3
地下に連行された少年は、緑色のソファに座らされ、あからさまに機嫌を損ねたような顔をしている。
「ちっちゃいね、この子」
気持ち良く寝ていたティオは、チャイに叩き起こされたときこそ不機嫌な態度を取っていたが、可愛い依頼人を見るや即座に機嫌を直した。銀髪をハーフアップに纏めた彼は、赤い瞳でじろじろと少年を眺める。
「お、おまえだってチビだろ!!」
「やだなぁ、背丈の問題じゃないよ。年齢的にちっちゃいって言っただけ」
「そんなに変わんねぇだろ!?」
「残念。僕、実は千五百年前から生きてるんだよね。今の人間とは違ってさ」
「はぁ!? 意味分かんねぇ!!」
少年の言葉を軽く受け流すティオ。人懐っこい性格を活かして、早くも彼を自分のペースに落としている。
「そこまでだ、ティオ。まずは、無礼な依頼人の用件を聞こう」
隣のヴァニラがガサガサと食べ物の入った紙袋を漁り始めた音を皮切りに、ウルカは少年にじゃれ始めたティオを遮った。
「あ、そうだね。君、何でここに来たの?」
少年の髪の毛をいじっていたティオは、まるで思い出したかのように彼に尋ねる。兄が弟に聞くかのような、言葉の軽さで。




