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エハ監獄・M棟。光属性魔法のロカヒで姿を消したティオとルーチェは、危なげなく奥まで到達した。
「あっ!」
微かな声を上げたルーチェの先には、小さな牢がある。その奥で、何人かの人影が動いている様子が見えた。
「おれの仲間だ!!」
顔ぶれを認識したルーチェは、途端に牢の傍まで走り出した。ロカヒの範囲から外れた彼は、徐々にその姿を現す。
「みんな!!」
俯きがちにぼそぼそと話していた五人の人物は、ルーチェの声にばっと顔を上げた。赤や青の髪の毛が、一斉に牢内で揺れる。
「なっ……。ルーチェか!?」
青年と思しき赤鬼が、鉄格子を掴んで前のめりになった。黄色い目をパチパチさせながら、ルーチェの顔を見つめている。
「助けに来たぞ!! 逃げよう!!」
空気を混ぜた言葉を吐きながら、彼は仲間に向かって脱出を促した。その隣にいるティオは、すでに手慣れた様子でピッキングを始めている。
「信じられないわ……。ルーチェ、無事だったのね……」
ルーチェと同じ瞳を持つ女性が、嬉しそうに涙を流した。「母さん……!」と胸が詰まったような声を出す彼に向かって、優しく微笑む。
「はい、できたよ」
ガチャリと鈍い音がして、鉄格子の扉が開いた。ティオのこの技術、泥棒稼業も十分務まりそうだ。
「みんな、早く!」
即座に牢の中に入ったルーチェは、仲間を促しつつぐっと唇を噛む。……傷ついた体に、折られた角。人間に対する復讐心は、容易に募ってしまうだろう。
しかし、今は恨みを垂れ流している場合ではない。とにかく、早急に監獄から出なければ。ルーチェは仲間の背中を押して、ティオに向かって頷いた。
「じゃあ、行くよ」
鬼人たちをぐっと近づけたティオは、「ロカヒ」と静かにつぶやく。すると、範囲内に入った人物は、跡形もなく姿を消した。




