだ…」
ずんぐりとしたオークの体型。しかしそれとは似つかぬ素早さで迫り、その巨体から繰り出される一撃。そしてその連携。まさに名前の通りの嵐の三位一体の必殺技だ。
「リキマル殿!」
たまらずルナが飛び出して来た。
「…かすり傷だ…」
深くは無いがリキマルは捌き切れず、攻撃を受け、傷を負う。
案ずるルナにリキマルは応える。
(こいつら…今までの奴らとは違う…一匹それぞれ、オーガってのを凌ぐ実力だ…)
流石にリキマルもこれまでの快勝から油断があったのか、気を引き締め直す。
「ルナ…砦の門を吹き飛ばした威力の技、まだ出せるか?」
リキマルはルナに聞く。
「できると思うが…撃つまでに時間がかかる…」
「解った…出来れば力を前方…貫くように集中してくれ。合図したら放ってくれ」
何か考えがあるのか、リキマルはそれをルナに伝える。
ルナは飛び退き、弓を構える。
「女ァ!女ァ!」
「俺は牢屋の熟れたのと楽しみたいねぇ。ガキを産んでるし、いい具合の孕み雌になるだろうよ」
「そう焦るな、先ずはあの獣頭を仕留めてからだ」
オークとしての性質はともかく、この三体のオークは勇猛な歴戦の戦士なのは間違い無い。
オーク三連衆は再び必殺の構えをする。
「奴にもう一度、ファット・ストーム・アタックだ!」
リーダーのオークが叫ぶと再びリキマルめがけ突進してくる。
それをリキマルは待ち構える。
するとリキマルは拳を振り上げ、振り降ろす。
「!」
異様な気配に気付いたオークのリーダーは軌道を変え、その拳を躱した。
地面が、抉れ、粉塵が巻き起こる。
「攻撃を受ける前に攻撃か…力押しだな…」
「だがファットストームアタックは正面だけでは無い。死角から狙うぞ!」
オーク達がそう言うと今度は変速的な動きでリキマルを撹乱しようとする。
「女から狙うぞ!命は取るな!」
「腕や脚は構わんな!?」
「強イ女、孕ミ雌イイ!」
そして、ルナ目掛けて突進する。
しかし、それを読んでいたのかリキマルがそれを遮る。
「終いだ!」
オークのリーダーがそう叫び、剣を薙ぎ払う。
だが、リキマルは飛び上がり、オークのリーダーを踏みつける。
「!?俺を踏み台にした?!」
そして、二列目にいる槍のオークめがけて
「犬キィーーーック!」
リキマルは『後ろ脚』で蹴りを放つ。
それを受けた槍のオークは上半身が四散する。
「今だ!ルナッ!」
「嵐の矢よ!穿てぇーーーーーッ!!」
詠唱の様な掛け声と共に放たれた矢は、竜巻のような旋風を巻き起こしながら先頭のオークのリーダーの頭、三列目の巨体の大斧のオークの胸を射抜き、更に砦にまで達すると砦を貫き飛んでいく。
「なんだぁ!何があった!?」
ガルドと戦っていた男爵も偶然にもその矢を受け、腹に大穴を空けられていた。
「手強い奴らだった…」
リキマルは呟く。敵ながら称賛しているようにも見えた。
「凄い戦士達だった…」
オークに対してはルナも思うとこはあれど、戦士として敬意を示した様子だ。
「フンッ!役立たずめ!」
マローネは腹の肉を再生させるとそう叫ぶ。
「砦を守る為に戦った戦士達だ。もっと敬意を示せ!」
「何だ!あの醜い女は!」
「目が腐ってるのか?姫様は国でも随一の美貌だ!」
そのマローネの言葉を聞いたガルドは逆鱗に触れたように怒りの感情を表す。
「あんな肉がつきまくった身体!不味いし身体に悪い!」
マローネはルナの豊満な身体が苦手の様子である。
「オマエが言うのか…」
リキマルはマローネに向かって呟く。
「…一際不細工なのが…まだ残ってやがる…」
マローネの姿に不快感を思わず口にする。
臭い、容姿、リキマルにとって不快極まりない相手だった。
「なんだ!?この獣頭の気持ちの悪い奴は!?」
リキマルの姿を見たマローネはまるで言い返す様だった。
「犬だ。お前よりはマシだ」
リキマルも淡々と返す。
「リキマル殿、お気をつけを!其奴が『上位種』にござる!」
ガルドはリキマルに警告するように言った。
「不細工は消えろー!」
マローネは憤るように叫ぶと今にも飛び掛からんとする勢いだ。
「それはオマエだろーーー!」
リキマルは即座に言い返すと前脚でマローネの腹めがけ、『前脚』の拳を放つ。
しかし、その拳はマローネの肉に包まれ、めり込んでいく。
「プフっー!ポクチンの肉で圧殺してやる!」
「ふぬぉ!」
リキマルは全身の力を込めて、マローネの肉から身体を引き抜き、飛び退く。
「ポクチンは無敵だ!再生もするんだぞぉ!」
マローネは挑発するように腹を叩くとその肉が波紋のように波打つ。
「ただの臭みの強い脂だろ。気味悪ぃ…」
リキマルはマローネに対する嫌悪感を再び露わにする。
