第8話
20分ほど休んで体も動くようになりました。
魔力が枯渇することで気分も悪くなるとはおもっていませんでした。
辺りは徐々に暗くなっています。
あの町に入りたかったのですが、難しそうですね。
暗くなれば警戒心も増すでしょうから、明日にしましょう。
さて、そうなれば寝床を作るところから始めなければ。
少し離れたところに草むらがあります。
草をむしり取って、綺麗にします。
今、魔法を使えばまた動けなくなるので、食べ物を探すことにしましょう。
辺りを探しましたが、なかなか見当たりませんね。
大きな獲物はいない…。
ヤマミツネの周りに何かいますね。
忍び足で近くまで行きます。
【 名 前 】 リトルロックバード
【 年 齢 】 10
【 職 業 】 鳥種
【 レベル 】 10
【 体 力 】 300/300
【 魔 力 】 50/50
【 攻撃力 】 200
【 防御力 】 100
【 俊敏性 】 200
【 スキル 】 なし
【固有スキル】 なし
【 加 護 】 なし
【 称 号 】 なし
【注釈】食用可
リトルと言っていますが、結構大きいです。
私と同じくらいの大きさはあります。
そのリトルロックバードが3体。
充分です。
すぐさま全速力で狩りに行きます。
リトルロックバードたちは慌てて穴から出ようとしましたが、穴は狭いため一気に出ようとすると反対に出ることができなくなります。
先に出ようとしたリトルロックバードを体当たりで穴に突き落とします。
他の2体もその突き落としたリトルロックバードに当たり、羽がおかしな方向へ向いています。
やはり、幼体ということで体が頑丈ではないのでしょう。
私は首筋に牙をあてて倒しました。
割とすぐに噛んだため痛みはなかったはずです。
穴から出すのはどうしたらいいでしょうか。
早くしなければまた魔物が寄ってきます。
風魔法で…魔法を使えないのでした。
咥えて登るしかありませんね。
ガブ、ふぬ。
レベルが上がったとしても顎だけが強くなっているわけではないので、結構重いです。
10分ほどかかり、ようやく家の近くまで持ってくることができました。
さて、ここから肉に切り分けるですが、羽のところは切って捨てましょう。
あまり大きな肉も取れないでしょうし。
少しずつ風魔法を使いながら肉に切り分けていきます。
どうしても毛が生えている動物は面倒ですね。
皮をはぐのが難しいのです。
蛇はこうするっと行きましたので、割と楽でした。
毛の生えている魔物は毛と皮の間に隙間があるので肉も少なくなってしまいます。
でも、肉の味は毛の生えている魔物が良いのです。
肉の味が濃く美味しく感じます。
諦めて剥いでいきましょう。
3体分まとめて剥いで良かったです。
思ったよりも量が少なかったので。
徐々に焼いていきましょう。
少し肉が柔らかいのですが、大丈夫でしょう。
今は魔法を使うのがしんどいです。
でも、美味しい肉を食べるためです。
頑張りましょう。
近くの木を切り倒します。
あんまり大きくても昨日みたいに長く燃えてしまいますので、短く4つに切ります。
木を下にして、上に石を置きます。
こうすれば石が温められるはずです。
では、火を起こします。
調節が難しいですが、木に火がつくまで続けます。
ようやく火が付きました。
長かったです。
木が燃えるまでに肉を乗せていきます。
アツ、アツ。
肉を先に乗せておくべきでした。
今度からは気をつけます。
全ての肉を乗せましたが、思ったよりも肉が焼けませんね。
焼けるまでは番をしなくてはなりません。
寝て体を休めたいのですが、そうもいきません。
肉が焼けるまで番をします。
ヒロシ殿やタカシ殿は元気でしょうか。
もう会えないというのは寂しいものですね。
それこそ、死に対して人間が悼んでいるのはそういうことなのでしょうね。
この世界の魔物にも寿命があるようですが、なんとなく人間よりも長い気がします。
進化があるくらいですからね。
