表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/37

第31話

私とカルロは歩きながら進んでいきます。

先ほどの火山の噴火が頭に残っています。

私は見ることができていませんでしたけど。

ただ、何かが起こっているのは分かりますからね。

カルロも若干緊張しながら進んでいます。

流石に会話もありません。

どうしても緊張してしまいます。

ワイバーンの件もありますからね。

しょうがないのです。


再度遠くで爆発が起きています。


『…、あの爆発を聞くにコントロールできているな。』

『そうですね。』

『どんな魔物か分からないが、無理だと思ったらすぐに逃げよう。

セーフエリアを探して拠点を作ってレベル上げをもう一度行う。

簡単にはいかんだろうが、それしかないだろう。』


 カルロが言っている通りです。

私たちが簡単に勝てる相手ではありません。

善戦がいいところです。

善戦では負けていますからね。

慎重に行くべきです。




私たちは3日ほど歩きました。

今回も魔物がほとんど出ていません。

肉の備蓄はありますが少し心もとないのが現状です。

魔物が出てこないことはどうしようもありません。


『結構歩いたな。』

『ええ。

ただ、景色もあまり変わりませんし、目的のボスに近づいているかもわかりません。』

『確かにな。

ただ、あの火山の場所には近づいている。

何かわかるはずだ。』


歩いていると私の2倍ほどありそうな大きな岩があります。

周りにある石とは違って黒い石です。


『これは火山からの石だな。』

『分かるのですか?』

『一回、ダンジョンで火山のフロアがあったんだ。

その時にこのような石を腐るほど見たからな。

間違いない。

ただ、ここまで大きな岩は見たことがない。

ここのダンジョンは横に広いからな。

大きな火山なのだろう。』


そうなのですかね。

他のダンジョンに入ったこともありませんから分かりません。

ただ、このダンジョンが少し不思議であるというのはカルロの様子からも分かります。

他のダンジョンと比べてみたいものです。

所々木が焼けている、もしくは倒れている場所もあります。

火山の爆発の影響ですね。

あのような大きな岩が降ってきては焼けますし、直撃すれば木も倒れるでしょう。


『…、この先に何かいるな。』

『何かの気配は感じましたが、魔物ですか?』

『魔物だろうな。

ただ、魔物にしてはすごく気配が小さい。

死んでいるような感じはしないのだが。』


 私にはそのような気配すら感じることができません。

鑑定では魔物をしっかりと認識できていないといけないため、魔物を私の肉眼で見る必要があります。

例えば速すぎる魔物などは私が魔物を肉眼で見ることができないため鑑定できません。


『そうか、少し意外だがな。

ショウスイの方が気配には敏感だと思っていたがそうでもなかったのか。』


 カルロは前に歩いていきます。

続いて歩いていきますが、少し様子がおかしいのです。

周りの風景が徐々に変わっていくのが分かります。

なんか頭の中に靄があるような感じです。

カルロの姿はいつの間にか見えなくなっています。

少し先に誰かがいるので走っているとヒロシ殿がいました。

彼は少し考えているようです。

そこに倒れているのはタカシ殿です。

どうしてヒロシ殿がタカシ殿に何かをしようとしているのでしょう。

親とは思えないほどの気色悪い笑みを浮かべています。


「お、ショウスイか帰ってきたのだな。」

『はい。帰ってきました。

ヒロシ殿、何をやっているのです。

タカシ殿が倒れていますよ。

早く治してあげないと。』

「治す?

ショウスイ、何を言っているのだ?

こいつは今、私が殺したのだぞ。

すでに死体になっている。

今からどうこうできるわけもないだろう。」


よく見てみるとタカシ殿の腹には刃物が刺さっています。

脇腹からかなりの出血があり、到底助かるようには見えません。

しかし、どうしてヒロシ殿がこんなことを。

あり得ないのです。

そもそもあんなに愛していたはずのヒロシ殿がこんなことをやるわけがありません。


「知られたなら仕方ないな。

お前も殺すとしよう。

ショウスイは殺す気がなかったのだが、すまんな。」


咄嗟にヒロシ殿の刃物を避けます。


「おいおい避けるなよ。

苦しみが増えていくだけだぞ。」


ヒロシ殿の刃物を体当たりで落とさせました。

ヒロシ殿はその勢いで後ろの壁にぶつかります。

その間にタカシ殿の息を確認します。

確かに息をしていません。

しかし、そもそも命を感じません。

ヒロシ殿も同じです。

物質はあっても中身がない感じがします。


「いってーな。

何してくれてんだ?

