5
中心地を抜けると、ウルカたちの住む方向とは逆側に出ることができる。主にパフォーマーが演技を見せているその一帯では、ところどころ「わぁーっ!」という歓声が上がっていた。
「ふぁー! ふふぉいへー!!」
屋台で買ったサンドイッチを頬張りながら、ユリネはあちこちをふわふわと飛んでいる。一人でいくつもの楽器を操る男性の姿を見て驚き、絶妙なバランスで非常に細い紐を渡る少年の周りをぐるぐると回った。
「ユリネ! あっちで歌の演技やってるよ!」
「ふぇっ!? ふぉふぉ、ふぉふぉ!?」
下から呼び掛けるチャイの言葉に目を輝かせた彼女は、一目散にチャイの方へと飛んでいった。二人の天使は、奥の広場へと姿を隠す。
(ユリネのやつ、歌に興味を持ったのか?)
今まで鼻歌程度の興味だったユリネだが、どうやら本格的に歌を歌いたくなったらしい。何がきっかけかは分からないが、興味を持つことは悪いことではない。ウルカはそんなことを思いながら、白い翼を見送った。
(しかし、騒がしいな。少し休むか)
普段は穏やかな都も、芸術祭となると大いに盛り上がる。あまり喧噪が得意ではないウルカは、カフェオレを手に路地裏に入った。
光の当たりにくい、入り組んだ路地。彼は適当な壁に寄り掛かって、コップの縁に唇を付ける。