よほど年を取らなければ死ぬこともないでしょう。
私も考えなくてよくなったかもしれません。
とは言っても恒久の時を生きるというのはつまらないのですか。
今でさえ、割と暇ですからね。
おっ、ようやく肉が焼けてきましたね。
良い匂いです。
少し休んだので石を動かすくらいには回復しています。
ゆっくりとこちらに石を運んでいきます。
さて、ご飯です。
いただきます。
アツ、アツ。
やっぱり肉は焼いた方が美味しいですね。
バクバク。
思ったほどの量はありませんでした。
でも、昨日と同じくらいの量だったと思いますが。
不思議です。
もう寝ましょう。
魔力もかなり低くなっていますしね。
若干薄暗いですが、起きる時間です。
元の世界の習慣は継続していますね。
どうしてもこの時間に目が覚めてしまいます。
ものすごく疲れている時は別ですが。
今日は街に行きましょう。
しかし、まだ寝ているでしょうね。
あまり早い時間に行くのもよくありません。
獲物を探しますか。
そういえば、ヤマミツネはどうなりましたかね。
行ってみましょう。
…、穴を見てもありません。
食用不可だったはずです。
どのような魔物が食べたのでしょうか。
あまり深く考えないようにしましょう。
どこかに私を狙っている魔物がいるのではないかと不安になります。
今回はどこに魔物を取りに行きましょうか。
街へ訪問するためあまり遠くまで行くのは良くありません。
川の側に行くのもよいかもしれませんが、毛が濡れるのが好きではありません。
他の方法にしましょう。
森などもありませんので地道に探すしかありません。
とりあえず、走りながら見つけましょう。
5分、10分と走りましたが、魔物はいませんね。
ヤマミツネがいなくなったのでもう少し魔物が出るかと思っていましたが。
…、少し大きな集団がこっちへ来ます。
5匹程度でしょうか。
黒い犬です。
【 名 前 】 サーベルドック
【 年 齢 】 10
【 職 業 】 犬種
【 レベル 】 20
【 体 力 】 1000/1000
【 魔 力 】 100/100
【 攻撃力 】 250
【 防御力 】 100
【 俊敏性 】 400
【 スキル 】 身体強化LV2
【固有スキル】 なし
【 加 護 】 なし
【 称 号 】 なし
【注釈】食用可
食べることができますね。
今日は昨日みたいに魔力が不足していません。
元気です。
どうやら、サーベルドックは私を警戒しています。
どうしてでしょうか。
多少強くなりましたが、そこまでステータスに変わりはないはずです。
私が前に出ると彼らは少し下がってしまいます。
これでは埒があきません。
即座に動いて1匹に狙いを定めます。
首筋に嚙みつきましたが、他のサーベルドックは驚いているようです。
私の動きが見えなかったのでしょうか。
他の4匹は同じ方向へ逃げていきます。
すでに噛みついたサーベルドックは死んでいるため、その場に置いて4匹を追います。
正直に言えば、あまり足が速くありません。
私でも充分に追いつくことができます。
4匹もすぐに捕まえました。
しかし、彼らには身体強化があったはずです。
どうして使わなかったのでしょうか。
不思議です。
今回はうまく皮をはぐことができました。
火で石を焼きながら肉が焼けるのを待ちます。
肉の塊が大きかったせいか少し焼くのに時間がかかりました。
この際にいろいろな焼き方を試しましたが、私は片面を焼くくらいが一番美味しいです。
あんまり焼いてしまうと肉が硬くなってしまいます。
手際が良くなると随分と楽ができます。
この調子で頑張っていきましょう。
では、いただきま…。
ガキッ、痛ッ。
歯と歯が直接ぶつかってしまいました。
どうしてでしょうか。
上を見ると遠くに鳥が見えます。
あの鳥が何かを食べていますから、きっとこの肉を取ったに違いありません。
かなり腹が立ちますね。
次は上にも警戒しましょう。