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パルフェと別れた後、ウルカは元の大通りに戻った。先ほどとは別のパフォーマーたちが、各々の演技を披露している。
奥の広場に行くと、舞台の歌姫に釘付けになっているチャイとウルカがいた。同じように体を揺らしながら、楽しげにリズムに乗っている。
「ウルカ! どこ行ってたのー?」
視線に気づいたユリネが、ウルカの姿に「あっ!」と声を出した。歌の方は終盤に差し掛かり、徐々にクレッシェンドが掛かっている。
「少し買い物をな」
そう言いながら、彼は不思議そうな顔を浮かべる天使の前に、小さな亜人を差し出した。彼の言葉に振り返ったチャイも、この不思議な生き物に「えっ!?」と驚いている。
「プレゼントだ。名前でも付けて、可愛がれ」
双子の天使に見つめられたホムンクルスは、もじもじしながら「よろしくお願いします」などとつぶやいている。それを見たユリネは「わーい! 友達ー!」と手を上げ、チャイは優しく顔をほころばせた。
「可愛い……! 小人さんなの……?」
兎人を右手に乗せたチャイは、ちょこんと行儀良く座る彼女の頭を小指で撫でる。黒い髪がサラサラと流れ、ホムンクルスの心をほぐした。
「はいはーい! この子の名前、ココでいいんじゃない!?」
「ま、待って! 私も考える……!」
歌姫の演奏が終わり、温かい拍手が上がる。その細かいリズムに合わせて、ホムンクルスの耳がぴょこぴょこを動いた。真の親のことなど忘れてしまった彼女は、今日から双子の天使とともに過ごすのだ。




