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第35話

どれほど逃げていたでしょうか。

すでに森林ではなくなっています。

まるで山を焼いたみたいにあらゆるところが焼けています。

木もだいぶ長い間焼けていますね。

体が強くなったせいか、その焼け場所に居てもそこまで熱くありません。

レッドドラゴンの周りはすでに平野になっています。

あの炎魔法を空中に出現させていましたからね。

熱で焼けてしまいます。

カルロは大丈夫だったでしょうか。

あまり遠くまで逃げるのも難しいですから、近くをぐるぐる回っていました。


レッドドラゴンを見ながら何の魔法で戦うか考えています。

普通の魔法では逃げられるということであれば大きな魔法、もしくは広範囲の魔法ならば効くかもしれません。

彼女から大きな範囲魔法を使う場合には注意するようにと言われています。

発動させたら最後ですからね。

魔法が完成するまで魔力を持っていかれます。

ステータス上、0になった場合死に至ります。

魔法は本来怖いものであったというのは死に至るところから来ています。

人間にはその死を利用した魔法があると聞いていますが、詳しくは知らないそうです。


私は魔法を発動させます。

今が絶好の機会ではありませんが、このままではおそらく負けます。

私の体が炎に焼かれるでしょう。

魔法の消費量を気にしなければレッドドラゴンは私を殺せているはずです。

地面から水が出てきます。

それも雨にも満たないような微量な水です。

あらゆるところから出てきます。

もちろん、レッドドラゴンの周りには出ていません。

レッドドラゴンは気づいていないようです。

破壊光線の準備をしていますからね。

しかし、魔力がどんどん出ていきます。

大丈夫のはずですが、不安になります。

レッドドラゴンの口が開いたときに私は全力で避けました。

…、ぎりぎりですね。

体の半分が熱いです。

見ると皮膚が焼けています。

熱で焼けたのでしょう。

その間にも魔力が消費されて行きます。

周りは霧のようになっていますね。

熱い体にはちょうどいい温度です。

レッドドラゴンへ全ての水を向けました。

霧ほどに小さいものでも集まればレッドドラゴンを包むほどの水になります。

霧が晴れたころ、レッドドラゴンは水の玉の中でもがいています。

少ししてレッドドラゴンは魔法を準備しているようです。

あの中で魔法を使われては水が爆発します。


レッドドラゴンの頭上に巨大な雲が出現します。

あれはカルロですね。

それにしても大きな雲です。

その雲がレッドドラゴンへ向かっていきます。

レッドドラゴンもこれには驚いたようで逃げるようにしますが、水が纏わりついているため動きが遅くなります。

ちなみにレッドドラゴンが動くたびに水の玉がレッドドラゴンについていくので魔力を消費しています。

辺りが一瞬、光に包まれ轟音が響きます。

次の瞬間に大爆発が起きました。




『…おいおい。』


目の前にはカルロがいます。

私が起き上がると辺りは少し暗くなっていました。

周りの木々は全てなくなっており地面が露出しています。

おそらくレッドドラゴンが爆発した中心と思われる場所は20メートル以上の穴が出ています。

その中心から円状に地面が露出しています。

おおよそ30メートルほど。

木々が倒れている場所まで含めると100メートルくらいの範囲まで及びます。

随分と巨大な爆発です。

私もよく生きてましたね。

…、ん、もしかして結界が。


『とりあえず、肉と鱗や牙を入れてくれ。』


そう言って強引に私を連れていきます。

穴の中心には巨大な肉と鱗、そして牙があります。


『この大きさだからな。

全てが大きいから移動させようにも無理があった。

今のところ魔物も来ていないが、ダンジョンだ。

俺たちがいかに強かろうとレッドドラゴンを倒した今は襲ってくる可能性がある。』


確かに中途半端な魔物を当てるよりも効果があるとは思う。

しかし、このレッドドラゴンを倒したのであれば他の魔物がいるということだろうか。

ダンジョンの管理者もそんなに無駄なことをするのだろうか。


『そうですか。

ともかく倒せてよかったです。

あれで倒せなかったらかなり厳しいと思っていましたから。』

『すごかったな。

あのような水魔法があるなんて思いつきもしなかった。

ただ、昔の俺達じゃできなかっただろうな。』

『そうですね。

彼女から範囲魔法の話を聞いていましたから。

天候のようなことも魔法でできると言っていました。

今回は水ということで霧を再現しました。

しかし、もう完全にバテバテですね。

魔力も枯渇していますし。』

『今回はセーフエリアがあるからな。

ゆっくり休めよ。

でも、セーフエリアまでは何とか行ってくれよ。

倍化すれば持てなくはないが、それでも体の大きなは同じくらいだから。』

『ええ、そこまでは持つと思いますよ。』


とはいえかなりしんどいですね。

体が完全に固まっているような痛みがあります。

少し動いてもかなりの衝撃が来ます。

幸いにして骨は折れていないようです。

内臓も少し痛めています。

歩くことしかできないのはしんどいですね。


『それにしてもこのダンジョンは特殊だったな。』

『まあ、カルロが言うのでなんとなくわかります。』

『いや、そうではなくてな。

あそこまでたくさんのボスがいるのに強さがばらばらということだ。

普通のダンジョンならば階が下がっていくごとに強くなるのが普通だけどな。』

『このダンジョンでは奥に進めば進むほど強かったのでは?』

『もし、そうであればこのダンジョンに来た時、マウンテンソルジャーアントだけではなく他の魔物も出ておかしくなかった。

他の雑魚はマウンテンスタグくらい。

他はボスに近いくらいに強い。

もっと多くの魔物がでたはずだが。』


 その話を聞くとこのダンジョンはダンジョンに見えてダンジョンではないということになります。

しかし、魔物の体が消える以上はダンジョンでしょう。

普通はそのまま死体が残りますから。

特殊なダンジョンであることは確かなんでしょうけど。


『しかし、ようやく終わりましたね。』

『ああ、ようやくな。』


 私たちはそのまま無言でセーフエリアに戻りました。


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