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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
3-素晴らしき人間の栄華
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18

「どこ行くのー?」

 トタトタと駆け寄ってくるヴェガ。彼女が建物の陰を覗き込んだのと、ティオが姿を消したのは、ほぼ同時だった。

「……えー? 今度はかくれんぼ?」

 ティオが見当たらなくなった途端、彼女は明らかに不機嫌な声を出した。今までに見たこともないような魔法を使う相手。それ自体は非常に面白いのだが、コソコソされるのは気に食わない。


「……もういいや。あなたは玩具として相応しくない」

 ヴェガは冷たくそう言い放ち、右手を高々と掲げた。直後、夜空の星々が一斉に煌めき、彼女の呼び掛けに呼応する。

「ホークー レレ!」

 ――きらりと瞬いた無数の星々が、空から滑るように流れ落ち始めた。ホークー レレ。流れ星を利用した、驚異的な広範囲攻撃。

「死ね!!」

 少女が提案した、些細なゲーム。たったそれだけで、エハ監獄は美しい星の滑りに呑み込まれそうになっている。ティオだけではなく、収容されている全ての亜人を犠牲にして、彼女は自身の欲を満たそうとした。

(まずい……!)

 ティオは咄嗟にロカヒを解除し、最大限の防御を張る。いくら姿を隠しても、攻撃が当たってしまったら意味がない。

「あっ! 見つけた!」

 姿を現したティオを見て、ヴェガは嬉しそうににこっと笑った。それは、悪魔のような黒々とした笑み。

「逃がさないよ!!」

 彼女が右手で指差すと、星々は一斉にティオに向かって襲い掛かる。無情な雨のような、恐れるべき洗礼。

(くっ……)

 アホヌイが押され、バリアにひびが入り始める。このままでは、確実に体を貫かれて死んでしまう。無数の煌めきによって、ただの肉塊になってしまうだろう。

「やっぱり、今日は調子がいいなー」

 呑気に左手を上げるヴェガ。黒い魔法陣がさらに大きくなり、より強力な魔法を生み出していく。

「よーし、もう一回! ホークー レレ――」


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