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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
3-素晴らしき人間の栄華
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2

 カフェスペースで威勢の良い声を上げていたのは、確かに小さな少年だった。乱雑に切られた群青色の髪に、茶色のマリンキャップ。夕方の空のような色の瞳で、奥から出てきたウルカを睨んでいる。

「代行業者はおまえか!?」

 少女のような高い声。ナイフを向けて脅しているようだが、可愛らしい芝居にしか見えない。

「そうだが、何の用だ?」

 冷ややかな視線を送ると、彼は一瞬身じろいだ。しかし即座に体勢を立て直し、「おい!!」と叫ぶ。

「おれの仲間を救え!!」

 ……冗談かと思ったが、少年は本気だ。ナイフを振りかざしながら、「仲間を救えよ!!」と声を張り上げている。

「……物騒だが、依頼人のようだな」

 ウルカは「ふっ」と鼻で笑うと、奥に向かって声を掛けた。

「ユリネ、起きたか?」

「はいはーい! 今起きましたー!」

 言葉通りの寝起きの格好で、カウンターから飛び出してくるユリネ。青い髪はボサボサで、おかしなキャラクターが描かれたTシャツを身に着けている。

「依頼人だ。下まで運べ」

「了解でーす!」

 彼女は陽気に右手を上げると、少年の下まで一気にはばたき、彼をひょいと担ぎ上げた。

「や、やめろよ!! 下ろせ!!」

 少年は怒った様子で、ユリネの背中にナイフを突き立てる。しかし、ユリネは全く意に介さない。

「ユリネ、天使だもーん! 痛くても死なないしー! ぎゃはははー!」

 天使の最大の利点、それは死なないことだ。ウルカが双子の天使を上階に住まわせているのは、いわゆる盾代わりだ。不死身の体ほど、有能な人材はいない。

「くっそーーっ!!」

 少年は足を乱暴に動かしながら、可愛げのある顔を歪める。彼の脅迫作戦は、ものの数分で破綻してしまった。


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