「リキマル殿、侮られるな!『上位種』は脳か心臓を潰さねば再生を続けますぞ!」
「脳みそと心臓ね…」
ガルドの言葉にリキマルは呟くと前に出る。
「ポクチンは選ばれたこの身体でありとあらゆる攻撃を殺してきたんだよぉ〜!」
「ウオオオオォォォォォッ!」
リキマルの猛烈な連続攻撃がマローネの肉を押しのけていく。
「ムダムダムダムダムダムダムダァ!」
まるで効かないといった様子のマローネ。
「なんだ…?肉が…?」
ルナは異変に気づく。
マローネの肉がどんどん抉られるように押され、変形してゆく。
「これは……なんだ………馬鹿な……まさか………ポクチンの肉が………」
その様子にマローネは焦りを露にする。
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォ!」
前脚と後ろ脚を組み合わせたリキマルの怒涛の連続猛攻にマローネの肉は更に押し上げられていく。
「こんな…ケダモノモドキに……こんな…こんなもの…こんなものぉ!」
マローネも押し返そうと言わんばかりの様子だ。
そして最後にリキマルは渾身の一撃を繰り出す。
「犬!肉破斬っ!」
マローネの身体は大きく変形し、身体に大穴が空いた。
「ッばへぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
マローネは身体の穴という穴から血を吹き出し、悲鳴を挙げる。マローネの内臓や心臓は吹き飛んでいる。
「お前は単なる脂肪の塊だ」
リキマルはマローネを指差し、告げる。
「こんな……ボク…チ…は………上位種………」
その状況を認められないマローネは息も絶え絶えに己が上位種である事を主張するが
「あの三匹のオークの方が遥かに強かった」
と、リキマルは更に追い打ちをかけるように言い放った。
「犬山両斬破!」
リキマルはその掛け声と共に手刀をマローネの頭部目掛け振り降ろす。
マローネは頭部中央から凹むようにひしゃげ、潰れた。
「オークの上位種を力技で…やはり只者ではありませぬな…」
ガルドは改めてリキマルの力を目の当たりにする。
地下闘技場にいた頃、勝ち残る為に、生き残る為には運や機転を効かせた工夫も必要である。
それでもリキマルが勝ち続け、生き残れた理由の大半は
『魔獣』と称された
その強化されたフィジカル、生物としての純粋な膂力、俊敏性、反射神経といった能力であった。
この世界で生まれ変わった姿。
元の原型は感じさせるも、人に近づき、かつ、桁外れの力。
リキマルはまた、この世界でも『強き者』として生を受けた。
「うわぁ…もうなんかすげぇな…『オークジェノサイダー』ってこんなのだったのかな…?」
メルの母親を背負いながら、ラトは周囲に転がるオークの残骸にあ然とする。
「『オークジェノサイダー』?」
ルナはその言葉が気になった。
「エルフ達に伝わるいわば『伝説』ですな。その昔、オークを大量に駆逐した英雄の逸話です。オークの間では忌むべき相手、しかしながらハイエルフ、ダークエルフ、ウッドエルフの間では伝説の英雄とされてるとか」
ガルドはオークジェノサイダーについて簡単に説明する。
「俺達、人獣の間じゃあんま知られてねぇし、俺もよくは知らない。大昔のエルフ同士の争いさ」
ラトは存在は知っていてもあまり詳しく無いようだ。
「デミヒュームアライアンスの基盤となったという逸話もあるとか。故に大敗したオークは地位が低いとか」
ガルドも要点や逸話を聞いたといった感じである。
(エルフだの何だのも色々ややこしそうな事情がありそうな世界だな。アニメだのゲームだのでいたのはもっと解りやすくてややこしくても好感の持てる連中だったが…現実では敵対するとはな…)
リキマルは再び色々と考え込む。
あまり考え事はしたくないがとにかく色々と複雑な事情が絡む出来事に首を突っ込んでしまったようだ。
「ラト、その御人がメルの母親か?」
「ああ、そうみたいだ」
「気を失ってるな…随分弱っている。霊力は残り少ないが治癒術をかけてみよう」
ラトはメルの母親を降ろすと布を羽織らせたまま、仰向けに寝かせる。
ルナは詠唱を始め、メルの母親を治癒する。
そして、目立つ生傷がゆっくりと塞がり始める。
「他の女達は無理かな…?」
「あれだけのオーク相手の後だ。姫様にも休養が必要だ。…それに孕んでたとすれば、此処では打つ手が無い…」
ラトは他の女達の具合も気になる様子だ。
しかしガルドは神妙な様子だ。
「………」
「どうした?大将?」
何かを感じるのかある方向を見るリキマルを、ラトが気にかけたようだ。
「…いや、そういやもうすぐ夜明けかと思ってな」
「牢屋の女達を解放したら我々も休息が必要ですな。首尾よく上手く行ったといえど、砦を落としたのです」