もういいぜ。」


『起きろ起きろ。』


カルロの声が聞こえますね。

何かの衝撃でヒロシ殿の姿が消えました。

目の前には森が広がっています。


『よかった。起きたか。』


 私は周りを見渡します。

タカシ殿、ヒロシ殿の姿は見えません。

一体何だったのでしょうか。


『大丈夫か?』

『ええ、一体何が?』


 カルロは地面に腰を下ろします。

かなり疲弊しているようですね。


『変な魔物がいたんだ。

もう倒したけどな。』


 そういえば少し先に魔物が倒れています。


 【 名 前 】 マウンテンバグ

 【 年 齢 】 50

 【 職 業 】 幻獣種

 【 レベル 】 100

 【 体 力 】 1000/1000

 【 魔 力 】 1000/1000

 【 攻撃力 】 500

 【 防御力 】 500

 【 俊敏性 】 500

 【 スキル 】 幻覚LV7

 【固有スキル】 なし

 【 加 護 】 なし

 【 称 号 】 なし


 珍しい幻獣種。

幻覚の範囲攻撃を行い1体に幻覚をかける。

一度幻覚にかかったことがある者以外は抜け出すことができない。

ただ、マウンテンバグを倒してしまえばある程度の時間で幻覚は収まる。


【注釈】食用不可


鑑定してみると変わった記述があります。

ただ、少し鑑定が詳しくなっているような気がしますね。

それは置いて。

幻覚ですか。

今までのスキルで聞いたことがありません。

おそらく魔法の一種でしょうが、変わった魔法でしょう。

単純な魔法ではなく系統を組み合わせていると思われます。


『鑑定したか?

なんて出ていた?』

『スキルに幻覚と書いてあります。』

『幻覚か、今までに聞いたことがないスキルだな。』

『えっと、私はどんな感じだったのですか?』

『それがな。

最初は少し震えているだけだったんだ。

どうしても新しいところや雰囲気によっては魔物でも体調を崩すことがある。

だからショウスイもその一種と思っていたんだ。

だから別に俺はそのまま進んだ。

魔物は目の前にしかいなかったし。

その直後にショウスイがいきなり暴れまわった。

そして、目の前にいる魔物が何かをしている雰囲気があったから倒した。

その後でショウスイがいきなり体当たりをしてな。

全力だったからか向こうの木に当たった。

流石に倍化を使っていなかったから俺もだいぶ傷ついた。

レベルが上がっていてよかったよ。

もしかしたら死んでいたかもしれないからな。』


 カルロは割と死にかけることが多いですね。

すでに何回か死にかけています。

しかし、カルロには申し訳ないことをしました。

たとえ間違えていたとしても許されることではありません。


『カルロ、申し訳ありません。

油断していたようです。』

『いや、油断はしてないだろ。

今回の魔物が特殊であっただけだ。

仕方ない。

何も大怪我をしているわけではない。

少し内臓を痛めているかもというくらいだ。

少し休めば治る。』


 しかし、内臓を痛めているのであればあんまり動くのは体に良くないでしょう。

周りを見渡すとマウンテンバグのアイテムがあります。

…、1つ不明なアイテムがありますね。

鑑定して見ましょうか。


 【 名 前 】 解幻のペンダント

 【 効 果 】 1度のみ幻覚を解除できる


 なんとも微妙な感じのアイテムですね。

どこで使うアイテムなんでしょうか。

持っておいて損はありません。

私が先に幻覚にかかったのは良かったですね。

カルロが先にかかっていればアイテムボックスに仕舞っていれば対処ができませんから。


『よいアイテムはあったか?』

『微妙ですね。

解幻のペンダントがありましたが、幻覚はもう終わりましたし、何もないような気がします。

皮もそこまで良質ではないように思います。』

『まあ、魔物としてはそこまで強くないものな。

幻覚が難しいだけで他は大したことないし。

そんなものだろう。

それよりもここでご飯にしないか。

少し疲れているし。』

『もちろん。

食べることはできそうですか?』

『まあ、大丈夫だろう。

それに食べて休みたいから。』


私は直ぐに肉を出します。

ワイバーンでいいでしょう。

美味しいですし。

食べてみますが、やはり肉の匂いが強すぎます。

焼いて食べた方が美味しいですね。

しかし、セーフエリアでないのに肉を焼くと魔物が来ますからね。


『フーン、肉は焼いた方が美味しい。』

『そうですよね。』

『セーフエリアでもあればいいのだがな。

そう簡単には見つからんか。

しかし、このダンジョンは広すぎる。

ボスの存在も分からんしな。

何かわかるものであれば違うのだが。』

『他のダンジョンではあるのですか?

そういったものが。』

『あるわけないだろう。

だがな、ダンジョンの造りで大体わかる。

まあ、ほとんどがボスを倒せばそれで終わりだけどな。』


 それだけで終わるのあれば楽ですね。

ボスというのはおそらく分かるところにいるのでしょうから。

そう考えればこのダンジョンはすごく複雑な作りをしていることになります。


『それなればいいですね。』

『大抵のダンジョンはそうなるぞ。

今回だって複数に分かれているようだが魔物を倒すということに変わりはないだろ。

ダンジョンは入ってきた魔物や人間などを糧にして大きくなっていくのだからな。

だから、結局は強い魔物を配置させているということ。

それだけは忘れてはいけないぞ。

最後は魔物を倒して終わるということだ。』


前提はそうでしたね。

確かにそうなれば最後は魔物をということになりますから、カルロはひたすら強い魔物の方へ今はいっているということです。


『とりあえず全部食べたから一眠りするぞ。

見張りは頼んだ。』

『もちろん、大丈夫です。

ゆっくり休んでください。』


魔物の皮の上で横になっています。

寝顔を見る限りそんな強い魔物とは思えないです。

しかし、かなり強い魔物です。

見た目では判断がつきませんね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