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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
3-素晴らしき人間の栄華
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5

「……金を作る方法なら、いくつかあるだろう。思いつかないのか?」

 肩を震わせながら頑なに動こうとしない少年を見て、ウルカは仕方なさげに代替案を出した。本来、このような真似はしないのだが、微かな善意が働いたのだろうか。

「……金を作る方法?」

 俯いていた少年は、彼の言葉に食いついた。群青色の髪の毛が、その動きに合わせて小さく揺れる。

「うわぁ、そういうこと? ウルカって、かなりひどいこと言うよね」

 次の言葉を察したティオは、少年の後ろで少々引いたような声を出した。「可哀想だなぁ」とつぶやきながら、彼の頭をわしゃわしゃと撫でる。

「何なんだよ、一体」

「一番手軽な方法は、さっきおまえが話していたやつだ。思い出せるだろう?」

「おれが言ってたやつ……?」

 ウルカのセリフでしばし熟考した少年だったが、次第に顔色が悪くなっていった。

「……もしかして、おれの角!?」

「そうだ。その二本の角を報酬に、依頼を出す。鬼の角は高く売れるからな」

 この提案は、少年にとってあまりにも酷だった。角は鬼人族の誇り。それを失うことは、まさに断腸の思いだ。

 顔を歪めて苦しそうにうなる少年。対するウルカは、それを鼻で笑った。

「おまえが誇りを貫けば、おまえの仲間は自由を失う。おまえが誇りを失えば、おまえの仲間は救われる。そのどちらかだな」

 静まり返る雰囲気。ヴァニラが紙袋を漁る音だけが、何度も部屋に鳴り響いた。


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