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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
4-表舞台と裏舞台
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16

「エントリーナンバー69番。『エレエレ☆ケオケオ』」

(来たな)

 折り返しも終わり、時刻は午後四時過ぎ。ついに双子の天使が姿を現した。青色はスキップしながら真ん中を陣取り、紫色は挙動不審にその隣に付ける。一層目を凝らすと、紫の頭の上にホムンクルスが乗っているのが分かった。

「あーっ! マツリカだー!!」

 きょろきょろと辺りを見回したユリネは、目ざとくマツリカの姿を見つけ、大声で名前を呼び始めた。大型のマイクに向かって大声を出すので、キーンと激しい音が響き渡る。

「ユリネッ!!」

 慌てて制止するチャイは、すでに泣きそうになっている。「マツリカー! やっほー!」という妹の口を塞ぎ、ぺこぺこと頭を下げ始めた。

「マツリカ、知り合いかい?」

「ええ。私の絵を褒めてくださったの」

 ざわつく会場をよそに、ジャスミン家の二人は呑気に会話をしている。寛容どころの話ではなく、最早度胸の領域だ。

「お嬢さん方、そろそろ歌声を聴かせてくれないかね?」

 オルアン家の当主・ナノが、「はっはっは」と笑いながらユリネたちを促す。貫禄のある、渋い男性の声だ。

「はーい! 歌いまーす!」

「はいっ! すみませんっ!!」

 

 ……ようやく歌い出した、二人と一体。そのあまりの出来に、ウルカは思わず頭を抱えた。

(ユリネは良くも悪くもかなり悪い……。チャイは歌っているのかどうかすら分からないな……)

 ユリネはいわゆる音痴の類で、ある意味観客を面白がらせている。チャイの声は小さく、何を言っているのか曖昧だ。

(……下手したら、あのホムンクルスが一番上手いんじゃないか?)

 チャイの頭上からちょこちょこ降りてくるシフォンは、自分のパートになると可愛らしい声で歌い始める。むしろ、彼女が一人で歌った方が良いのではないか。ウルカはそんな批評を繰り広げながら、「エレエレ☆ケオケオ」のパフォーマンスがさっさと終わることを願った。

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