「グゾォォォォォォ!あのガキめ……次に会ったら殺して……いや、犯して……掘ってやルゥぅぅぅ!」
牢屋にてラトに尻を刺された執事のオークが砦から脱出していた。オークとしての再生力で血は止まり、傷はなんとかマシになったがそれでも激痛と苦痛に耐えながら逃れようとしてた。
「ん?」
「!!」
だが突如、目の前に大剣を担いだ虎のような耳と尻尾の人獣の青年と鉢合わせする。
反乱軍のティグルだ。
ティグルは迷いなく剣を構え、薙ぎ払おうとする。
「待て!殺すな!聞くことがある!」
「チッ?!」
ロッシュの声でティグルは剣の軌道を変え、オークの脚を薙ぎ払う。
「ウギャァァァァァァァァァ!」
脚を斬り落とされ、地面に落ちたオークは暴れ、藻掻く。
ロッシュはオークに向って歩いてゆくと
「オーク砦の奴か?」
と問うが
「ギャァァァァァァ!」
と、オークはうめき声を挙げ、暴れるだけだ。
ロッシュはナイフをオークの目の前に指すと
「苦しみたく無ければ答えろ。オーク砦で何があった?」
冷たいロッシュの声にオークはうめき声を止める。
「戦って殺す…結局、この世界でも俺の役割はそうなのだな…」
オーク砦での戦いはリキマルの地下闘技場での生活を思い出させるものだった。
地下闘技場での暮らしは生きてきた時の中でも三分の一にも満たない。
飼い主、光達との幸せな思いでの方が多い筈なのに
戦いの記憶が脳裏について離れない。
「リキマル殿…?どうした?」
ルナが心配そうにリキマルに声を掛ける。
「ルナか…少し考え事をしていた…」
リキマルはルナの方を向き、言葉を返す。
「あまり深く考えすぎるのは良くないぞ?言っておったではないか?」
「そうだな、だがお前はもうちょっと考えて行動した方がいい」
「そうは言ってもな…既に身体が動いておるのだ…」
ルナは少しムッとした表情だ。きっとガルドにも小言を言われたのであろう。
「俺は…俺のこの戦いには意味があると思うか?」
「?」
(やべ!思わず変な事を聞いた!)
「よくは解らぬが…私は意味のある戦いだと思ってるぞ!」
「メルの母親を助けれたではないか!捕まった女達もな!
虐げられる弱き者を助け、強者を気取る乱暴者を挫く!
戦士としての本懐では無いか!」
「戦士…戦士か…」
「私はリキマル殿は獣神が遣わした勇者だと思ってる。もしかするとリキマル殿自身が獣神やもしれぬとも」
「そんな大層なもんじゃねぇ。俺は只の犬だ」
「そのイッヌとはいかなるものか解らぬなぁ。クーシーのようなものだと聞いたが…」
「人間の…相棒や家族みたいな存在にもなるらしい…」
「ニンゲンか…それもよくわからぬのだが…」
「全部しっかり説明できる頭と言葉を俺は持たん…所詮『犬』だからな…」
「リキマル殿、あまり己を低く観るような事を言うな!そなたは立派な戦士なのだから!出会ってから私達を含め、多くの者を救ったのだから!」
「そうか…あんがとな…」
リキマルにはルナの笑顔が眩しく見えた。そして照れくさそうに礼を述べる。
「……!何奴!?」
ルナは砦の門の跡周辺に気配を感じる。
「種族こそ違えど我らと同じ人獣…」
そこには大剣を担ぐ、虎の耳と尻尾の毛並みの青年が立っていた。そして青年はこちらへ物凄い勢いで走ってる。そして
「消死ねぇ!バケモンがぁ!」
と、叫ぶとリキマル目掛け大剣を振り下ろす。
リキマルは即座にその剣を弾き返す。
「いきなり何だ!テメェは!」
リキマルはいきなり斬りかかってきた青年に問う。
「バケモンでも言葉を話すのかよ!最近のハイエルフの『魔生物』ってのはよく出来てんなっ!」
弾かれるも飛び退き、即座に体勢を立て直し、そう言い放つと虎の人獣、ティグルは大剣を構え直す。
「テメェのご主人様、亜人共が内輪揉めしてるようだが知ったこっちゃねぇ!こっちはひたすらぶった斬るまでよ!」
何か勘違いしてるのか、それとも誤った情報が伝わってるのか、状況とは全く関係無さそうな言葉にリキマルもルナもあ然とする。
「何を言っている?全く訳が解らんぞ!?」
突然の出来事にルナは動揺しながらも、ティグルに抗議する。
「人質のつもりか?それとも忌々しい魔法での洗脳か?女まで使いやがって!」
全く話が通用しない様子だ。最早、対話の術はない。
「そこの気味悪いバケモン!冥土の土産に教えてやる!俺は最強の人獣、猛虎の民の王の末裔にして最強の戦士、ティグルだ!お前の首、首級にしてやんよ!」
リキマルの前に現れた謎の戦士。
出会い頭に問答無用で戦闘になってしまった。
この先、何が待ち受けるのか………?
次回はバトル少なめを予定です。
休息やインターバル回的な。